夜淋しすぎるところに住んだり林町のように億劫なところに居ると忽ち車代がびっくりするようになる。林町には空気全体がいやです。
獄中への手紙:05 一九三八年(昭和十三年) (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
今夜は幾度でも億劫がらずに答へるばかりでなく、次第に媚びを含んだやうな、何とも云へない優しい声を出すのである。
猫と庄造と二人のをんな (新字旧仮名) / 谷崎潤一郎(著)
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
平塚明子(らいてう) (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
夢は呼び交す:――黙子覚書―― (新字新仮名) / 蒲原有明(著)
小桜姫物語:03 小桜姫物語 (新字新仮名) / 浅野和三郎(著)
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分) (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
右手の谷間には人家が現われた。小滝や銀山平であるらしい。八、九町も逆戻りするのは億劫であるから、左手の水の流れる窪を択んで、二丈近く伸びた唐松林の中も尾根の方へと登った。
ちょっと駆け出して行けば、ものの三分ぐらいですんでしまうことなのに、なんとも億劫で、どうしても腰をあげる気にはなれない。腰どころではない。眼さえも庭のほうへは向きたがらない。
キャラコさん:06 ぬすびと (新字新仮名) / 久生十蘭(著)