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立退所
読み方 | 割合 |
たちのきじよ | 66.7% |
たちのきじょ | 33.3% |
二日の
日の
午後、
火と
煙を
三方に
見ながら、
秋の
暑さは
炎天より
意地が
惡く、
加ふるに
砂煙の
濛々とした
大地に
茣蓙一枚の
立退所から、
軍のやうな
人ごみを、
拔けつ、
潛りつ
剰へ久く病院の乾燥せる生活に
困じて、この家を
懐ふこと切なりければ、追慕の情は
極りて迷執し、
迫めては得るところもありやと、夜の
晩きに貫一は
市ヶ
谷なる
立退所を出でて
只りよ一人平作の家族に
気兼をしながら、
甲斐々々しく立ち働いていたが、
午頃になって細川の奥方の
立退所が知れたので、すぐに見舞に往った。