トップ
>
被
>
かづ
ふりがな文庫
“
被
(
かづ
)” の例文
夕
(
ゆふ
)
つかた娘の風の心地に、いと寒しと云へば、
楼
(
たかどの
)
へ往きて
衾
(
ふすま
)
被
(
かづ
)
きて寝よと云ひしかど、一人往かむはさうざうし、誰にまれ共に往きてよと云ふ。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
代官坂の下から、黒衣を
被
(
かづ
)
いた天主教の尼さんが、ゆつくり上つて來る。近附いた時に見ると、眼鏡をかけた・鼻の無闇に大きな・醜い女だつた。
かめれおん日記
(旧字旧仮名)
/
中島敦
(著)
澄み切つた
鋼鉄色
(
かうてついろ
)
の天蓋を
被
(
かづ
)
いて、
寂然
(
じやくねん
)
と静まりかへつた夜の盛岡の街を、唯一人犬の如く
彷徨
(
うろつ
)
く楽みは、其昔、自分の夜毎に繰返すところであつた。
葬列
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
女生れていまだ
首帕
(
かしらぎぬ
)
を
被
(
かづ
)
かず、この者わが
邑
(
まち
)
を、人いかに誹るとも、汝の心に
適
(
かな
)
はせむ 四三—四五
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
そんな時には
屹度
(
きつと
)
丸髷
(
まるまげ
)
に
金縁眼鏡
(
きんぶちめがね
)
をかけて、すぽりと
面帕
(
ヴエール
)
を
被
(
かづ
)
いて、足には
履
(
くつ
)
を
穿
(
は
)
いてゐる。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
▼ もっと見る
永冷
(
ひようれい
)
歯に徹し、骨に徹し、
褞袍
(
どてら
)
二枚に夜具をまで借着したる我をして、
腮
(
あご
)
を以て歯を打たしむ、
竟
(
つひ
)
に走つて室に入り、夜具引き
被
(
かづ
)
きて、夜もすがら物の
怪
(
け
)
に遇ひたる如くに
顫
(
おのゝ
)
きぬ。
霧の不二、月の不二
(新字旧仮名)
/
小島烏水
(著)
越後境に當つた大きな山脈は一齋に銀色に輝く雪を
被
(
かづ
)
いてゐた。
樹木とその葉:02 草鞋の話旅の話
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
さて鳩らそを我が
額
(
ぬか
)
に
被
(
かづ
)
けるとみるや
ランボオ詩集≪学校時代の詩≫
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
夜著
(
よぎ
)
を
被
(
かづ
)
けば、
可笑
(
をか
)
しくも
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
うす絹
被
(
かづ
)
く眉にせむ
花守
(旧字旧仮名)
/
横瀬夜雨
(著)
此処
(
ここ
)
北海の浦々でさへ、日は暖かに、風も柔らいで、降る雨は春の雨、濡れて喜ぶ燕の歌は聞えずとも、梅桃桜ひと時に、花を
被
(
かづ
)
かぬ枝もなく、家に居る人も、晴衣して花の
下
(
もと
)
ゆく子も
漂泊
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
楊の木は片足踏み出したと思ふと、外套を
被
(
かづ
)
いた儘こそ/\逃げ出して
往
(
い
)
つた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
白雲の衾
被
(
かづ
)
きて
花守
(旧字旧仮名)
/
横瀬夜雨
(著)
重い
柄杓
(
ひしやく
)
に水を溢れさせて、口移しに飲まうとすると、サラリと髪が落つる。髪を
被
(
かづ
)
いた顔が水に映つた。
先刻
(
さつき
)
から
断間
(
しきり
)
なしに
熱
(
ほて
)
つてるのに、
周辺
(
あたり
)
の青葉の故か、顔が
例
(
いつも
)
よりも青く見える。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
被
常用漢字
中学
部首:⾐
10画
“被”を含む語句
被仰
頬被
引被
被衣
被布
上被
被居
法被
被入
被物
頭被
被来
被下
蔽被
面被
外被
押被
被遊
打被
被存候
...