“ねぼ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
寝惚40.3%
寝呆40.3%
寐惚3.9%
寐耄2.6%
寝恍2.6%
寢呆2.6%
寐恍1.3%
寝耄1.3%
寝耋1.3%
1.3%
眠呆1.3%
睡呆1.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
自分の寝惚ねぼけた頭はこの時しだいにえて来た。できるだけ早く兄の前から退しりぞきたくなった結果、ふり返って室の入口を見た。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
見知らぬ異国へでも、彷徨さまよい込んだような気持がして、寝呆ねぼまなこでぼんやりと、ほのおみつめているうちに、ハッとして私は跳ね起きました。
墓が呼んでいる (新字新仮名) / 橘外男(著)
氏郷が利家と仲好く、利家は好い人物であり、氏郷と家康とは肌合が合わぬのであった。然様いうことを知らぬような寐惚ねぼけた秀吉では無い。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
かれおほくのげかゝつたやしろと、寂果さびはててら見盡みつくして、いろめた歴史れきしうへに、くろあたまける勇氣ゆうきうしなひかけた。寐耄ねぼけたむかし彽徊ていくわいするほどかれ氣分きぶんれてゐなかつたのである。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
手捷てばしこくそこらを掃除したり、朝飯の支度に気を配ったりしたが、寝恍ねぼけた様なしまりのない笑顔をして、女が起出して来る頃には、職人たちはみんな食膳しょくぜんを離れて、奥の工場で彼女のうわさなどをしながら
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
尾久の奴等は臆病おくびやうだから、そんな物を見るんだらうと言ふと、尾久の手合は口惜しがつて、何を小臺の寢呆ねぼけ野郎——といふ騷ぎで、こいつは何時まで噛み合せてもらちはあきませんよ。
さうしてお前この頃は余り服装なりにかまはんぢやないか、可かんよ。いつでもこの小紋の羽織の寐恍ねぼけたのばかりは恐れるね。何為なぜあの被風ひふを着ないのかね、あれは好く似合ふにな。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
彼は多くのげかかったやしろと、寂果さびはてた寺を見尽して、色のめた歴史の上に、黒い頭を振り向ける勇気を失いかけた。寝耄ねぼけた昔に彽徊ていかいするほど、彼の気分は枯れていなかったのである。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
此処を広くしていましょう……貴方寝耋ねぼけて居ますか、アハヽヽヽ野田に遊んでたので何んだか百姓ばかり乗ってるような心持が致しますね……おいボーイさん
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「すてにはおれがいる、何をねぼけたことを言うのだ、女はおれが都にかえす。」
このとおり泥を吐くから見ていな——すっかり衣裳をあらためて、初太郎宇之吉が姉の屍骸を見つけた頃合いを見計らい、眠呆ねぼけづらをつくって二階へ上って行ったのよ。
深夜である。睡呆ねぼけて居るのではないかと疑ひながら一層に耳を確めた。