“むしろ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ムシロ
語句割合
筵35.7%
蓆27.8%
莚22.4%
寧8.0%
席3.0%
蓙0.5%
氈0.3%
菰莚0.3%
蒸炉0.3%
法筵0.2%
宴莚0.2%
無寧0.2%
茣蓆0.2%
莚蓆0.2%
菰0.2%
蓆売0.2%
薦0.2%
藁蓆0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
と正直に答えますと、暫く私どもの顔を見上げておりました非人は、先刻(さいぜん)、呉れてやった味噌チリの面桶(めんつう)を筵(むしろ)の蔭から取出しました。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
故郷楼桑村(ろうそうそん)の茅屋(あばらや)に、蓆(むしろ)を織って、老母と共に、貧しい日をしのいでいた一家の姿が、ふと熱い瞼(まぶた)のうちに憶い出されたのであろう。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ある日、五番目の孫の八重は学校から帰ってくるなり納屋の前で莚(むしろ)をひろげ、草履(ぞうり)を作っているかやのそばへ、でんと坐りこんだ。
暦 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
どうぞ是非(ぜひ)一つ聴(き)いて頂(いただ)きたい、と云(い)うのは、実(じつ)はそう云(い)う訳(わけ)であるから、寧(むしろ)君(きみ)は病院(びょういん)に入(はい)られた方(ほう)が得策(とくさく)であろうと考(かんが)えたのです。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
九日(ここぬか)はいつよりも蚤(はや)く起出(おきい)でて、草の屋の五八席(むしろ)をはらひ、黄菊しら菊二枝三枝小瓶(こがめ)に挿(さ)し、五九嚢(ふくろ)をかたぶけて酒飯(しゆはん)の設(まうけ)をす。老母云ふ。
夜は縁日の夜店のかんてらの油煙にむせながら、蓙(むしろ)の上の古雜誌を端から端迄順々に探し求めた。
貝殻追放:011 購書美談 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
けふなん葉月(はづき)十四日の夜(よ)、野辺(のべ)にすだく虫の声きかんと、例のたはれたる友どちかたみにひきゐて、両国(りょうごく)の北よしはらの東、鯉(こい)ひさぐ庵(いお)さきのほとり隅田の堤(つつみ)に氈(むしろ)うち敷(しき)て
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
鉄橋を潜ると、左が石頭(せきとう)山、俗に城山である。その洞門のうがたれつつある巌壁(がんぺき)の前には黄の菰莚(むしろ)、バラック、鶴(つる)はし、印半纒(しるしばんてん)、小舟が一、二艘(そう)、爆音、爆音、爆音である。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
蝋(ろう)小屋の蒸炉(むしろ)には、火がごうごうと燃えていた。従兄弟たちは、そのまえに行くと、めいめいに火掻(かき)や棒ぎれをにぎって、さきを争うように、炉口(ろぐち)にうずたかくなっている蝋灰をかきおこしはじめた。
次郎物語:02 第二部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
その日の集まりは、たそがれに終って、昼間の法筵(むしろ)であったので、多くは野に出て働かない町方の女房だの、老人だの、病人や子どもたちであった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もう幾度(いくたび)となく法筵(むしろ)のある時には、いつでも、壁の隅のほうに小さくなって、熱心に自分の話に聞き入っているこの女のあることを知っていた。——ふと姿の見えない時は、親鸞も心のすみで
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこには生田馬場の敗辱に気を腐らせた京極家の若侍輩(ばら)が、鬱憤(うっぷん)ばらしに飲み散らした酒の宴莚(むしろ)が狼藉になってあった。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
且(か)つ予は、その臣の手に死なんよりは、無寧(むしろ)二、三子の手に死なんか。且(また)予縦(たと)い大葬を得ずとも、予道路に死なんや。(子罕、一二)
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
人々は、茣蓆(むしろ)を頭からかぶったり、近くの家の中へ入ったり、篝火を取巻いたりして、初めて経験する戦争の前夜を、不安と、興奮とで明かした。
近藤勇と科学 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
天気の好(い)いわりに往来は少い。墓参(はかまいり)に行(い)くかと思われるような女子供の、車に乗ったのに逢った。町屋の店先に莚蓆(むしろ)を敷いて、子供が日なたぼこりをして遊んでいる。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
大津の駅路(うまやじ)にお妻太夫の、小屋掛けの見世物がかかった時、その菰(むしろ)張りの楽屋の中に、君江とその子の竹太郎とが、一座の人たちに可愛がられながら無邪気に平和に暮らしていて
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「やあ、先に行く大将は、蓆売(むしろ)りの劉さんじゃないか」
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
薦(むしろ)一枚の上におかれることは、上の格子から光のくるのを遮ぎられてしまうと、冷汗を流して、こおろぎに脅えたり、夏であると風窓が明いていると、そこへ顔を押しつけていたものだった。
白く降埋(ふりうず)んだ往来には、人や馬の通る痕(あと)が一条(ひとすじ)赤く染(つ)いている——その泥交(どろまじ)りの雪道を、おつぎさんの凍った身体は藁蓆(むしろ)の上に載せられて、巡査小吏(やくにん)なぞに取囲まれて、静に担がれて行きました。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)