泣腫なきはら)” の例文
窓の外を通る兵士の群を見送った眼で主婦の姪を見ると、岸本はリモオジュの田舎いなかから出て来たこの娘が紅く顔を泣腫なきはらしているのに気がついた。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
びんやら、行李こうりやら、支那鞄しなかばんやらが足のも無い程に散らばっていて、塵埃ほこりの香がおびただしく鼻をく中に、芳子は眼を泣腫なきはらして荷物の整理を為ていた。
蒲団 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
あか泣腫なきはらした顔を提げて、やがて扇屋へ帰つて見ると、奥の座敷には種々さま/″\な人が集つて後の事を語り合つて居た。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
芳子は栗梅くりうめ被布ひふを着て、白いリボンを髪にして、眼を泣腫なきはらしていた。送って出た細君の手を堅く握って
蒲団 (新字新仮名) / 田山花袋(著)