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被
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き
ふりがな文庫
“
被
(
き
)” の例文
「備前屋は古い
暖簾
(
のれん
)
だ。そこのひとり娘が熊に
傷
(
や
)
られるところを助けて貰ったんだから、向うじゃあどんなに恩に
被
(
き
)
てもいいわけだ」
半七捕物帳:29 熊の死骸
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
猪子
(
いぬしゝ
)
して
(
ママ
)
は
大
(
おほき
)
なものよ、
大方
(
おほかた
)
猪
(
いぬしゝ
)
ン
中
(
なか
)
の
王様
(
わうさま
)
が
彼様
(
あんな
)
三角形
(
さんかくなり
)
の
冠
(
かんむり
)
を
被
(
き
)
て、
市
(
まち
)
へ
出
(
で
)
て
来
(
き
)
て、
而
(
そ
)
して、
私
(
わたし
)
の
母様
(
おつかさん
)
の
橋
(
はし
)
の
上
(
うへ
)
を
通
(
とほ
)
るのであらう。
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
爪が、塗料を
被
(
き
)
たサイドの板にめり込んでいた。非常な力を宿した儘死んでいる指を一本ずつ開いて、屍骸を取り離すのが大変だった。
運命のSOS
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
入
(
い
)
れ
替
(
かは
)
つて
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
たのは
熊
(
くま
)
の
膏薬
(
かうやく
)
の
伝次郎
(
でんじらう
)
、やち
草
(
ぐさ
)
で
編
(
あ
)
んだ
笠
(
かさ
)
を
冠
(
かむ
)
り
狸
(
たぬき
)
の
毛皮
(
けがは
)
の
袖
(
そで
)
なしを
被
(
き
)
て、
糧切
(
まぎり
)
は
藤
(
ふぢ
)
づるで
鞘
(
さや
)
が
出来
(
でき
)
てゐる。
鰍沢雪の夜噺(小室山の御封、玉子酒、熊の膏薬)
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
模様入りの人造革を張り詰めた室内の壁には、白樺材を真似た塗料が
被
(
き
)
せてあった。
鋲
(
びょう
)
が、掃除婦の忠実を説明して、光っていた。
踊る地平線:10 長靴の春
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
▼ もっと見る
根岸の御隠殿裏の貸屋に
籠
(
こも
)
った——不義の汚名を
被
(
き
)
せられ、親類一党から義絶された奥方としては、こうするよりほかに工夫はなかった
銭形平次捕物控:138 第廿七吉
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
其の後で鋳掛屋は、
忙
(
せわ
)
しく銅のソース鍋に
被
(
き
)
せ掛けをしました。その鍋の内側をすつかり砂で洗つて、それを火の上に置きました。
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
煙草の烟で上の方はぼんやりと淡青くなって、黒の勝った新らしい模様の友禅メリンスの小さい幕を
被
(
き
)
せた電灯が朧ろに霞んで見える。
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
「チョビ安様々、拝む! おがみやす。まずこれ、このとおり、一生の恩に
被
(
き
)
やす。どうぞどうぞ、お返しなされてくだされませ」
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
不格好な
外套
(
がいとう
)
を
被
(
き
)
て、この頃見馴れない山高帽を
被
(
かぶ
)
った、酒飲みらしい老人の、腰を掛けている前へ行って、瀬戸がお辞儀をして
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
背向
(
うしろむ
)
きの
石地蔵
(
いしじぞう
)
が、看護婦の冠る様な白い帽子を
被
(
き
)
せられ、
両肩
(
りょうかた
)
には白い雪のエパウレットをかついで澄まして立ってござるのだ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
友達の訪れを、心待ちにしていたらしい令嬢の路子は、さっぱりした趣味のよいアフタヌーンを
被
(
き
)
て、新子を
欣
(
よろこ
)
び迎えてくれた。
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
二人
(
ふたり
)
は、いつかその
病院
(
びょういん
)
の
病室
(
びょうしつ
)
へ
案内
(
あんない
)
されたのでした。
准尉
(
じゅんい
)
は、
白
(
しろ
)
い
衣物
(
きもの
)
のそでに
赤
(
せき
)
十
字
(
じ
)
の
印
(
しるし
)
のついたのを
被
(
き
)
て、
足
(
あし
)
を
繃帯
(
ほうたい
)
していました。
僕はこれからだ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
次郎の心では、算盤を
壊
(
こわ
)
したのは、恭一か俊三かに違いないと睨んでいた。その罪を自分で
被
(
き
)
るのはばかばかしいことではある。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
天井裏には
彼
(
か
)
の飼猫と近くの寺の猫が血に染って死んでいたが、その傍に三尺近い大鼠が死んでいたが、それは僧侶の
被
(
き
)
る
法衣
(
ころも
)
を被ていた。
義猫の塚
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
又政宗も朝命を笠に
被
(
き
)
て秀吉が命令ずくに、自分とは別に恨も何も無い北条攻めに参会せよというのには面白い感情を持とう筈は無かった。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
客が座敷に通ると、女史は
蘇格蘭
(
スコツトランド
)
の鴉のやうな真つ黒な洋服を
被
(
き
)
て出て来た。そしてだしぬけに変な調子の英語で話し出した。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
こんな
塩梅
(
あんばい
)
に児供の時分から少し変っていたので、二葉亭を可愛がっていた
祖母
(
おばあ
)
さんは「この子は
金鍔
(
きんつば
)
指
(
さ
)
すか
薦
(
こも
)
被
(
き
)
るかだ、」
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
それが出来ないなら、むしろ、「
褐
(
かつ
)
(
粗衣
(
そい
)
)を
被
(
き
)
て玉を
懐
(
いだ
)
く」という生き方が好ましい。
生涯
(
しょうがい
)
孔子の番犬に終ろうとも、いささかの
悔
(
くい
)
も無い。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
傍
(
そば
)
には
白
(
しろ
)
い
布
(
きれ
)
を
被
(
き
)
せた
讀經臺
(
どきやうだい
)
が
置
(
お
)
かれ、一
方
(
ぱう
)
には
大主教
(
だいしゆけう
)
の
額
(
がく
)
が
懸
(
か
)
けてある、
又
(
また
)
スウャトコルスキイ
修道院
(
しうだうゐん
)
の
額
(
がく
)
と、
枯
(
か
)
れた
花環
(
はなわ
)
とが
懸
(
か
)
けてある。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
朝飯が済でから身仕度するが
凡
(
およ
)
そ二時まで掛ります、大層着物を
被
(
き
)
るのが
八
(
や
)
かましい人で
毎
(
いつ
)
でも婚礼の時かと思うほど
身綺麗
(
みぎれい
)
にして居ました
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
日本服の上に花の附いた帽を
被
(
き
)
て
面紗
(
おもぎぬ
)
を
掩
(
おほ
)
ふた晶子の異様な姿に
路路
(
みちみち
)
人だかりがする、
西班女
(
エスパニヨル
)
だなどと評して居る者もある。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
引開れば是はまた家は
裳脱
(
もぬけ
)
のから
衣
(
ころも
)
被
(
き
)
つゝ
馴
(
なれ
)
にし
夜具
(
やぐ
)
蒲團
(
ふとん
)
も其まゝあれど主はゐず
怪有
(
けふ
)
なる事の
景況
(
ありさま
)
に是さへ
合點
(
がてん
)
行
(
ゆか
)
ざりけり
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
日も暮れていったので、薫も静かに座へもどり、上着を
被
(
き
)
たりなどして、いつも尼君と話す
襖子
(
からかみ
)
の口へその人を呼んで姫君のことなどを聞いた。
源氏物語:51 宿り木
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
と、巨人は其
被
(
き
)
て居る金色の雲を
斷
(
ちぎ
)
り斷つて、昔ツオイスの神が身を
化
(
け
)
した樣な、黄金の雨を二人の上に降らせ始めた。
葬列
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
『お上手を仰しゃること。再婚しないのをいやに恩に
被
(
き
)
せて、しかし場合によっちゃ表面を作る必要が起ってくるんですからね。実に勝手なものよ』
情鬼
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
ペルシア、ギリシア、ローマ人も馬を重用し、ギリシア人殊に善く騎り馬上の競技を好みしが、
勒
(
くつわ
)
と
韁
(
たづな
)
ありて
鐙
(
あぶみ
)
なく、裸馬や布皮
被
(
き
)
せた馬に乗った。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
小野さんは心配の上に
被
(
き
)
せる
従容
(
しょうよう
)
の紋付を、まだ
誂
(
あつら
)
えていない。二十世紀の人は皆この
紋付
(
もんつき
)
を二三着ずつ用意すべしと先の哲学者が述べた事がある。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
長崎の小曽根で一日宿の主人等と花見に行く時お
内儀
(
かみ
)
さんが、今日は
美
(
よ
)
いのを御召しなさいと云つたけれど、私は
平生着
(
ふだんぎ
)
の次ぎのを
被
(
き
)
て行きましたが
千里駒後日譚
(新字旧仮名)
/
川田瑞穂
、
楢崎竜
、
川田雪山
(著)
私のし過しから足立駅長のような善人が、不慮の災難を
被
(
き
)
ることかと思うと、身も世もあられぬような想いがした。
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
その切阿は陰気なありさまをしていて、ただ一つの窓、なおよく言えばトタン板を
被
(
き
)
せた二枚の雨戸きりついていないで、それも常にしめられていた。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
「親分、恩に
被
(
き
)
ますよ——ほんとうに、さっきから言うとおり——ね、たった一度、ゆっくり話せればいいのだから——因果な女だと、
嗤
(
わら
)
ってね——」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
証拠はこの通りといったので、無実のぬれ衣を
被
(
き
)
た小町は、その歌集を洗って、新たに書きこんだ歌を洗いおとし黒主の奸計をあばくという筋なのです。
「草紙洗」を描いて
(新字新仮名)
/
上村松園
(著)
偶
(
たま/\
)
抽斗
(
ひきだし
)
から
出
(
だ
)
した
垢
(
あか
)
の
附
(
つ
)
かぬ
半纏
(
はんてん
)
を
被
(
き
)
て、
髮
(
かみ
)
にはどんな
姿
(
なり
)
にも
櫛
(
くし
)
を
入
(
い
)
れて、さうして
弔
(
くや
)
みを
濟
(
すま
)
すまでは
彼等
(
かれら
)
は
平常
(
いつも
)
にないしほらしい
容子
(
ようす
)
を
保
(
たも
)
つのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
毛皮外套を
被
(
き
)
ても、ゴム
沓
(
ぐつ
)
を穿いても余り長く外に立つてはゐられない。せぎ合つてゐる人の体のぬくもりは、互に暖めはしないで、却て気分を悪くする。
防火栓
(新字旧仮名)
/
ゲオルヒ・ヒルシュフェルド
(著)
しかれどもこれらの条件は皆文学以外の分子にして、言はば文学以外の事に文学の皮を
被
(
き
)
せたる者なり。故に普通に言ひおほせたりとて俳句にはならぬなり。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
あの給仕は、おれの
外套
(
がいとう
)
を頭の上から
被
(
き
)
せかけた。とんでもないところへ袖を通させる。彼は満足していない。今晩、チップはハンケチの下へ隠して置こう。
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
赤熊百合
(
しやぐまゆり
)
、王の
御座所
(
ござしよ
)
の
天幕
(
てんと
)
の
屋根飾
(
やねかざり
)
、夢を
鏤
(
ちりば
)
めた
笏
(
しやく
)
、
埃及王
(
ばろ
)
の
窮屈
(
きゆうくつ
)
な禮服を無理に
被
(
き
)
せられた
古風
(
こふう
)
な
女王
(
ぢよわう
)
。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
その金満家の僧侶は金を貸し利子を取って、そうしてその人に恩を
被
(
き
)
せまた自分も利子を得るという訳です。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
われその必死を救ひながら、今また
他
(
かれ
)
が命を取らば、
怎麼
(
いか
)
にも恩を
被
(
き
)
するに似て、わが身も快くは思はず。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
ロミオ
幸
(
さいは
)
ひ
夜
(
よる
)
の
衣
(
ころも
)
を
被
(
き
)
てゐる、
見附
(
みつ
)
けらるゝ
筈
(
はず
)
はない。とはいへ
卿
(
そもじ
)
に
愛
(
あい
)
せられずば、
立地
(
たちどころ
)
に
見附
(
みつ
)
けられ、
憎
(
にく
)
まれて、
殺
(
ころ
)
されたい、
愛
(
あい
)
されぬ
苦
(
くるし
)
みを
延
(
のば
)
さうより。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
退屈がりの彼はその道筋で出逢はした顔や聞いた話などに一つ/\ころもを
被
(
き
)
せて喜んでゐたのだつた。
静物
(新字旧仮名)
/
十一谷義三郎
(著)
その謙遜なりしこと、今の
兒曹
(
こら
)
も及ばざるべし。考試畢りて後、彼は「カピトリウム」の壇に上りぬ。
拿破里
(
ナポリ
)
の王は手づから濃紫の
袍
(
はう
)
を取りて、彼が背に
被
(
き
)
せき。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
何か
可恐
(
おそろし
)
い下心でもあつて、それもやつぱり慾徳
渾成
(
ずく
)
で恩を
被
(
き
)
せるのだらうと、内心ぢやどんなにも無気味に思つてゐられる事だらう、とそれも私は察してゐる。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
すぐに婆さんに
被
(
き
)
せる夜の物などが心配になって来た。友達は着ていた蒲団を押入れから引き出して
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
もとからの関係で、今では殆んど縁戚同様のつきあいをさせてもらっているのが、惣次郎夫婦のひそかな誇りであったし、またそれを恩に
被
(
き
)
ることも忘れなかった。
和紙
(新字新仮名)
/
東野辺薫
(著)
盗賊をしない者が盗賊の罪を
被
(
き
)
るなんて、お役人だってわかりそうなもの、盗賊をするような人としない人とは一目見てわかりそうなもの、伯父さんが早く行って
大菩薩峠:10 市中騒動の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それでゐながら、この人は、意見の押売をして、そして恩を
被
(
き
)
せてゐるのだから猶更やりきれない。
孤独と法身
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
...
被
(
き
)
せおって! 人に怨みがあるものかないものか! 見よ、見よ、ここ三代が間に
汝
(
なんじ
)
の屋敷にぺんぺん草を生やしてくれん!』『ええ、
喧
(
やかま
)
しいやい、ソレ、もっと薪を ...
棚田裁判長の怪死
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
友情があつてもよし、なくてもよし、恩を
被
(
き
)
てもよし、被ないでもよしなんだ。
酬
(
むく
)
いられない仕事だなどと、
先達
(
せんだつて
)
の会でも誰かが云つたが、そんなことはあるもんか。
双面神
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
被
常用漢字
中学
部首:⾐
10画
“被”を含む語句
被仰
頬被
引被
被衣
被布
上被
被居
法被
被入
被物
頭被
被来
被下
蔽被
面被
外被
押被
被遊
打被
被存候
...