東京の夏は色彩が濃くつて好い。山や田舎と違つて、空気にもいろいろ複雑した色や感じがある。行かふ女達の浴衣の派手なのも好ければ、洋傘の思ひ切りぱつとしてゐるのも好い。朝蔭の凉しい中だけ勉強して、日影が庇に迫つて来る頃からは、盤礴して暮らす。夕 …
著者 | 田山録弥 |
著者 | 田山花袋 |
ジャンル | 文学 > 日本文学 > 評論 エッセイ 随筆 |
初出 | 「文章世界 第十二巻第九号」1917(大正6)年11月1日 |
文字種別 | 新字旧仮名 |
読書目安時間 | 約8分(500文字/分) |
朗読目安時間 | 約14分(300文字/分) |