こうぶ)” の例文
金色の微光をこうぶること、すなわち太子の祈りの息吹にふれることのようにも思われ、御一族の悲願が、いよいよ私の心に刻印されてくるのであった。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
冤罪えんざいこうぶッてはこれを弁解する必要が有る。だからこのまま下へ降りる事は出来ない。何故痩我慢なら大抵にしろと『忠告』したのが侮辱になる。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
才幹あり気概ある人で、恭謙にして抑損し、ちとの学問さえあった。然るに酒をこうぶるときは剛愎ごうふくにして人をしのいだ。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
そうしてその痛みが、よいに、酒をこうぶったいきおいで、多数を相手にはげしい喧嘩けんかいどんだ末、さんざんに打ちえられて、手も足もかなくなった時のごとくに吾をにぶたたきこなしていた。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)