こう)” の例文
崔諒さいりょうは眼がくらんだ。落馬したように跳びおりてそのまま地に平伏してしまったのである。孔明はこうを容れ、伴って陣地へ帰った。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一方は湖だし、いまさらひきかえすことも残念ざんねんだ。ゆくにしたがっていよいよ丘陵きゅうりょうが多くなった。一とうこう、骨の折れることおびただしい。どうやら地面の光景は一変した。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
「自分は腹からの敵対ではない。やむなく一時、尊氏に従った者。もし播磨の守護職を約束してくれるなら、こうを誓ッて城を出る」
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「怨みも捨てるのがこうというもの、また和というものだ。祝彪しゅくひょうを討ったきさまの手柄はそれで帳消しだ。後陣へ退がッて謹慎しておれ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
家康は、こうをいれたが、条件をつけた。——最初の裏切り者、前田与十郎種利の首をさし出すならば——というのであった。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
尊氏の勧降かんこうは、じつに、こういうときになされたのだった。——もちろん、あからさまに「こうすすめる」とはいっていない。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「では、すぐ馬をとばして、秦朗と一騎打ちを遂げ、その首をこれへ持ってこい。然る後、こうを容れ、重き位置を与えよう」
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いかに口賢くちがしこく申しても、元親は断じて、秀吉にこうは乞わぬ。一ノ宮へは、他の者を守将にやる。そちはもう行くな。忠兵衛、謹慎きんしん申しつけるぞ」
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そしてこれにも打勝ったすえ、やがて芒蕩山ぼうとうざん三魁さんかいといわれる三名の賊将をとりこにして帰り、彼らのこうを入れて、即日、新顔の列に加えていた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「この了現も、なんの沙汰も聞いておらぬ。みかどへこうを乞うたものなら、すぐ左金吾(義貞)の沙汰なり窪所くぼしょ(武者所)の門触もんぶれが廻るはずだが」
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こうを乞うとはいえ、決して信長にあわれを求めているのではない。さく二州の強兵と一族郎党はなお健在であるのだ。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
罪なきたみきずつけるな。——こうう者は斬るな。——和田呂宋兵衛わだるそんべえはかならず手捕てどりにせられよ。以上、おん大将ならびに軍師ぐんし厳命げんめいでござるぞ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「その通りだ。劉表に会ってよく利害を説き、この曹操にこうを誓わせて帰ったら——汝を宮中の学府に入れ、公卿くぎょうとして重く用いてつかわすが、どうだな」
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こうを乞いながら、憐愍れんびんを仰ぐなど、贅沢な云い分。否やあれば、七百の城兵もろとも、ほふり尽すまでのこと」
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
上書は、こうをおすすめするこころでは書いたものだ。しかし、山上のきみにも御体面というものがある。わけて豪邁ごうまいなる後醍醐のきみ。不遜ふそんな文言はことをこわす。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして信康のぶやすを刺し、多くの徳川方の家族を人質ひとじちに捕えて、そこを足場に、浜松を攻めれば——浜松の将士もまた、続々こうを乞うて、味方に走ってくることは疑いもない。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「城中より侯成こうせいという大将がこうを乞うて出で、丞相にえつを賜りたいと陣門にひかえております」
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「降る者は助けん。いかなる敵であろうと、今日こうを乞うものは、昨日の罪は問わない」
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
私交としては、人情にうごかされるが、時の勢いと、おおやけなる立場から、きのうまで、成都を攻め、今日、あなたのこうれることとなった。かならず個人同志の情誼と、公人的な大義とを
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
時しも孔明は、隴西の麦を押える目的で、鹵城ろじょうを包囲し、守将のこうを容れて
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして、曹丞相、曹丞相と、こうをさけんで、彼の陣地へ雪崩なだれこんできた。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この蛮夫ばんぷめ、無知め、扈成は先頃、陣見舞のみやげを持って、こうを申し入れてきた者ではないか。その肉を食らい酒も飲んだきさまは、這般しゃはんの約も知っているはずだ。だのになんで、降人の家族を
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして魏将鄧艾とうがいの軍門に、こうをちかう、の屈辱に服したのであった。
三国志:12 篇外余録 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
金王。おぬしは、京へ戻るというが、都の内には、平家にこう
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その結果、直義のこうれられた。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、こうをすすめた。
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、こうを乞うた。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)