)” の例文
院長は汚點しみだらけの上つりを着て、口の聞きやうからが、いら/\した、物に構はないやうな、氣の置けない醫者であつた。
赤い鳥 (旧字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
若い元気のいい女が白いうわりをきて、白や赤の布で髪をつつんで、テキパキと給仕してくれる。どの皿も半額だ。さっきの食券をわたして食べる。
ソヴェト文壇の現状 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
女は白頭巾ずきんに白のうわりという姿である。遺骨の箱は小さな輿こしにのせて二人でさげて行くのである。近頃の東京の葬礼自動車ほど悪趣味なものも少ないと思う。
札幌まで (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
カーキー色の上つりと、穴倉のやうなその室のまはりの壁の黒いのは、さうした色のきれで以つて天井際から蔽はれてゐるのだといふ事を見たゞけで、直ぐに再び繃帶に眼を閉ぢられた。
赤い鳥 (旧字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)