“むしろ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ムシロ
語句割合
36.6%
26.2%
22.9%
8.0%
2.9%
0.6%
0.4%
菰莚0.4%
蒸炉0.4%
宴莚0.2%
(他:7)1.4%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そうして、いよいよ二人きりになりました時も、私にとっては、あの柔かいしとねがいわば針のむしろで御座いました。
秘密の相似 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
形ばかりの九尺二間で、雨戸の代りにむしろを下げてある有様で、その前に立っただけで、平次は胸を打たれるような心持です。
玉太郎はすっかり疲れきって、たき火のそばに、しゅろのむしろ寝床ねどこにして、ぐっすりとねむっているのだった。
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
見所は地面に敷いたむしろで大体いはゆる首本党が前に坐り、その後方に私たちのやうな弥次馬が立たり坐つたりして見物する。
能の見はじめ (新字旧仮名) / 中勘助(著)
また砂利の上にむしろを敷きまして、其の上に高手小手たかてこてくゝされて森山勘八が居りますお目付が席を進みて。
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
馬沓は、街道に向っている鳥居前の木にくくしつけ、拍手かしわでを打って、一同はすぐ元の河原のむしろへ帰って来た。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こうした美しさは、鍛錬された芸によって光る美しさではなく、素の美しさで、役者としてはむしろ、恥じてよい美しさである。
役者の一生 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
そこまで信仰においつめられたと言うよりもむしろ、自らたまのよるべをつきとめて、そこに立ち到ったのだと言う外はない。
山越しの阿弥陀像の画因 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
われはさきの夜のむしろにて、おん身の舟人の不幸を歌ひ給ふを聞き、おん身の聲を聞き知りて、直ちにおん身の脚下に跪きぬ。
針のむしろにのる様にて奥さま扱かひ情なくじつとなみだ呑込のみこんで、はい誰れも時候のさわりも御座りませぬ
十三夜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そのとき、寝床の下のむしろの上に、ポツンと赤黒い血の痕がついているのを発見して、彼は驚愕を二倍にした。
棺桶の花嫁 (新字新仮名) / 海野十三(著)
夜は縁日の夜店のかんてらの油煙にむせながら、むしろの上の古雜誌を端から端迄順々に探し求めた。
貝殻追放:011 購書美談 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
こいひさぐいおさきのほとり隅田のつつみむしろうちしきて、おの/\虫のねだんづけの高きひくきをさだめんとす、ゆえありて酒とおんなとをいましめたれば
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
政治まつり朝廟ちょうびょうで議するも、令は相府に左右される。公卿百官はおるも、心は曹操の一びんしょうのみ怖れて、また、宮門の直臣たる襟度きんどを持しておる者もない。——朕においてすら、身は殿上にあるも、針のむしろに坐しているここちがする。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その洞門のうがたれつつある巌壁の前には黄の菰莚むしろ、バラック、鶴嘴、印半纒、小舟が一二艘、爆音、爆音、爆音である。
日本ライン (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
その洞門のうがたれつつある巌壁がんぺきの前には黄の菰莚むしろ、バラック、つるはし、印半纒しるしばんてん、小舟が一、二そう、爆音、爆音、爆音である。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
ろう小屋の蒸炉むしろには、火がごうごうと燃えていた。
次郎物語:02 第二部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
また、広い土間に払げられた櫨の実を、から竿で打ち落したり、蒸炉むしろ焚口たきぐち櫨滓はぜかすを放りこんだり、蝋油の固まったのを鉢からおこしたり、干場一面の真っ白な蝋粉に杉葉で打水をしたりする男衆や女衆にまじって、覚束おぼつかない手伝いをするのも、誇らしい喜びだった。
次郎物語:01 第一部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
そこには生田馬場の敗辱に気を腐らせた京極家の若侍ばらが、鬱憤うっぷんばらしに飲み散らした酒の宴莚むしろが狼藉になってあった。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
つ予は、その臣の手に死なんよりは、無寧むしろ二、三子の手に死なんか。
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
夜半から、又、雪がちらちらしかけた。人々は、茣蓆むしろを頭からかぶったり、近くの家の中へ入ったり、篝火を取巻いたりして、初めて経験する戦争の前夜を、不安と、興奮とで明かした。
近藤勇と科学 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
天王寺前の通に出た。天気のいわりに往来は少い。墓参はかまいりくかと思われるような女子供の、車に乗ったのに逢った。町屋の店先に莚蓆むしろを敷いて、子供が日なたぼこりをして遊んでいる。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
これは後日のことであるが、大津の駅路うまやじにお妻太夫の、小屋掛けの見世物がかかった時、そのむしろ張りの楽屋の中に、君江とその子の竹太郎とが、一座の人たちに可愛がられながら無邪気に平和に暮らしていて、鴫丸がいつも竹太郎を、膝の上へ乗せてあやしたり、背に負ってあやしていたそうである。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「やあ、先に行く大将は、蓆売むしろりの劉さんじゃないか」
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
むしろ一枚の上におかれることは、上の格子から光のくるのを遮ぎられてしまうと、冷汗を流して、こおろぎに脅えたり、夏であると風窓が明いていると
白く降埋ふりうずんだ往来には、人や馬の通るあと一条ひとすじ赤くいている——その泥交どろまじりの雪道を、おつぎさんの凍った身体は藁蓆むしろの上に載せられて、巡査小吏やくにんなぞに取囲まれて、静に担がれて行きました。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)