“寝呆:ねぼ” の例文
“寝呆:ねぼ”を含む作品の著者(上位)作品数
吉川英治5
太宰治5
夢野久作3
海野十三2
堀辰雄2
“寝呆:ねぼ”を含む作品のジャンル比率
文学 > ロシア・ソヴィエト文学 > 小説 物語1.6%
文学 > 日本文学 > 小説 物語0.6%
文学 > 日本文学 > 日記 書簡 紀行0.2%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
寝呆ねぼけまなこをこすりながら、顔中を口にして、ううんと大欠伸おおあくびをした拍子ひょうしに、またもやドカーン。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
だがその自動車くるまは、似ても似つかぬ箱型セダンだった。客席には新婚らしい若い男女が、寝呆ねぼけ顔をして収まっていた。
白妖 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
「どじめ。寝呆ねぼけたような返辞をして何処をまごついていたのだ。われ一名が見えぬため、皆で心配していたところじゃねえか」
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と呶鳴って、いきなり寝床から跳ね上がり、眼ざめて、なだめても、まだ寝呆ねぼけて、何かたかぶり続けるようなことがままあった。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
私は寝呆ねぼけたように、その真ん中に坐ると、急に怒ったように、そこいらに散らばっていた花札を一つずつふすまの方へ投げつけ出した。
幼年時代 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
ふすまの中からそんな声がした。——山岡屋が開けてみると、丹前たんぜんを被って、腹這はらばいになっている男が寝呆ねぼけ眼をあげ、
魚紋 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「もう、すぐですか。」私は、わざと寝呆ねぼけたような声で尋ねた。ボオイは、ちらりと腕時計を見て、
佐渡 (新字新仮名) / 太宰治(著)
「おや、お庄ちゃん来たの。」というような調子で、細い寝呆ねぼたような目尻に小皺こじわを寄せた。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「もうすぐに、午砲ドンじゃないか。そんな寝呆ねぼけた頭で外へ出ると、すぐに、御用になるよ」
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
寝呆ねぼがおの正三が露次の方から、内側の扉を開けると、表には若い女が二人佇んでいる。
壊滅の序曲 (新字新仮名) / 原民喜(著)
小僧たちが部屋の掃除をしたり、椅子をならべたりしているだけで、中には寝呆ねぼまなこをして、焼きたてのケーキを盆にのせて運び出している者もあった。
(新字新仮名) / ニコライ・ゴーゴリ(著)
その音に寝呆ねぼけて呼びもしない父が、「え?」と返事をして寝返りをうつ、うつろな声。
渾沌未分 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
そのためだろうか、街角の医者の家を叩くと、俥夫しゃふ寝呆ねぼけて私がいまだかつて、聞いた事がないほどな丁寧ていねいな物言いで、いんぎんに小腰を曲めた。
風琴と魚の町 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
「つまり君はアンマリ考え過ぎているんだよ。犯人の目星はモウ付いているんだからね。寝呆ねぼけた小娘の眼で見た事なんか相手にせんでモット常識的に考えんとイカン」
二重心臓 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
見知らぬ異国へでも、彷徨さまよい込んだような気持がして、寝呆ねぼまなこでぼんやりと、ほのおみつめているうちに、ハッとして私は跳ね起きました。
墓が呼んでいる (新字新仮名) / 橘外男(著)
ううむ……と寝呆ねぼけ声を出して、何か、云いかける口を、叱っ、と抑えて、
夏虫行燈 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
湖面は一所ひとところ銀のように光り、一所風に波立っていた。永い永い冬眠から、呼び覚まされた湖水の水は、しかしまだ何んとなく寝呆ねぼけていた。眠気にドンヨリと膨らんでいた。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
この年になるまで寝呆ねぼけた事なんか只の一度も御座んせん。
S岬西洋婦人絞殺事件 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
それからの騒ぎは書くまでもありません。幸い傷は浅かったので、用意の焼酎しょうちゅうで洗って、さらしでグルグル巻くと、寝呆ねぼけたお駒を叩き起して、町内の外科を呼ばせました。
寝呆ねぼけていやがる。僕は、そんな名前じゃないよ。」
乞食学生 (新字新仮名) / 太宰治(著)
寝呆ねぼけていたんじゃねえよ。へん、この世智辛せちがらい世の中に誰が寝呆けていられますかというんだ。信用しなきゃいいよ。とにかくおれは、ちゃんとこの二つの眼で鞄の化物を見たんだから……」
鞄らしくない鞄 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「書留ですか?」私は、少し寝呆ねぼけていた。
新樹の言葉 (新字新仮名) / 太宰治(著)
「ありがとう。」僕は寝呆ねぼけ声で言った。
パンドラの匣 (新字新仮名) / 太宰治(著)
突然、ふた声ばかり、寝言ねごとで人を斬るような気合を発したので、若者部屋の者が皆、がばと、総立ちに刎ね起きて、後で、老人が寝呆ねぼけた事と分ってから、夜半よなかに大笑いしたことなどもあった。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おれは何と寝呆ねぼけているのだろう。
恢復期 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
寝呆ねぼけ、下の男の子は
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
寝呆ねぼけたのかしら。
パンドラの匣 (新字新仮名) / 太宰治(著)
しかし、すくなくとも私は、小さい時からよく寝呆ねぼける癖があったので、今でも妹によく笑われる位だから、私の何代か前の先祖の誰かにソンナ病癖びょうへきがあって、それが私の神経組織の中に遺伝していないとは、誰が保証出来よう。
一足お先に (新字新仮名) / 夢野久作(著)
丁度ちょうど宿直だった私は、寝呆ねぼまなこで朝の一番電車を見送って、やれやれと思いながら、先輩であり同時に同僚である吉村君と、ぽつぽつ帰り支度にかかろうかとようやく白みかけた薄墨うすずみの中に胡粉ごふんを溶かしたような梅雨の東空を、詰所つめしょの汗の浮いた、ガラス戸越しに見詰めていた時でした。
(新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)