こう)” の例文
蟀谷こめかみのところへ紫色の頭痛こうなんぞをって、うるんだ目付をして、物を思うような様子をして、へえ前の処女おぼこらしいところは少許ちっともなかった。
藁草履 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
『血どめだの、陣中こうだの、種々いろいろ薬種くすりを持っちゃあ、方々の御陣所の御用を聞いてまわるのさ。生命がけの商売だよ』
篝火の女 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
じつに、ひどい苺果痘フラムベジアにかかっていたのです。僕は、なにより可愛想になってきて、さっそく皮膚に水銀こうをなすってやると、大分落ちついてきました。
人外魔境:01 有尾人 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
お艶が、ふん! とそっぽを向くと、こめかみに貼った頭痛こうが、これ見よがしに栄三郎の眼にはいる。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
肩のあんまこうを見せて、たすきがけでお釜の中のしめ糊をき廻していた。
「今はしようないで、××こうをつけてくくっとこうよ」
城のある町にて (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
吸出しこうともいうべき物か。まっ黒な練薬ねりぐすり貼布てんぷ
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)