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鴻
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こう
ふりがな文庫
“
鴻
(
こう
)” の例文
「普請こそ小せえが、
木口
(
こぐち
)
と言い道具と言い——何のこたあねぇ、
鴻
(
こう
)
の
池
(
いけ
)
又七とでも言いたげな、ふうん、こいつぁちっと臭ぇわい」
助五郎余罪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
もう小判が日本中にはなくなってしまった——あるにしても三井や
鴻
(
こう
)
ノ
池
(
いけ
)
や大大名の金蔵の奥ふかく死蔵されてしまった今日となって
明治の五十銭銀貨
(新字新仮名)
/
服部之総
(著)
白羽
(
しらは
)
の箭が立った若者には、勇んで出かける者もある。
抽籤
(
くじ
)
を
遁
(
のが
)
れた礼参りに、わざ/\
鴻
(
こう
)
の
巣
(
す
)
在
(
ざい
)
の何宮さんまで出かける若者もある。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
漸々
(
だん/\
)
大宮の
宿
(
しゅく
)
を離れて、
桶川
(
おけがわ
)
を通り過ぎ、
鴻
(
こう
)
の
巣
(
す
)
の手前の左は桑畠で、右手の方は杉山の林になって居ります処までまいりました。
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
この日彼らは両国から汽車に乗って
鴻
(
こう
)
の
台
(
だい
)
の下まで行って降りた。それから美くしい広い河に沿って
土堤
(
どて
)
の上をのそのそ歩いた。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
夜
暁
(
あ
)
ければ
颯々
(
さっさつ
)
の秋風ばかり
哭
(
な
)
いて、所々の水辺に、寒げに啼く牛の仔と、灰色の空をかすめる
鴻
(
こう
)
の影を時たまに仰ぐくらいなものであった。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
螻蟻
(
ろうぎ
)
の一念は天へも
通
(
つう
)
ずとの
俚諺
(
りげん
)
又
宜
(
むべ
)
なるかな大岡殿
此度
(
このたび
)
幸手宿三五郎
妻
(
つま
)
文
(
ふみ
)
の申立を
聽
(
きか
)
れ武州
鴻
(
こう
)
の
巣
(
す
)
鎌倉屋金兵衞方へ
差紙
(
さしがみ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
大宮から
上尾
(
あげお
)
へ二里——上尾から
桶川
(
おけがわ
)
へ三十町——桶川から
鴻
(
こう
)
の
巣
(
す
)
へ一里三十町——鴻の巣から熊谷へ四里六町四十間。
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
熊谷
(
くまがい
)
のさる豪農に某という息子があったが、医者になりたいという志願であったから、
鴻
(
こう
)
の
巣
(
す
)
の某家に養子に
与
(
や
)
った。
取り交ぜて
(新字新仮名)
/
水野葉舟
(著)
しをらしさのおかげかして、
鴻
(
こう
)
の
臺
(
だい
)
を
向
(
むか
)
うに
見
(
み
)
る、
土手
(
どて
)
へ
上
(
あが
)
ると、
鳴
(
な
)
く、
鳴
(
な
)
く、
鳴
(
な
)
くぞ、そこに、よしきり。
木菟俗見
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
余等は市街を出ぬけ、石狩川を渡り、近文のアイヌ部落を遠目に見て、第七師團の練兵場を横ぎり、車を下りて
春光臺
(
しゆんくわうだい
)
に上つた。春光臺は江戸川を除いた旭川の
鴻
(
こう
)
の
臺
(
だい
)
である。
熊の足跡
(旧字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
今度の筆屋さんの
御普請
(
ごふしん
)
と来た日にゃアほんとに、
追従
(
ついしょう
)
じゃアございません、へい、三井さんや
鴻
(
こう
)
ノ池さんでも、こう申しちゃア何ですが、あんな豪勢な
真似
(
まね
)
は出来めえ、なアんてね、へっへ
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
終
(
つい
)
には大坂の
商賈
(
しょうこ
)
鴻
(
こう
)
の
池
(
いけ
)
、加島屋、辰巳屋などいえるものどもに借財して
一時
(
いっとき
)
の乏しきを救うといえども、またその利息返償に一層の苦を増し、
終
(
つい
)
に窮迫、せんかた
尽
(
つ
)
きて、家中の禄をかりあげ
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
普通
(
あたりまえ
)
の漢学者であって、大阪の藩邸に在勤してその仕事は何かというと、大阪の
金持
(
かねもち
)
、
加島屋
(
かじまや
)
、
鴻
(
こう
)
ノ
池
(
いけ
)
というような者に交際して藩債の事を
司
(
つかさ
)
どる役であるが、元来父はコンナ事が不平で
堪
(
たま
)
らない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
鷹を放つ者は鶴を獲たり
鴻
(
こう
)
を獲たりして喜ぼうと思って郊外に出るのであるが、実は
沼沢林藪
(
しょうたくりんそう
)
の間を
徐
(
おもむ
)
ろに行くその一歩一歩が何ともいえず楽しく喜ばしくて、歩〻に喜びを味わっているのである。
魔法修行者
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
寺の
境
(
さかい
)
にひょろ長い
榛
(
はん
)
の林があって、その向こうの野の黄いろく熟した稲には、夕日が一しきり明るくさした。
鴻
(
こう
)
の巣に通う県道には、
薄暮
(
はくぼ
)
に近く、
空車
(
からぐるま
)
の通る音がガラガラといつも高く聞こえる。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
「
鴻
(
こう
)
の
巣
(
す
)
」の
窓
(
まど
)
に
とんぼの眼玉
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
聞
(
きゝ
)
夫婦の者
然
(
さ
)
すれば今より江戸までは
迚
(
とて
)
も
行
(
ゆか
)
れまじ
切
(
せめ
)
て
鴻
(
こう
)
の
巣
(
す
)
とやら迄も行れべきやと云に亭主は兩人の樣子を見て
失禮
(
ぶしつけ
)
ながら
足弱
(
あしよわ
)
の御女中を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
埠頭
(
ふとう
)
も、湖上も、波しずかに、月は白く、
鴻
(
こう
)
の声しかしなかったが、やがて一時に、
波濤
(
はとう
)
天を
搏
(
う
)
ち、万雷一時に雲を裂くような
喊声
(
かんせい
)
が捲き起った。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
鴻
(
こう
)
の
台
(
だい
)
のは
鐘懸
(
かねかけ
)
の松で、土手三番町のは
首懸
(
くびかけ
)
の松さ。なぜこう云う名が付いたかと云うと、
昔
(
むか
)
しからの言い伝えで誰でもこの松の下へ来ると首が
縊
(
くく
)
りたくなる。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
門跡様では驚いて、これから屋根へ金網を張りました。あれは
鴻
(
こう
)
の鳥が巣をくう為かと思いました処が、そうではない亥太郎から初まった事だそうでございます。
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
よき折から
京方
(
かみがた
)
に対し、関東の武威をあらはすため、都鳥を
射
(
い
)
て、
鴻
(
こう
)
の
羽
(
はね
)
、
鷹
(
たか
)
の
羽
(
は
)
の矢を
胸
(
むな
)
さきに
裏掻
(
うらか
)
いて
貫
(
つらぬ
)
いたまゝを、
故
(
わざ
)
と、
蜜柑箱
(
みかんばこ
)
と思ふが
如何
(
いかが
)
、即ち其の昔
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
余等は市街を出ぬけ、石狩川を渡り、近文のアイヌ部落を遠目に見て、第七師団の
練兵場
(
れんぺいじょう
)
を横ぎり、車を下りて
春光台
(
しゅんこうだい
)
に上った。春光台は江戸川を除いた旭川の
鴻
(
こう
)
の
台
(
だい
)
である。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
その日も、
霏々
(
ひひ
)
たる雪だった。水も
芦
(
あし
)
も遠い山も、雪ならぬ所はなく、雪の声と、
鴻
(
こう
)
の
啼
(
な
)
き渡るほか、灰色の空には、毎日、何の変化もなかった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
鶴
(
つる
)
の
本白
(
もとじろ
)
羽と
鴻
(
こう
)
の羽とを合わせてはいだ矢で、長さは
十三束三伏
(
じゅうさんぞくみつぶせ
)
、
沓巻
(
くつまき
)
から
一束
(
いっそく
)
ほど置いたところに、和田小太郎平義盛と
漆
(
うるし
)
で書いてあるのだった。
現代語訳 平家物語:11 第十一巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
鴻
(
こう
)
の
羽
(
はね
)
の矢を
額
(
ひたい
)
に取つて、
蒼
(
あお
)
い顔して、頂きながら、
武士
(
さむらい
)
は震へて居た。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
此間
(
こねえだ
)
鴻
(
こう
)
の
台
(
だい
)
を見たいという話だからお寺へ頼んだ処が、何んだか浪人者が山へ
匿
(
かく
)
ねたとか云うんで、八州さまが調べに来て
八
(
や
)
ヶましいので、知んねえものは
入
(
い
)
れねえだが、おらが
納所
(
なっしょ
)
へ頼んでネ
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「首懸の松は
鴻
(
こう
)
の
台
(
だい
)
でしょう」寒月が
波紋
(
はもん
)
をひろげる。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
陳宮は、死の
莚
(
むしろ
)
にすわって、黙然と首をのべていたが、ふと、薄曇りの空を啼き渡る二、三羽の
鴻
(
こう
)
の影に面をあげて、静かに、刑吏の戟を振り向き
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
其方儀
(
そのはうぎ
)
權現堂小篠堤に於て幸手宿穀屋平兵衞を
殺害
(
せつがい
)
し
金子
(
きんす
)
百兩奪ひ
取
(
とり
)
其後
(
そのご
)
中仙道鷲の宮にて
鴻
(
こう
)
の
巣
(
す
)
宿
(
じゆく
)
鎌倉屋金兵衞を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
そして背を
屈
(
かが
)
めて立った処は、
鴻
(
こう
)
の鳥が寝ているとしか思われぬ。
政談十二社
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
鴻
(
こう
)
の
池
(
いけ
)
や大名屋敷へ取り入って、花柳界へ
源内櫛
(
げんないぐし
)
を
流行
(
はや
)
らせてみせたり、物産会をやり
舶載物
(
はくさいもの
)
の売りひろめを試みたりなどして、おそろしい金持になった。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
死者の
肌
(
はだ
)
を思わす
凍
(
い
)
てきッた大陸の線。飛んでゆく
鴻
(
こう
)
の影も、それの生きていることが、不思議に見える。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
矢うなりは水に響いて長い尾を曳き、その行方に、一群の
鴻
(
こう
)
がバッと舞い立ったと思うと、やがて一
艘
(
そう
)
の早舟が、芦荻の波間をきって、こなたへ
漕
(
こ
)
ぎすすんでくるのが見えた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
さるにても、偉大なる
煩悩将軍
(
ぼんのうしょうぐん
)
ではある。彼の如き
鬼傑
(
きけつ
)
でも、わが
娘
(
こ
)
への愛には、この三千余騎を具してもなお、敵の哨兵の眼さえ恐い。
白皚々
(
はくがいがい
)
の天地をよぎる一羽の
鴻
(
こう
)
の影にさえ胸がとどろく。
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
鴻
(
こう
)
はみだれて雲にかくれ、
柳桃
(
りゅうとう
)
は風に騒いで江岸の春を
晦
(
くろ
)
うした。
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
県の城長の娘は、名を
芙蓉
(
ふよう
)
といい姓は
鴻
(
こう
)
ということ。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
鴻
(
こう
)
が鳴き渡ってゆく。
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
鴻
(
こう
)
が飛んでゆく。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
鴻
漢検準1級
部首:⿃
17画
“鴻”を含む語句
鴻業
鴻儒
李鴻章
鴻臚館
碩学鴻儒
鴻爪
鴻池
鴻恩
鴻雁
御鴻恩
鴻山
鴻毛
鴻巣
常木鴻山
鴻門
鴻鵠
飛鴻
後鴻
鴻荒
鴻益
...