かずき)” の例文
かずきの外へ躍出おどりいでて、虚空こくうへさっと撞木しゅもくかじうずまいた風に乗って、はかまくるいが火焔ほのおのようにひるがえったのを、よくも見ないで
縁結び (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
鎌倉時代の上﨟じょうろうにや、小挂こうちぎしゃんと着こなして、練衣ねりぎぬかずきを深くかぶりたる、人の大きさの立姿。こぼるる黒髪小袖のつま、色も香もある人形なり。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
先刻さきに赤城得三が、人形室を出行いでゆきたる少時しばらく後に、不思議なることこそ起りたれ。風も無きに人形のかずき揺めき落ちて、妖麗あでやかなる顔のれ出でぬ。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
三人奇異の思いをなすうち、が手を触れしということ無きに人形のかずきすらりと脱け落ちて、上﨟じょうろうかんばせあらわれぬ。啊呀あなやと顔を見合す処に、いと物凄き女の声あり。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
雨の滴々したたりしとしとと屋根を打って、森の暗さがひさしを通し、みどりが黒く染込しみこむ絵の、鬼女きじょが投げたるかずきにかけ、わずかに烏帽子えぼしかしらはらって、太刀たちに手をかけ、腹巻したるたいななめに
縁結び (新字新仮名) / 泉鏡花(著)