歔欷すす)” の例文
それが胸を蜜柑の房のように絞るとその悲しみはかさを増して来て、くいくいとまた泣き歔欷すすりが二つ三つ立て続けに出ます。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
その歔欷すすり上げる呼吸の切れ目切れ目に、附添の婆さんが何か云い聞かせている気はいである。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
それを見ると、フローラは紅琴のすそに泣き伏して、よよとばかりに歔欷すすり上げた。
紅毛傾城 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)