“樹影”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
こかげ71.4%
じゆえい28.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
少しばかり強く風が渡ると、光りの薄い星が瞬きをして、黒いそこらの樹影こかげが、次ぎから次ぎへと素早くささやきを伝へて行く。
散歩 (新字旧仮名) / 水野仙子(著)
ほやり/\水蒸気立つ土には樹影こかげ黒々と落ち、処女おとめそでの様に青々と晴れた空には、夏雲が白く光る。戸、障子、窓の限りを開放あけはなして存分に日光と風とをれる。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
正義、博愛、平和、文明などいふ外形ばかり美しい幻影が破れた樣に、渠の空想してゐた札幌市中の樹影じゆえいの美觀が滅してしまつた。
泡鳴五部作:05 憑き物 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
月より流るゝかぜこずえをわたるごとに、一庭の月光げつくわう樹影じゆえい相抱あひいだいておどり、はくらぎこくさゞめきて、其中そのなかするのは、無熱池むねつちあそぶのうをにあらざるかをうたがふ。
良夜 (新字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)