トップ
>
被
>
かむ
ふりがな文庫
“
被
(
かむ
)” の例文
かく判明せる原因は、
該
(
がい
)
要保護人を署内(目白署)に収容せる後に至りて、該人物が巧妙なる
鬘
(
かつら
)
を
被
(
かむ
)
り居たることを発見せるに
因
(
よ
)
る。
鞄らしくない鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
実は少し
面喰
(
めんくら
)
ったのです。どういうわけだかあなたはきっとヴェエルを
被
(
かむ
)
っていらっしゃるはずのように思っていたもんですから。
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
そう思って知らず
識
(
し
)
らず、
頑冥
(
がんめい
)
な人物や、仮面を
被
(
かむ
)
った思想家と同じ穴に陥いっていられるのではあるまいかと、秀麿は思った。
かのように
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
お
高祖頭巾
(
こそずきん
)
を
被
(
かむ
)
り、庭下駄を履いたなりで家を抜け出し、上野の
三橋
(
さんはし
)
の側まで来ると、
夜明
(
よあか
)
しの茶飯屋が出ていたから、お梅はそれへ来て
闇夜の梅
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
……ばかりじゃ無い、……
雁
(
かりがね
)
、
燕
(
つばめ
)
の
行
(
ゆ
)
きかえり、軒なり、空なり、
行交
(
ゆきか
)
う目を、ちょっとは紛らす事もあろうと、昼間は白髪の
仮髪
(
かつら
)
を
被
(
かむ
)
る。
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
二階の
手摺
(
てすり
)
に湯上りの
手拭
(
てぬぐい
)
を
懸
(
か
)
けて、日の目の多い春の町を
見下
(
みおろ
)
すと、
頭巾
(
ずきん
)
を
被
(
かむ
)
って、白い
髭
(
ひげ
)
を
疎
(
まば
)
らに
生
(
は
)
やした
下駄
(
げた
)
の歯入が垣の外を通る。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
さっきの
白
(
しろ
)
い
帽子
(
ぼうし
)
を
被
(
かむ
)
った
子
(
こ
)
が、ランドセルの
中
(
なか
)
の
筆入
(
ふでい
)
れを
鳴
(
な
)
らしながら、
片側
(
かたがわ
)
にある
店
(
みせ
)
の
方
(
ほう
)
に
向
(
む
)
かって
走
(
はし
)
りました。
少女と老兵士
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
法師丸はそのしーんとした闇の中で、夜着を
被
(
かむ
)
って、まんじりとせずに息を凝らしていると、やがて老女の足音がして、衝立の戸をほと/\と
叩
(
たゝ
)
いた。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
式が済むと、円太郎馬車は送られて
火葬場
(
くわさうぢやう
)
へ往つた。二里余りの道中を
絹帽
(
シルクハツト
)
を
被
(
かむ
)
つた会葬者はぞろぞろと続いた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
ガラツ八は此處へ飛込むときチラリと目に留つた、姐さん
被
(
かむ
)
りの甲斐々々しいお靜の姿を思ひ出したのです。
銭形平次捕物控:108 がらツ八手柄話
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
いつか詞か
科
(
こなし
)
で、女が薄情な根性を
曝露
(
ばくろ
)
したら、その時面と向ってそう云って
遣
(
や
)
りたい。もう
疾
(
と
)
うからお前が面を
被
(
かむ
)
っているという事は知っていた。
己
(
おれ
)
は胸が悪かった。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
晩香坡
(
バンクーバ
)
とは全然方角違いのアドミラルチー湾に深入りして雪を
被
(
かむ
)
った
聖
(
セント
)
エリアスの岩山と、フェア・ウェザー山の中間にガッチリと船首を固定さしているのには
呆
(
あき
)
れ返った。
難船小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
壕水
(
ほりみづ
)
に
映
(
う
)
つる星影寒くして、松の
梢
(
こずゑ
)
に風音
凄
(
すご
)
く、夜も早や十時に
垂
(
なんな
)
んたり、立番の巡査さへ今は
欠伸
(
あくび
)
ながらに、炉を股にして身を縮むる
鍛冶橋畔
(
かぢけうはん
)
の暗路を、
外套
(
ぐわいたう
)
スツポリと頭から
被
(
かむ
)
りて
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
それで民子は、例の
襷
(
たすき
)
に前掛姿で麻裏草履という支度。二人が一斗笊
一個宛
(
ひとつずつ
)
を持ち、僕が別に
番
(
ばん
)
ニョ
片籠
(
かたかご
)
と
天秤
(
てんびん
)
とを肩にして出掛ける。民子が跡から
菅笠
(
すげがさ
)
を
被
(
かむ
)
って出ると、母が笑声で呼びかける。
野菊の墓
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
仮面を
被
(
かむ
)
って書いたのである。
奥さんの家出
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
けれども、
冬
(
ふゆ
)
の
鳥打帽
(
とりうちばう
)
を
被
(
かむ
)
つた
久留米絣
(
くるめがすり
)
の
小僧
(
こぞう
)
の、
四顧
(
しこ
)
人影
(
ひとかげ
)
なき
日盛
(
ひざか
)
りを、
一人
(
ひとり
)
雲
(
くも
)
の
峰
(
みね
)
に
抗
(
かう
)
して
行
(
ゆ
)
く
其
(
そ
)
の
勇氣
(
ゆうき
)
は、
今
(
いま
)
も
愛
(
あい
)
する。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と云いながらずっと出た男の
姿
(
なり
)
を見ると、
紋羽
(
もんぱ
)
の綿頭巾を
被
(
かむ
)
り、
裾短
(
すそみじか
)
な
筒袖
(
つゝそで
)
を
着
(
ちゃく
)
し、
白木
(
しろき
)
の
二重廻
(
ふたえまわ
)
りの
三尺
(
さんじゃく
)
を締め、
盲縞
(
めくらじま
)
の股引腹掛と云う
風体
(
ふうてい
)
。
闇夜の梅
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
先生の家は先生のフラネルの
襯衣
(
シャツ
)
と先生の帽子——先生はくしゃくしゃになった
中折帽
(
なかおれぼう
)
に自分勝手に変な
鉢巻
(
はちまき
)
を巻き付けて
被
(
かむ
)
っていた事があった。
博士問題とマードック先生と余
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「ああ、わたしくたびれたわ。
先生
(
せんせい
)
、おんぶしてちょうだい。」と、
白
(
しろ
)
い
帽子
(
ぼうし
)
を
被
(
かむ
)
った、
一人
(
ひとり
)
の
女
(
おんな
)
の
子
(
こ
)
が、お
姉
(
ねえ
)
さんにでもねだるように、
保姆
(
ほぼ
)
さんに、いいました。
少女と老兵士
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
(モデル娘の
方
(
かた
)
を顔にて示す。娘は上着を着、帽を
被
(
かむ
)
り、何か用あり気に戸の近くに立ち留りいる。)
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
被
(
かむ
)
りし
巾
(
きれ
)
を洩れたる髪の色は、薄きこがね色にて、着たる衣は垢つき汚れたりとも見えず。我足音に驚かされてかへりみたる
面
(
おもて
)
、余に詩人の筆なければこれを写すべくもあらず。
舞姫
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
「じゃ、こうしとこうかな。
手拭
(
てぬぐい
)
を、
姐
(
ねえ
)
さん
被
(
かむ
)
りにさせて」
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
大分日焼けのした顔色で、帽子を
被
(
かむ
)
らず、
手拭
(
てぬぐい
)
を畳んで頭に
載
(
の
)
せ、半開きの白扇を額に
翳
(
かざ
)
した……一方雑樹交りに
干潟
(
ひがた
)
のような広々とした
畑
(
はた
)
がある。
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
眼を
醒
(
さま
)
す刺激の底に何所か沈んだ調子のあるのを
嬉
(
うれ
)
しく思いながら、鳥打帽を
被
(
かむ
)
って、銘仙の不断着のまま門を出た。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
男はずっと
被
(
かむ
)
りし手拭を
脱
(
と
)
り、小火鉢の向うへ坐した様子を見ると、何うも
見覚
(
みおぼえ
)
のある
菅野
(
すがの
)
伊之助らしい。
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
奥の壁は全く窓にて占領せられおる。左手の壁に押付けて黒き箪笥を据えあり。その上に
髑髏
(
どくろ
)
に柔かき帽子を
被
(
かむ
)
せたるを載せあり。また小さき素焼の人形、鉢、
冠
(
かんむり
)
を置きあり。
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
眼
(
め
)
を
醒
(
さま
)
す刺激の
底
(
そこ
)
に
何所
(
どこ
)
か
沈
(
しづ
)
んだ調子のあるのを嬉しく思ひながら、
鳥打
(
とりうち
)
帽を
被
(
かむ
)
つて、
銘仙
(
めいせん
)
の不断
着
(
ぎ
)
の儘
門
(
もん
)
を
出
(
で
)
た。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
その時も今
被
(
かむ
)
っている、高い帽子を持っていたが、何だってまたあんな度はずれの帽子を着たがるんだろう。
化鳥
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
磨
(
みが
)
き上げた
山羊
(
やぎ
)
の皮に
被
(
かむ
)
る
埃
(
ほこり
)
さえ目につかぬほどの
奇麗
(
きれい
)
な靴を、刻み足に運ばして甲野家の門に近づいて来る。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
其時
(
そのとき
)
も
今
(
いま
)
被
(
かむ
)
つて
居
(
ゐ
)
る、
高
(
たか
)
い
帽子
(
ばうし
)
を
持
(
も
)
つて
居
(
ゐ
)
たが、
何
(
なん
)
だつてまたあんな
度
(
ど
)
はづれの
帽子
(
ばうし
)
を
着
(
き
)
たがるんだらう。
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
こなたへのさのさと来掛った、と見ると、ふと頬
被
(
かむ
)
りの
裡
(
うち
)
の目ばかり、……そこに立留まった清葉たちを見るや否や、ばねで弾かれたかと思う、くるりと
背後向
(
うしろむき
)
。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「うん。さっきから見えている」と甲野さんは
駱駝
(
らくだ
)
の
毛布
(
けっと
)
を頭から
被
(
かむ
)
ったまま、存外冷淡である。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
赤
(
あか
)
い
着物
(
きもの
)
を
着
(
き
)
て
居
(
ゐ
)
る、みいちやんの
紅雀
(
べにすゞめ
)
だの、
青
(
あを
)
い
羽織
(
はおり
)
を
着
(
き
)
て
居
(
い
)
る
吉公
(
きちこう
)
の
目白
(
めじろ
)
だの、それからお
邸
(
やしき
)
のかなりやの
姫様
(
ひいさま
)
なんぞが、
皆
(
みんな
)
で、からかいに
行
(
い
)
つては、
花
(
はな
)
を
持
(
も
)
たせる、
手拭
(
てぬぐひ
)
を
被
(
かむ
)
せる
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
舞台
(
ぶたい
)
ではもう
始
(
はじ
)
まつてゐる。
出
(
で
)
て
来
(
く
)
る人物が、みんな
冠
(
かんむり
)
を
被
(
かむ
)
つて、
沓
(
くつ
)
を
穿
(
は
)
いて居た。そこへ長い
輿
(
こし
)
を
担
(
かつ
)
いで
来
(
き
)
た。それを舞台の
真中
(
まんなか
)
で
留
(
と
)
めたものがある。
輿
(
こし
)
を卸すと、
中
(
なか
)
から又
一人
(
ひとり
)
あらはれた。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
家主は、かたいやつを、誇らしげにスポンと
被
(
かむ
)
って、腕組をずばりとしながら
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
被
常用漢字
中学
部首:⾐
10画
“被”を含む語句
被仰
頬被
引被
被衣
被布
上被
被居
法被
被入
被物
頭被
被来
被下
蔽被
面被
外被
押被
被遊
打被
被存候
...