こう)” の例文
たかが少尉の月給で女房を食わして行けようがねえ。とまあこう云う返答だ。うん、然うだったか。それなら何も心配することはねい。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「はゝゝゝはゝ、いや、こうまたものもきたのうなると、手がつけられぬから恐るゝことなし。はゝはゝこら、うぢやい。」と、ひよいとおどつた。
蠅を憎む記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
水入らずで、二人でこうして働いている姉夫婦の貧しい生活が、今朝のお島の混乱した頭脳あたまには可羨うらやましく思われぬでもなかった。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
妻の働いているうちは、どうかこう持堪もちこたえていた家も、古くから積り積りして来ている負債のかたに取られて、彼はささやかな小屋のなかに、かろうじて生きていた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
小いところから仕上げて大きくなって行った、大店おおだなの成功談などに刺戟しげきされると、彼女はどうでもこうでもそれに取着かなくてはならないように心がいらだって来た。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
これが本葬で、香奠はどっちにしても公に下るのが十五円と、こう云う規則なんでござえんして……
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
どうにもこうにも足踠あがきが取れなくなって了ったものなんだ。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)