かぶり)” の例文
おのれ一人ひろゝみのかしらよりかぶりり(ひろゝは山にある艸の名也、みのに作れば稿よりかろし、猟師常にこれを用ふ)穴にそろ/\とはひ入り
あついからむねをはだけて、尻端折しりはしよりで、すた/\と出向でむかはれた。かへりには、ほこりのひどさに、すつとこかぶりをしてられたが
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
何百万本の絿毛ちぢれけを植えた仮髪をおかぶりなさっても
見ろ! 野郎は、素袷すあわせのすッとこかぶりよ。おんなは編笠を着て三味線さみせんを持った、その門附かどつけの絵のある処が、お前たちの相性だ。はじめから承知だろう。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
年紀としは二十八九、三十でもあろう、白地の手拭てぬぐいあねさんかぶりにしたのに額は隠れて、あるのか、無いのか、これで眉が見えたらたちまち五ツばかりは若やぎそうな目につく器量。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
婦人おんなは顔の色も変えないで、きれで、血を押えながら、ねえさんかぶりのまま真仰向まあおのけに榎を仰いだ。晴れた空もこずえのあたりは尋常ただならず、木精こだま気勢けはい暗々として中空をめて、星の色も物凄ものすごい。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)