すす)” の例文
すすぐは臣下の本分、卑怯未練な蛆虫うじむしめらを、一泡吹かせて斬り死に致す覚悟でござる。お通し下されいッ。お止めだて下さるな
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
其からは落第の恥辱をすすがねばかぬと発奮し、切歯せっしして、扼腕やくわんして、はたまなこになって、又鵜の真似を継続してった。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
その熱心な奔走の結果、翌日の新聞紙の広告欄には、二段抜きで、知事令夫人以下十四五名の貴婦人の連名で早月親佐さつきおやさ冤罪えんざいすすがれる事になった。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
ガンベッタは曰く「看よ看よいつか汝に向かってセダンのはずかしめ、パリ城下のはじをばひとたびすすがずしておくべきか」
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
すすぐか、私には宛がない。ただ一つあるのは、貴方の計画です。あれに加はつて、思ふ丈のことをすることです。
計画 (新字旧仮名) / 平出修(著)
自分一人の責任でそう云う手段に出たのであったが、正直のところを云えば、妙子を犠牲にしても雪子のえんすすぐことにって雪子によく思われたいと云う底意が
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
かえで 拙い細工を世に出したをそれほど無念と思し召さば、これからいよいよ精出して、世をも人をもおどろかすほどの立派な面を作り出し、恥をすすいでくださりませ。
修禅寺物語 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
断行派が二年の後をち、捲土重来して会稽の恥をすすごうと期したのは尤も至極の事である。
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
どうかおれの云つた通り、あのキツプリングの説などは口から出放題ではうだい大法螺おほぼらだと、先祖のゑんすすぐ為に、一度でもいからその鼻をあげて、喇叭らつぱのやうな声を轟かせてくれ。
動物園 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
成善しげよしは等をくだされ禄を減ぜられた後、東京に往って恥をすすごうと思っていたからである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
しかし、僕はこの恥辱をすすがねばなりません。お嬢さんは恐らく、もう生きてはいらっしゃらないかも知れませんが、いずれにせよきっとその隠し場所を発見してお目にかけます。
悪魔の紋章 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
新平の娘を妻にもしたまひし、良人の名折れ、明日よりの、お名の汚れを何とかせむ。知らぬ昔はともかくも、知りてこの身を潔く、たとへば引いて退いたりとも、それにすすげる御耻辱が。
移民学園 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
... さればわれその厚意こころざしで、おつつけ彼の黒衣とやらんをうって、爾がためにうらみすすがん。心安く成仏じょうぶつせよ」「こは有難き御命おおせかな。かくては思ひ置くこともなし、くわが咽喉のどみたまへ」
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
やがて裁判長は被告に向かいて二、三の訊問ありけるのち、弁護士は渠のえんすすがんために、滔々とうとう数千言をつらねて、ほとんど余すところあらざりき。裁判長は事実を隠蔽いんぺいせざらんように白糸をさとせり。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その遺言ゆいごんは告げているのだ。わがはじすすげ。わが家の家名を上げよ。また、足利家の名をもって北条の幕府に代れ、と。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
母のいわゆる寃罪えんざいは堂々と新聞紙上ですすがれたが、自分のはとうとうそのままになってしまった、あの苦い経験などがますます葉子の考えをかたくなにした。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
亨一は矢鱈やたらに激昂した。此汚名は何の時にかすすがねばならぬと思つた。それ故目前の争論を惹き起すまいとして耐忍の上にも耐忍をした此日の苦痛は心骨にしみ徹るのであつた。
計画 (新字旧仮名) / 平出修(著)
そこにかれこれ五六年もいましたろう。やがて、えんすすぐ事が出来たおかげでまた召還され、中書令ちゅうしょれいになり、燕国公えんこくこうに封ぜられましたが、その時はもういい年だったかと思います。
黄粱夢 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
これよりさき優善が隠居の沙汰さたこうむった時、これがために最も憂えたものは五百で、最もいきどおったものは比良野貞固さだかたである。貞固は優善を面責めんせきして、いかにしてこのはずかしめすすぐかと問うた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
「さ、又八。旧怨をすすいでみ交わそう。武蔵ぐらいな相手、恐れるな。広言ではないが、佐々木小次郎がついている」
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「このはじすすがずんば」と、備えを立て直し、兵は多く損じても、戦意はいやが上にも熾烈しれつだった。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「こよいの恥をだ! ——蜂須賀の一族としてすすがずばなるまいが」
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「孔明、孔明。もしもう一度、俺の縄を解いてくれれば、俺はきっと、五度目に四度の恥をすすいでみせる。死んでもいいが恥知らずといわれては死にきれない。やいっ、やいっ孔明、もう一遍戦えっ」
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すすごうッていうんだから、頭が下がらあ
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)