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甲
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こう
ふりがな文庫
“
甲
(
こう
)” の例文
「いくら
考
(
かんが
)
えたってしかたがないことだ。
俺
(
おれ
)
たちは
働
(
はたら
)
くより
途
(
みち
)
がないのだ。」と、
乙
(
おつ
)
は
甲
(
こう
)
を
悟
(
さと
)
し、
自分
(
じぶん
)
を
勇気
(
ゆうき
)
づけるようにいいました。
一本の釣りざお
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
わたしの光は、古いプラタナスの葉が、ちょうどカメの
甲
(
こう
)
のように
盛
(
も
)
りあがって、
茂
(
しげ
)
っている
生垣
(
いけがき
)
の中に、さしこもうとしていました。
絵のない絵本:01 絵のない絵本
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
真白なのは、
掌
(
てのひら
)
へ、
紫
(
むらさき
)
なるは、かへして、指環の
紅玉
(
ルビイ
)
の輝く
甲
(
こう
)
へ、
朱鷺色
(
ときいろ
)
と黄の
脚
(
あし
)
して、軽く来て
留
(
とま
)
るまでに
馴
(
な
)
れたのであつた。
印度更紗
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
しかるに
甲
(
こう
)
の政党と
乙
(
おつ
)
の政党とはその主義を
異
(
こと
)
にするために仲が悪い、仲が悪くとも国家のためなら争闘も止むを得ざるところであるが
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
三笠氏は、老人の優しさで、娘をいつくしむ様に、目を細くして珠子を眺め、彼女の白い手を取って、その
甲
(
こう
)
をペタペタと叩いて力づけた。
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
私は
前跼
(
まえかが
)
みになると、手の
甲
(
こう
)
をかえして
拳
(
こぶし
)
の先で三和土の上をあちこち触れてみた。手の甲というものは、冷熱の感覚がたいへん鋭敏である。
ゴールデン・バット事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
その國から
上
(
のぼ
)
つておいでになる時に、龜の
甲
(
こう
)
に乘つて釣をしながら勢いよく
身體
(
からだ
)
を
振
(
ふ
)
つて來る人に
速吸
(
はやすい
)
の
海峽
(
かいきよう
)
で遇いました。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
神仙は銀製の長さ二寸ばかりあるトッコンと云う楽器、水晶で
造
(
こし
)
らえた亀の
甲
(
こう
)
の形をした一寸五分ばかりのもの、
鉄扇
(
てっせん
)
、
剣
(
けん
)
の四種の品をくれた。
神仙河野久
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
夫人の横顔は、いつもにくらべると、いくぶん青ざめており、その視線は、つつましく
膝
(
ひざ
)
の上に重ねている手の
甲
(
こう
)
におちているように思われた。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
嘘
(
うそ
)
をつけ。
面
(
つら
)
を
洗
(
あら
)
った
奴
(
やつ
)
が、そんな
粗相
(
そそう
)
をするはずァなかろう。ここへ
来
(
き
)
て、よく
人形
(
にんぎょう
)
の
足
(
あし
)
を
見
(
み
)
ねえ。
甲
(
こう
)
に、こんなに
蝋
(
ろう
)
が
垂
(
た
)
れているじゃねえか
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
橋の上で怪我をしたらしく、足の
甲
(
こう
)
は無造作に巻いてありますが、素足のままの足が、板じきを踏んで、こんな事にまで痛々しさが沁み出すのです。
銭形平次捕物控:376 橋の上の女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
照彦
(
てるひこ
)
様はまもなく台所で見つかって、お母様のお
部屋
(
へや
)
へ引かれてゆく
途中
(
とちゅう
)
、
小間使
(
こまづか
)
いの手の
甲
(
こう
)
に歯あとの残るほどかみついて、また一つ
罪
(
つみ
)
がふえた。
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
また、近頃、頻りと使者の往来がはげしいのは、今川家を中心に、
駿
(
すん
)
、
甲
(
こう
)
、
相
(
そう
)
三ヵ国間に、
不可侵
(
ふかしん
)
協定の
下談
(
したばなし
)
が、結ばれようとしている気配だった。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そういってかるく頭をぶってやると、しろ公は目をしょぼしょぼさせて、ごめんね、とでもいうように林太郎の手の
甲
(
こう
)
をしゃりしゃりなめたりします。
あたまでっかち
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
鶴見少年にも思想らしいものが、内から
甲
(
こう
)
を
拆
(
ひら
)
いて
芽
(
め
)
ぐんでいる。そこに見られるのは不満の
穎割葉
(
かいわれば
)
である。かれはいつのまにか生意気になってきた。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
しかし今度は黙ったままで。そうして私は老人の動かしている無気味に骨ばった手の
甲
(
こう
)
を目で追っているうちに、ふいと「
巨人
(
きょじん
)
の
椅子
(
いす
)
」のことを思い
浮
(
うか
)
べた。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
おばあさんはやれやれと
腰
(
こし
)
をのばして、手の
甲
(
こう
)
で額を
一寸
(
ちょっと
)
こすりながら、二人の方を見て云いました。
十月の末
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「
甲
(
こう
)
の上」と先生は次郎くんの気持ちも知らぬげに
森川
(
もりかわ
)
くんの作文によい点をおつけになりました。
決闘
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
しかして
甲
(
こう
)
がその専門についてある点まで上達すれば、乙がまた他の専門についてある点に達するに比べて専門がいかに違っても、各自の
造詣
(
ぞうけい
)
は深さ高さによりて測り
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
小初の涙が薫の手の
甲
(
こう
)
を伝って指の間から熱砂のなかに沁み入った。薫はそれを涼しいもののように眼を細めて
恍惚
(
こうこつ
)
と眺め入っていたが、
突然
(
とつぜん
)
野太い男のバスの声になって
渾沌未分
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
落花啼鳥
(
らっかていちょう
)
の情けも心に浮ばぬ。
蕭々
(
しょうしょう
)
として
独
(
ひと
)
り
春山
(
しゅんざん
)
を行く
吾
(
われ
)
の、いかに美しきかはなおさらに
解
(
かい
)
せぬ。初めは帽を傾けて
歩行
(
あるい
)
た。
後
(
のち
)
にはただ足の
甲
(
こう
)
のみを見詰めてあるいた。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
蛇は太い柱のごとく、両眼は
灼々
(
しゃくしゃく
)
とかがやいている。からだの
甲
(
こう
)
は魚鱗の如くにして硬く、腰から下に九つの尾が生えていて、それを曳いてゆく音は鉄の
甲
(
よろい
)
のように響いた。
中国怪奇小説集:16 子不語(清)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
勝負は小勝負九度を重ねて完結する者にして小勝負一度とは
甲
(
こう
)
組(九人の味方)が
防禦
(
ぼうぎょ
)
の地に立つ事と
乙
(
おつ
)
組(すなわち甲組の敵)が防禦の地に立つ事との二度の半勝負に分るるなり。
ベースボール
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
王曰く、彼
衆
(
おお
)
く、我
寡
(
すくな
)
し、
然
(
しか
)
れども彼
新
(
あらた
)
に集まる、其心
未
(
いま
)
だ一ならず、之を撃たば
必
(
かな
)
らず破れんと。精兵八千を率い、
甲
(
こう
)
を
捲
(
ま
)
き道を倍して進み、
遂
(
つい
)
に戦って
克
(
か
)
ち、忠と瑱とを
獲
(
え
)
て之を斬る。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
丁寧
(
ていねい
)
に髪を掻いたお初、大好きな西陣ちりめんの乱立てじまの小袖に、いくらか堅気すぎる厚板の帯、
珊瑚
(
さんご
)
も、べっ
甲
(
こう
)
も、取って置きのをかざって、いい時刻を見はからって、黒門町の
寓
(
やど
)
を出る。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
この
文珠屋佐吉
(
もんじゅやさきち
)
の足をとめる声、聞いていて、こう、身内がぞくっとすらあ!——
駿
(
すん
)
、
甲
(
こう
)
、
相
(
そう
)
の三国ざかい、この山また山の行きずりに、こんな、玉をころがす声を聞こうたあ、江戸を出てこの方
煩悩秘文書
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
こういって女は、手の
甲
(
こう
)
の、牛の疱瘡にかかったあとを見せました。
ジェンナー伝
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
蒔絵の模様は、
甲
(
こう
)
を除いたほとんど全部に行き
亘
(
わた
)
っていて、両側の「
磯
(
いそ
)
」は
住吉
(
すみよし
)
の
景色
(
けしき
)
であるらしく、片側に
鳥居
(
とりい
)
と
反橋
(
そりはし
)
とが松林の中に配してあり、片側に
高燈籠
(
たかどうろう
)
と
磯馴松
(
そなれのまつ
)
と浜辺の波が描いてある。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
其時現場先づ測り、次に青銅の
甲
(
こう
)
を取り、 315
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
大亀
(
おおがめ
)
ヘロネの
甲
(
こう
)
の鏡8170
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
「どうぞ、これをくださいな。」といって、これを
買
(
か
)
いました。
甲
(
こう
)
のアネモネが
持
(
も
)
ち
運
(
はこ
)
び
去
(
さ
)
られるとき、あとの二つのアネモネは
花と人の話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
その
甲
(
こう
)
ノ
尾
(
お
)
の
館
(
たち
)
は、祖先義清いらい、一世紀余も住み古してきた代々の家だった。北の彼方に、国分寺の
址
(
あと
)
がある。
私本太平記:06 八荒帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
草鞋を
穿
(
は
)
いた足の
甲
(
こう
)
へも落ちた上へまた
累
(
かさな
)
り、並んだ
傍
(
わき
)
へまた
附着
(
くッつ
)
いて
爪先
(
つまさき
)
も分らなくなった、そうして
活
(
い
)
きてると思うだけ脈を打って血を吸うような
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ですから、その女の子のかわいらしい足の
甲
(
こう
)
は、すっかり赤くなって、いかにもいじらしく見えました。
赤いくつ
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
次郎は、そう言って、わざわざ目を手の
甲
(
こう
)
でこすった。しかし、つぎの瞬間には、そんなごまかしをやった自分が、たまらなくいやになり、思わず
肩
(
かた
)
をすくめた。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
小林少年の手の
甲
(
こう
)
にとまって、かわいい目をキョロキョロさせて、じっと聞いていましたが、ご主人の命令がわかったものとみえて、やがて勇ましく羽ばたきして
怪人二十面相
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
やっと笑いやんだラツールが、笑いこけてほほをぬらした涙を、手の
甲
(
こう
)
でぬぐいながら、そういった。
恐竜島
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それから数日の後、別のところに
沙
(
すな
)
の盛りあがること十数里、その上に
一物
(
いちもつ
)
を発見した。それは海亀に似たもので、大きさは車輪のごとく、身には
甲
(
こう
)
をつけて三つ足であった。
中国怪奇小説集:12 続夷堅志・其他(金・元)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
あるいは
謄写
(
とうしゃ
)
したりして教師の目をくらますことである、それには全級の
聯絡
(
れんらく
)
がやくそくせられ、
甲
(
こう
)
から
乙
(
おつ
)
へ、乙から
丙
(
へい
)
へと答案を回送するのであった、もっと巧妙な作戦は
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
手燭
(
てしょく
)
をつけて一匹ずつ焼くなんて面倒な事は出来ないから、
釣手
(
つりて
)
をはずして、長く
畳
(
たた
)
んでおいて部屋の中で
横竪
(
よこたて
)
十文字に
振
(
ふる
)
ったら、
環
(
かん
)
が飛んで手の
甲
(
こう
)
をいやというほど
撲
(
ぶ
)
った。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
お父さんが
監獄
(
かんごく
)
へ入るようなそんな悪いことをした
筈
(
はず
)
がないんだ。この前お父さんが持ってきて学校へ
寄贈
(
きぞう
)
した
巨
(
おお
)
きな
蟹
(
かに
)
の
甲
(
こう
)
らだのとなかいの角だの今だってみんな標本室にあるんだ。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
酒のこぼれた口ばたを、ぐいと手の
甲
(
こう
)
で押しぬぐった泰軒は
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
買わんがためのお世辞でもあったであろうが当時三十七歳の春琴は実際よりもたしかに十は若く見え色あくまで白くして
襟元
(
えりもと
)
などは見ている者がぞくぞくと寒気がするように覚えた
甲
(
こう
)
の色のつやつやとした小さな手を
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
馬尾の冠毛振りかざす
甲
(
こう
)
の
天邊
(
てつぺん
)
打碎き
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
「ああ、なつかしい、まさしく
甲
(
こう
)
と
丙
(
へい
)
だ! よく
死
(
し
)
なずに
帰
(
かえ
)
ってくれた。」と、
乙
(
おつ
)
は、
目
(
め
)
に、
熱
(
あつ
)
い
涙
(
なみだ
)
をいっぱい
流
(
なが
)
して
喜
(
よろこ
)
びました。
幽霊船
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「この前の例もあります。孔明は八門
遁甲
(
とんこう
)
の法を得て、六
丁
(
ちょう
)
六
甲
(
こう
)
の
神
(
しん
)
をつかいます。或いは、天象に奇変を現わすことだってできない限りもありません」
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかし
骨董
(
こっとう
)
と名のつくほどのものは、一つもないようであった。ひとり何とも知れぬ大きな亀の
甲
(
こう
)
が、
真向
(
まむこう
)
に釣るしてあって、その下から長い黄ばんだ
払子
(
ほっす
)
が
尻尾
(
しっぽ
)
のように出ていた。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
お父さんが
監獄
(
かんごく
)
へはいるようなそんな
悪
(
わる
)
いことをしたはずがないんだ。この前お父さんが持ってきて学校へ
寄贈
(
きぞう
)
した
巨
(
おお
)
きな
蟹
(
かに
)
の
甲
(
こう
)
らだのとなかいの
角
(
つの
)
だの今だってみんな
標本室
(
ひょうほんしつ
)
にあるんだ。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
元結
(
もとゆい
)
は切れたから、髪のずるりと
解
(
と
)
けたのが、手の
甲
(
こう
)
に
絡
(
まつ
)
はると、宙に
釣
(
つる
)
されるやうになつて、お辻は
半身
(
はんしん
)
、胸もあらはに、
引起
(
ひきおこ
)
されたが、両手を畳に裏返して、
呼吸
(
いき
)
のあるものとは見えない。
処方秘箋
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
一郎はふうふういって、泥だらけの手の
甲
(
こう
)
で
額
(
ひたい
)
を横なぐりに
拭
(
ふ
)
いた。
未来の地下戦車長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
“甲”の解説
甲(こう、きのえ)は、十干の1番目である。
陰陽五行説では木性の陽に割り当てられており、ここから日本では「きのえ」(木の兄)ともいう。
(出典:Wikipedia)
甲
常用漢字
中学
部首:⽥
5画
“甲”を含む語句
甲板
甲冑
甲虫
甲子
甲斐
甲斐性
甲斐々々
鼈甲
甲斐絹
甲比丹
甲胄
手甲
甲羅
年甲斐
甲府
甲州
鼈甲縁
鎧甲
甲掛
上甲板
...