)” の例文
馬には、音楽が分るとかいうが、いかにも笛の音が分るように、馬上の女がふく横笛に聞きれながら、のたり、のたりと、のろい脚を運んで来るのだった。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
イワンは併し、娘の姿に見れているうちに、だんだんせつなくなりました。
イワンとイワンの兄 (新字新仮名) / 渡辺温(著)
湯杓子ゆびしゃくを、茶釜かまに入れながら、夫人は、思わず聞きれていた。良人の顔をそっと見ると、内匠頭も同じ気もちに打たれているらしい。じっと耳をすましていた。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
自己の罪条をいいくらますに努めると、まさに、懸河けんがの弁舌というもおろか、思わず聞きれるばかりだった。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、さもさもなつかしいものにでもめぐったように、眼をほそめ、耳をすまして、聞きれていた。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
典膳は見れていた。この朝から彼はまた青年の憂悶ゆうもんを深くした。
剣の四君子:05 小野忠明 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
眼をほそめて、娘の歌に聞きれている顔つきである。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「大きい姉さんと、階下したで、聞きれておりました」
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「わしも」ぼけた顔を見合せた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)