“かずき”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
被衣89.5%
10.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
女は、白地にうす紫の模様のあるきぬを着て、市女笠いちめがさ被衣かずきをかけているが、声と言い、物ごしと言い、紛れもない沙金しゃきんである。
偸盗 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
この頃、気分がはっきりしないと云って朝から、被衣かずきをかぶってねていられるので乳母はとうとう大奥様——光君の母上のところに云ってやった。
錦木 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
かずきの外へ躍出おどりいでて、虚空こくうへさっと撞木しゅもくかじうずまいた風に乗って、はかまくるいが火焔ほのおのようにひるがえったのを、よくも見ないで
縁結び (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
鎌倉時代の上﨟じょうろうにや、小挂こうちぎしゃんと着こなして、練衣ねりぎぬかずきを深くかぶりたる、人の大きさの立姿。こぼるる黒髪小袖のつま、色も香もある人形なり。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
先刻さきに赤城得三が、人形室を出行いでゆきたる少時しばらく後に、不思議なることこそ起りたれ。風も無きに人形のかずき揺めき落ちて、妖麗あでやかなる顔のれ出でぬ。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
三人奇異の思いをなすうち、が手を触れしということ無きに人形のかずきすらりと脱け落ちて、上﨟じょうろうかんばせあらわれぬ。啊呀あなやと顔を見合す処に、いと物凄き女の声あり。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)