かうぶ)” の例文
あくる朝、友の強ゐてとゞむるをさま/″\に言ひ解きてていのぼる。旅の衣を着け、草鞋わらぢ穿うがち、藺席ござかうぶればまた依然として昨日きのふの乞食書生なり。
秋の岐蘇路 (旧字旧仮名) / 田山花袋(著)
むすめが三人あつて、名をまつきくきやうと云つた。与助の妻は酒をかうぶつて大言する癖があつて、「女が三人あるから、一人五百両と積つても千五百両がものはある」
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
かれには寸毫すこし父兄ふけいちからかうぶつてない。頑是ぐわんぜない子供こどもあひだにも家族かぞくちから非常ひじやういきほひをしめしてる。その家族かぞくが一ぱんから輕侮けいぶもつられてるやうに、子供こどもあひだにもまたちひさい與吉よきちあなどられてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
裸々らゝとしてかうぶらず
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
其状鎧をかうぶ幞頭ぼくとうくわんし手にこつを持る、顔貌も甚おごそかならず。造作の様頗る古色あり。豊岡八幡の社にいたる。境中狭けれども一茂林もりんなり。茅茨ばうじの鐘楼あり。一里卅丁板鼻駅、二里十六丁松井田駅なり。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)