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被
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おほ
ふりがな文庫
“
被
(
おほ
)” の例文
げにや
隈
(
くま
)
なく御稜威は光被する。鵬翼萬里、北を
被
(
おほ
)
ひ、大陸を
裏
(
つつ
)
み、南へ更に南へ
伸
(
の
)
びる。曠古未曾有の東亞共榮圈、ああ、盟主日本。
新頌
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
たゞその大部分がその上に積った洪積の赤砂利や
壚※
(
ローム
)
、それから沖積の砂や粘土や何かに
被
(
おほ
)
はれて見えないだけのはなしでした。
イギリス海岸
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
この子を
被
(
おほ
)
ふのには
黄八丈
(
きはちぢやう
)
の蒲団でも
縮緬
(
ちりめん
)
でもまだ足るものとは思はないのに、余りに哀れな
更紗
(
さらさ
)
蒲団であるなどヽ思ふのです。
遺書
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
わが血は
嫉妬
(
ねたみ
)
のために湧きたり、我若し人の福ひを見たらんには、汝は我の
憎惡
(
にくしみ
)
の色に
被
(
おほ
)
はるゝをみたりしなるべし 八二—八四
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
彼
(
かれ
)
は
熱心
(
ねつしん
)
に
書
(
か
)
いて
居
(
ゐ
)
る
草
(
くさ
)
の
上
(
うへ
)
に
腰
(
こし
)
から
上
(
うへ
)
が
出
(
で
)
て、
其
(
その
)
立
(
た
)
てた
膝
(
ひざ
)
に
畫板
(
ぐわばん
)
が
寄掛
(
よりか
)
けてある、そして
川柳
(
かはやぎ
)
の
影
(
かげ
)
が
後
(
うしろ
)
から
彼
(
かれ
)
の
全身
(
ぜんしん
)
を
被
(
おほ
)
ひ
画の悲み
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
▼ もっと見る
地球
(
ちきゆう
)
はさういふ
性質
(
せいしつ
)
の
薄皮
(
はくひ
)
を
以
(
もつ
)
て
被
(
おほ
)
はれてをり、
深海床
(
しんかいしよう
)
又
(
また
)
は
地下
(
ちか
)
深
(
ふか
)
い
所
(
ところ
)
は、
緩
(
ゆる
)
く
働
(
はたら
)
く
力
(
ちから
)
に
對
(
たい
)
してしぶとく
抵抗
(
ていこう
)
しないので
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
日の夕となりて、模糊として力なき月光の全都を
被
(
おほ
)
ひ、隨處に際立ちたる
陰翳
(
いんえい
)
を生ぜしとき、われはいよ/\ヱネチアの眞味を領略することを得たり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
日にも風にも
溶
(
と
)
けなかつた、
草木
(
くさき
)
もこほるほどの寒さが、邸内を支配して居つた。着物の裾で、頭と手を
被
(
おほ
)
つて、奧まつた木立の奧の方へ歩きに行つた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
牡
(
を
)
牛をも大切にする風があつて、
其
(
その
)
角を絵具で染め又は金属で
被
(
おほ
)
うて居るのを見受けた。又
牝
(
め
)
牛の
糞
(
ふん
)
を幸福の
呪
(
まじなひ
)
に額へ塗つて居るヒンヅ人にも
沢山
(
たくさん
)
出会つた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
山を
蝕
(
むしば
)
み、裾野を
被
(
おほ
)
ひ、山村を呑みつ吐きつして、前なるは這ふやうに去るかと見れば、後なるは飛ぶ如くに来りなんどする
状
(
さま
)
、観て飽くといふことを覚えず。
雲のいろ/\
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
鎧橋
(
よろひばし
)
に出づ。町の片側は火事なり。その
側
(
かは
)
に面せるに顔、焼くるかと思ふほど熱かりし由。又何か落つると思へば、電線を
被
(
おほ
)
へる
鉛管
(
えんかん
)
の
火熱
(
くわねつ
)
の為に
熔
(
と
)
け落つるなり。
鸚鵡:――大震覚え書の一つ――
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
木
(
こ
)
の
葉
(
は
)
が
陰翳
(
かげ
)
を
落
(
お
)
として
呉
(
く
)
れぬ
冬
(
ふゆ
)
の
夜
(
よ
)
には
覘
(
ねら
)
うて
歩
(
ある
)
く
彼等
(
かれら
)
は
自分
(
じぶん
)
の
羞耻心
(
しうちしん
)
を
頭
(
あたま
)
から
褞袍
(
どてら
)
で
被
(
おほ
)
うて
居
(
ゐ
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
余は手袋をはめ、少し汚れたる外套を背に
被
(
おほ
)
ひて手をば通さず帽を取りてエリスに接吻して
楼
(
たかどの
)
を下りつ。彼は凍れる窻を明け、乱れし髪を
朔風
(
さくふう
)
に吹かせて余が乗りし車を見送りぬ。
舞姫
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
それに
鉤手
(
かぎのて
)
に一連の山があり、そしてその間が平地として、汽車に依つて遠國の蒼渺たる平原と聯絡するやうな、或るやや大きな町の空をば、この日
例
(
いつ
)
になく鈍い緑色の空氣が
被
(
おほ
)
つてゐる。
少年の死
(旧字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
その白布の
蓋
(
きぬがさ
)
に
被
(
おほ
)
はれた光はなまめかしく余りに現代的で、麻炬の火が花を散らしながら煙を含んで赤濁し、闇夜の水上に異鳥を駆使して魚族を捕ふる鵜人の姿を照し出す怪美には若かない。
三次の鵜飼
(新字旧仮名)
/
中村憲吉
(著)
母は默つて傷がどんなに
被
(
おほ
)
はれてゐるかを見探つてゐるらしかつた。
赤い鳥
(旧字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
また善きと悪しきとは
被
(
おほ
)
ふ所なくその前にあらはれたり
智恵子抄
(新字旧仮名)
/
高村光太郎
(著)
薄色ねびしみどり石、
蝕
(
むしば
)
む底ぞ
被
(
おほ
)
ひたる。
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
眉を
被
(
おほ
)
ふをなつかしみ
花守
(旧字旧仮名)
/
横瀬夜雨
(著)
その時までは何とも思はなかつたが、衣服の端で寒い外気を
被
(
おほ
)
はうとした刹那に、某年某月の旅に
嘗
(
な
)
めた異境での悲みが突然心に
蘇
(
よみがへ
)
つたのである。
註釈与謝野寛全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
しかしてかしこにては我のわが疑ひにおけるあたかも
玻瓈
(
はり
)
のその
被
(
おほ
)
ふ色におけるに似たりしかど、この疑ひは
默
(
もだ
)
して時を待つに堪へず 七九—八一
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
焔
(
ほのほ
)
の
下
(
した
)
をくゞるときは、
手拭
(
てぬぐひ
)
にて
頭部
(
とうぶ
)
を
被
(
おほ
)
ふこと。
手拭
(
てぬぐひ
)
が
濕
(
ぬ
)
れてゐれば
猶
(
なほ
)
よく、
座蒲團
(
ざぶとん
)
を
水
(
みづ
)
に
浸
(
ひた
)
したものは
更
(
さら
)
によし。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
水車
(
みづぐるま
)
は
川向
(
かはむかふ
)
にあつて
其
(
その
)
古
(
ふる
)
めかしい
處
(
ところ
)
、
木立
(
こだち
)
の
繁
(
しげ
)
みに
半
(
なか
)
ば
被
(
おほ
)
はれて
居
(
ゐ
)
る
案排
(
あんばい
)
、
蔦葛
(
つたかづら
)
が
這
(
は
)
ひ
纏
(
まと
)
ふて
居
(
ゐ
)
る
具合
(
ぐあひ
)
、
少年心
(
こどもごころ
)
にも
面白
(
おもしろ
)
い
畫題
(
ぐわだい
)
と
心得
(
こゝろえ
)
て
居
(
ゐ
)
たのである。
画の悲み
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
自分達が浮世絵の博物館を
訪
(
と
)
ふた時は曇つた日の午後三時頃であつたが、各室の監視人は自分達の為に
被
(
おほ
)
ひの
帷
(
とばり
)
を
徹
(
てつ
)
して浮世絵の
一一
(
いち/\
)
を実は
内内
(
ない/\
)
迷惑を感じるまで仕細に観せて
呉
(
く
)
れ
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
母が
昨日
(
きのふ
)
拵へてくれたくけ枕が、丁度八百屋に蕎麥糟がこれだけしかなくて、袋の割に中が
少
(
すくな
)
くてぐにや/″\してゐるのを、頭を上げて片方へ寄せて、餘つた
布
(
きれ
)
の端を握つて、暗く
被
(
おほ
)
うた目の上に
赤い鳥
(旧字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
薄色ねびしみどり石、
蝕
(
むしば
)
む底ぞ
被
(
おほ
)
ひたる。
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
都の中の川らしい、川一面と云ふのでないが、作者の目の行つた所には相当に広く芥がひろがつて水を
被
(
おほ
)
ふて居た。
註釈与謝野寛全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
前夜
(
ぜんや
)
の
雨
(
あめ
)
が
晴
(
はれ
)
て
空
(
そら
)
は
薄雲
(
うすぐも
)
の
隙間
(
あひま
)
から
日影
(
ひかげ
)
が
洩
(
もれ
)
ては
居
(
ゐ
)
るものゝ
梅雨
(
つゆ
)
季
(
どき
)
は
爭
(
あらそ
)
はれず、
天際
(
てんさい
)
は
重
(
おも
)
い
雨雲
(
あまぐも
)
が
被
(
おほ
)
り
(
ママ
)
重
(
かさ
)
なつて
居
(
ゐ
)
た。
汽車
(
きしや
)
は
御丁寧
(
ごていねい
)
に
各驛
(
かくえき
)
を
拾
(
ひろ
)
つてゆく。
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
この耀——今われらを包む——は、たえず地に
被
(
おほ
)
はるゝ肉よりも、そのあらはるゝさま劣るべし 五五—五七
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
さうして
深
(
ふか
)
い
海
(
うみ
)
の
底
(
そこ
)
はこの
質
(
しつ
)
の
層
(
そう
)
が
直接
(
ちよくせつ
)
其表面
(
そのひようめん
)
まで
達
(
たつ
)
してゐるか、
或
(
あるひ
)
は
表面近
(
ひようめんちか
)
く
進
(
すゝ
)
んで
來
(
き
)
てゐて、
其上
(
そのうへ
)
を
陸界
(
りくかい
)
の
性質
(
せいしつ
)
のもので
薄
(
うす
)
く
被
(
おほ
)
ふてゐるくらゐにすぎぬと、かう
考
(
かんが
)
へられてゐる。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
すべてが新作である。中にも「紅雀」は青い
被
(
おほ
)
ひを着せた紅雀の籠が何事かの
象徴
(
サンボル
)
であるらしく終始
観客
(
くわんかく
)
の心を引附け、支那の貴人の家の静かな
男女
(
なんによ
)
の挙止応対が
全
(
まつた
)
く
沈鬱
(
メランコリツク
)
な気分を舞台に
漲
(
みなぎ
)
らせた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
一つで壺全体を
被
(
おほ
)
ふた大花であることが解り、其れが勢ひのよい盛りであつたことも解る。心もち横に傾いて居て溢れると云ふ聯想が起つたのであらう。
註釈与謝野寛全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
その
上
(
うへ
)
ならず、
馬
(
うま
)
の
頭
(
あたま
)
と
髭髯
(
しぜん
)
面
(
めん
)
を
被
(
おほ
)
ふ
堂々
(
だう/\
)
たるコロンブスの
肖像
(
せうざう
)
とは、一
見
(
けん
)
まるで
比
(
くら
)
べ
者
(
もの
)
にならんのである。
且
(
か
)
つ
鉛筆
(
えんぴつ
)
の
色
(
いろ
)
はどんなに
巧
(
たく
)
みに
書
(
か
)
いても
到底
(
たうてい
)
チヨークの
色
(
いろ
)
には
及
(
およ
)
ばない。
画の悲み
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
其
(
その
)
場所
(
ばしよ
)
が
全
(
まつ
)
たく
僕
(
ぼく
)
の
氣
(
き
)
に
入
(
い
)
つたのである、
後背
(
うしろ
)
の
崕
(
がけ
)
からは
雜木
(
ざふき
)
が
枝
(
えだ
)
を
重
(
かさ
)
ね
葉
(
は
)
を
重
(
かさ
)
ねて
被
(
おほ
)
ひかゝり、
前
(
まへ
)
は
可
(
かな
)
り
廣
(
ひろ
)
い
澱
(
よどみ
)
が
靜
(
しづか
)
に
渦
(
うづ
)
を
卷
(
まい
)
て
流
(
なが
)
れて
居
(
ゐ
)
る。
足場
(
あしば
)
はわざ/\
作
(
つく
)
つた
樣
(
やう
)
に
思
(
おも
)
はれる
程
(
ほど
)
、
具合
(
ぐあひ
)
が
可
(
い
)
い。
都の友へ、B生より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
被
(
おほ
)
ひたる黒き布長く垂れて
晶子詩篇全集拾遺
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
屋根も
周囲
(
まはり
)
の壁も大木の皮を幅広く
剥
(
は
)
ぎて組合したもので、板を用ゐしは床のみ、床には
莚
(
むしろ
)
を敷き、出入の口はこれ又樹皮を組みて戸となしたるが一枚
被
(
おほ
)
はれてあるばかりこれ開墾者の巣なり家なり
空知川の岸辺
(新字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
唯だ光もて
被
(
おほ
)
ひ給ふ
晶子詩篇全集拾遺
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
被
常用漢字
中学
部首:⾐
10画
“被”を含む語句
被仰
頬被
引被
被衣
被布
上被
被居
法被
被入
被物
頭被
被来
被下
蔽被
面被
外被
押被
被遊
打被
被存候
...