“慫慂”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
しょうよう72.9%
しようよう10.2%
すす3.4%
すすめ3.4%
すゝ3.4%
すゝめ3.4%
そゝの1.7%
そゝのか1.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
随筆家にて司法次官の友人大森洪太氏の慫慂しょうようにて全国の刑務所を同省委員等と視てまわる。健康をそこね、帰来、再び病床になずむ。
年譜 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
れより先き、平民社の諸友しきりに「火の柱」の出版を慫慂しようようせらる、しかして余は之に従ふことあたはざりし也
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
そして、かの橋下の瀬のはやい事が話の起因おこりで、吉野にむかつてしきりに水泳に行く事を慫慂すすめた。昌作の吉野に対する尊敬が此時からまた加つた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「明日にもわしは死ぬかもしれぬ。こう云っているうちにも死ぬかもしれぬ。そこでお前に頼みがある。いいや頼みというよりもむしろお前に慫慂すすめるのだ。そうだ慫慂るのだ」
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
そして、かの橋下の瀬の迅い事が話の起因もとで、吉野に對つて頻りに水泳に行く事を慫慂すゝめた。昌作の吉野に對する尊敬が此時からまた加つた。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
しかし此主従が防ぎおほせたには、阿部家の用人藤田与一兵衛の応対折衝もあづかつて力があつた。藤田は心の利いた人で、能く公の意を体して列侯諸有司の慫慂すゝめを拒んだ。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
あまり邪気あどけないことを言つて督促せきたてるので、丑松は斯の少年を慫慂そゝのかして、いつそ本堂の方へ連れて行かうと考へた。部屋を出て、楼梯はしごだんを下りると、蔵裏から本堂へ通ふ廊下は二つに別れる。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
慫慂そゝのかされて、丑松は敬之進と一緒に笹屋の入口の敷居を跨いで入つた。昼は行商、夜は農夫などが疲労つかれを忘れるのはこゝで、大なには『ぼや』(雑木の枝)の火が赤々と燃上つた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)