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かうむ
ふりがな文庫
“
被
(
かうむ
)” の例文
肩先を斬られたまゝ逃れ、隣家の庭前に監視してゐた、桑藩士本間某を斬り、黒川某に重傷を
被
(
かうむ
)
らせ、馳せて河原町の藩邸に向つた。
大衆維新史読本:07 池田屋襲撃
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
そのうちに
御馳走
(
ごちそう
)
がすむと、彼れの妻は立ちあがつて、彼女の
被
(
かうむ
)
つた屈辱を
公
(
おほやけ
)
にした。のみならず、熱烈に、夫にかう云つた。
日本の女
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
千の
苦艱
(
くげん
)
も
固
(
もと
)
より
期
(
ご
)
したるを、なかなかかかる
寛
(
ゆたか
)
なる信用と、かかる
温
(
あたたか
)
き
憐愍
(
れんみん
)
とを
被
(
かうむ
)
らんは、
羝羊
(
ていよう
)
の
乳
(
ち
)
を得んとよりも彼は望まざりしなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
この一口話の事をば、われ唯だ一の例として、かく
詳
(
つぶさ
)
にはしるしゝなり。これより後も、日としてこれに似たる
辱
(
はづかしめ
)
を
被
(
かうむ
)
らざることなかりき。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
そして是がたかの自ら薦めた故であつたらしいと云つた。しかしたかの此の如き揶揄を
被
(
かうむ
)
つたには、猶別に原因があるらしい。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
下敷
(
したじき
)
になつた
人
(
ひと
)
を
助
(
たす
)
け
出
(
だ
)
すことは
震災
(
しんさい
)
の
防止上
(
ぼうしじよう
)
最
(
もつと
)
も
大切
(
たいせつ
)
なことである。なんとなれば
震災
(
しんさい
)
を
被
(
かうむ
)
る
對象物中
(
たいしようぶつちゆう
)
、
人命
(
じんめい
)
ほど
貴重
(
きちよう
)
なものはないからである。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
心
暫
(
しば
)
らくも安らかなることなし、
一度
(
ひとたび
)
梟身
(
けうしん
)
を尽して、又
新
(
あらた
)
に梟身を得。
審
(
つまびらか
)
に諸の苦患を
被
(
かうむ
)
りて、又尽くることなし。
二十六夜
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
この點を突きとめさへすればもうお鳥との手切れ條件の一つなる治療條件は御免を
被
(
かうむ
)
らうと云ふ下心があつた。
泡鳴五部作:02 毒薬を飲む女
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
月夜
(
つきよ
)
なんざ、
露
(
つゆ
)
にも
色
(
いろ
)
が
染
(
そま
)
るやうに
綺麗
(
きれい
)
です……お
庇
(
かげ
)
を
被
(
かうむ
)
つて、いゝ
保養
(
ほやう
)
をしますのは、
手前
(
てまへ
)
ども。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
しかし
太古
(
たいこ
)
における
日本
(
にほん
)
の
世態
(
せたい
)
は
決
(
けつ
)
してこれが
爲
(
ため
)
に
大
(
だい
)
なる
慘害
(
さんがい
)
を
被
(
かうむ
)
らなかつたことは
明瞭
(
めいれう
)
である。
日本建築の発達と地震
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
百
仭
(
じん
)
の崖上
僅
(
わづか
)
に一条の
笹
(
ささ
)
を
恃
(
たの
)
みて
攀
(
よ
)
ぢし所あり、或は左右両岸の大岩
既
(
すで
)
に
足
(
あし
)
を
噛
(
か
)
み、前面の危石
将
(
まさ
)
に頭上に
落
(
お
)
ち
来
(
きた
)
らんとする所あり、一行
概
(
おおむ
)
ね多少の負傷を
被
(
かうむ
)
らざるはなし。
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
「ところで、御子息數馬殿不慮の御災難を
被
(
かうむ
)
られたと
承
(
うけたま
)
はつたが、御遺骸は?」
銭形平次捕物控:173 若様の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その他の自殺をはかつた者等が釋迦の
彈呵
(
だんか
)
を
被
(
かうむ
)
つたことは記録に明らかである。
華厳滝
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
既ち
小石川柳町
(
こいしかはやなぎちやう
)
の
小流
(
こながれ
)
の如き、
本郷
(
ほんがう
)
なる
本妙寺坂下
(
ほんめうじさかした
)
の
溝川
(
みぞかは
)
の如き、
団子坂下
(
だんござかした
)
から
根津
(
ねづ
)
に通ずる
藍染川
(
あゐそめがは
)
の如き、かゝる
溝川
(
みぞかは
)
流
(
なが
)
るゝ裏町は
大雨
(
たいう
)
の降る
折
(
をり
)
と云へば
必
(
かなら
)
ず
雨潦
(
うれう
)
の氾濫に災害を
被
(
かうむ
)
る処である。
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
自分
(
じぶん
)
は
先
(
ま
)
づ
押
(
おし
)
ずしなるものを一つ
摘
(
つま
)
んで
見
(
み
)
たが
酢
(
す
)
が
利
(
き
)
き
過
(
す
)
ぎてとても
喰
(
く
)
へぬのでお
止
(
や
)
めにして
更
(
さら
)
に
辨當
(
べんたう
)
の一
隅
(
ぐう
)
に
箸
(
はし
)
を
着
(
つ
)
けて
見
(
み
)
たがポロ/\
飯
(
めし
)
で
病人
(
びやうにん
)
に
大毒
(
だいどく
)
と
悟
(
さと
)
り、これも
御免
(
ごめん
)
を
被
(
かうむ
)
り、
元來
(
ぐわんらい
)
小食
(
せうしよく
)
の
自分
(
じぶん
)
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
その憚られ、畏れられし点を除きては、彼は他の憚られ、畏れられざる子よりも多く愛を
被
(
かうむ
)
りき。生きてこそ争ひし父よ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
心
暫
(
しばら
)
くも安らかなるなし、
一度
(
ひとたび
)
梟身
(
けうしん
)
を尽して、又
新
(
あらた
)
に梟身を
得
(
う
)
、
審
(
つまびらか
)
に諸の
苦患
(
くげん
)
を
被
(
かうむ
)
りて、又
尽
(
つく
)
ることなし。
二十六夜
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
この
山
(
やま
)
は
近時
(
きんじ
)
淺間山
(
あさまやま
)
と
交代
(
こうたい
)
に
活動
(
かつどう
)
する
傾
(
かたむ
)
きを
有
(
も
)
つてゐるが、
降灰
(
こうはひ
)
のために
時々
(
とき/″\
)
災害
(
さいがい
)
を
桑園
(
そうえん
)
に
及
(
およ
)
ぼし、
養蠶上
(
ようさんじよう
)
の
損害
(
そんがい
)
を
被
(
かうむ
)
らしめるので、
土地
(
とち
)
の
人
(
ひと
)
に
迷惑
(
めいわく
)
がられてゐる。
火山の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
つき當つたところが豐平川で、それを札幌から豐平町へ渡す鐵橋は、昨年のおほ水——札幌も半ば浸水し、石狩川の沿岸はすべて大害を
被
(
かうむ
)
つた——の時、大破損をした。
泡鳴五部作:05 憑き物
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
某
(
それ
)
の歳
多紀茝庭
(
たきさいてい
)
の発会の日に、蘭軒の嫡子榛軒は酒を
被
(
かうむ
)
つて人と争つた。柏軒はこれを聞いて、
霊枢
(
れいすう
)
一巻を手にして兄の前に進み、諫めて云つた。人には気血動くの年がある。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
日本の女は、何よりも、不名誉を
恥
(
は
)
ぢるものである。
屈辱
(
くつじよく
)
を
被
(
かうむ
)
つたために自殺した女の話は、
枚挙
(
まいきよ
)
し難いといつてもよい。
下
(
しも
)
の物語は、かういふ事実を立証するに足るものである。——
日本の女
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
某縣に於ける時代に、二人が共謀して校長排斥を企ててゐるといふ
寃罪
(
ゑんざい
)
を
被
(
かうむ
)
つたこと。などを語つた間に、燗徳利は二三度自在鍵でつるした鐵瓶を出たり、這入つたりする。
泡鳴五部作:03 放浪
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
次に壽阿彌は微官とは云ひながら公儀の務をしてゐて、頻繁に劇場に出入し、俳優と親しく交り、種々の奇行があつても、
曾
(
かつ
)
て
咎
(
とがめ
)
を
被
(
かうむ
)
つたことを聞かない。これも其類例が少からう。
寿阿弥の手紙
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
継起して
遂
(
つひ
)
に
竟
(
をは
)
ることなし。昼は則ち日光を
懼
(
おそ
)
れ、又人
及
(
および
)
諸の強鳥を恐る。心
暫
(
しば
)
らくも安らかなることなし。
一度
(
ひとたび
)
梟身
(
けうしん
)
を尽して、又
新
(
あらた
)
に梟身を得、
審
(
つまびらか
)
に諸の患難を
被
(
かうむ
)
りて、又尽くることなし。
二十六夜
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
けれども、彼の妻は
凌辱
(
りようじよく
)
を
被
(
かうむ
)
つたことは
公
(
おほやけ
)
にしても、誰が凌辱を加へたかといふことは、公にしなかつた。そのために、凌辱を加へた貴族は、夫や客の騒いでゐる
間
(
あひだ
)
にそつと露台の階段を
下
(
くだ
)
つた。
日本の女
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
後に伊達安芸が重罪を
被
(
かうむ
)
つたもの百二十人の名を挙げてゐるのを見ても、渡辺等の横暴を察することが出来る。其中で最も際立つて見えるのは、
伊東釆女
(
いとううねめ
)
が事と、伊達安芸が事とである。
椙原品
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
嘉永五年に
池辺啓太
(
いけべけいた
)
が熊本で
和蘭
(
おらんだ
)
の砲術を教へた時、横井は門人を
遣
(
や
)
つて伝習させた。池辺は長崎の
高島秋帆
(
たかしましうはん
)
の弟子で、高島が嫌疑を
被
(
かうむ
)
つて江戸に召し寄せられた時、一しよに拘禁せられた男である。
津下四郎左衛門
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
大阪は全国の生産物の融通分配を行つてゐる土地なので、どの地方に
凶歉
(
きようけん
)
があつても、すぐに大影響を
被
(
かうむ
)
る。市内の賤民が飢饉に苦むのに、官吏や富豪が奢侈を
恣
(
ほしいまゝ
)
にしてゐる。平八郎はそれを
憤
(
いきどほ
)
つた。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
被
常用漢字
中学
部首:⾐
10画
“被”を含む語句
被仰
頬被
引被
被衣
被布
上被
被居
法被
被入
被物
頭被
被来
被下
蔽被
面被
外被
押被
被遊
打被
被存候
...