こう)” の例文
「水陸の両軍は、こうに添って徐々南進の態勢にあります。呉を図らんとする以外、どこへあの大量な軍勢の向け場がありましょうや」
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その中でも比叡尾ひえび山の「霧の海」を見るために山上の寺で夜を明かしたことや、こうの川を舟で下ったことなどありありと印象に残っている。
光り合ういのち (新字新仮名) / 倉田百三(著)
白髪、こうわたり、もとの路をたずぬ。何年も江戸を明けたわけではないけれど、しきりに、そんな気がしてならない。
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
蛾眉山のふもとの河々皆此大河に入る。此大河瀘州ろじうを流れ三けふのふもとをぎ、江漢こうかんいた荊州けいじうに入り、○洞庭湖とうていこ赤壁せきへき潯陽江じんやうこう楊子江やうしこうの四大こうつうじて江南こうなん流湎ながれめぐりて東海に入る。
こうわたとき蛟龍かうりようふねを追ふ、舟中しうちゆうひとみなおそる、天を仰いで、嘆じていはく、われめいを天にく、力を尽して、万民を労す、生はなり、死はなりと、りようを見る事、蜿蜓えんていの如く、眼色がんしよくへんぜず
母となる (新字旧仮名) / 福田英子(著)
どこへ行くつもりであったか忘れたが舟に乗ってこうを下り、海に浮んだ。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
その時、こうの畔のほうで、遠く出陣の金鼓や螺声らせいが鳴りとどろいていた。孔明は、黙然とさしうつ向いてしまった兄の心を察して
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
蛾眉山のふもとの河々皆此大河に入る。此大河瀘州ろじうを流れ三けふのふもとをぎ、江漢こうかんいた荊州けいじうに入り、○洞庭湖とうていこ赤壁せきへき潯陽江じんやうこう楊子江やうしこうの四大こうつうじて江南こうなん流湎ながれめぐりて東海に入る。
こうを渡る時、蛟竜こうりょう船を追う、舟中しゅうちゅうの人皆おそる、天を仰いで、嘆じていわく、我めいを天にく、力を尽して、万民を労す、生は寄なり、死は帰なりと、りょうを見る事、蜿蜓えんていの如く、眼色がんしょく変ぜず
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
ご意見もあらば伺ってこいとの帝の仰せでありました。わが軍は、八百余里のあいだ、こうに添い、山に拠り、いまや四十数ヵ所の陣地を
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
呉は、大江の水利を擁し、地は六郡に、は三こうにふるい、文化たかく産業は充実し、精兵数十万はいつでも動かせるものとみられます。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大小七隻の船に、梁山泊のかしら分二十九人、乾分こぶん百四、五十人が乗りわかれ、こうのぼって無為軍むいぐんの町へ忍んだのは翌晩だった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ここには夕方まで居られねえぞ! 城内では蔡九さいきゅう黄文炳こうぶんぺいの指揮で、数千の大軍が集合中だ、はやくこうを渡って逃げのびろ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「先ほど、戸を閉める折、そなたが告げたことではないか。お使者の小旗を立てた舟が、こうを渡って、岐阜ぎふよりお城の門へ着いたようじゃと」
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
翌日、曹操は、襄陽へ入城すると布令ふれて来た。蔡夫人は劉琮をつれて、こう渡口わたしまで出迎え拝礼して、城内へみちびいた。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
蜀には山川の嶮あり、呉には三こうの固めありです。これを以て、唇歯しんしの提携をなすのに、なんの不足不安がありましょう。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「これはつい申しおくれた。私は姓をそう、名をこうといって、近くの宋家村そうかそんから日々この県役署に通勤しておる一押司です」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ごもっともです。……実は私が待っているのは、今日あたりこうを下ってくると聞いている洛陽船らくようぶねでございます」
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
青史せいしにのこる赤壁せきへきの会戦、長く世にうたわれた三こう大殲滅だいせんめつとは、この夜、曹操が味わった大苦杯そのものをいう。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わけて呂常りょじょうの一軍の奇襲には、寸断の憂き目をうけて、こうに溺れ死ぬもの、数知れぬほどだった。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なるほど、こうの水はいつのまにか鉛色に見え、そよ風は雨気をささやきはじめて、藤の花の紫は、まさに死なんとする楊貴妃ようきひの袂のように、にわかむせぶようなにおいを散らしておののいている。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
五、六十騎をつれて、彼は陣中を見まわり、何気なくこうほとりを歩いてきた。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)