やす)” の例文
嘉永癸丑米艦浦賀ニ入ル。海内騒擾そうじょう。聖天子旰食かんしょくやすカラズ。幕吏国家ノ大計ヲ以テ模棱もりょうコレニ処セント欲ス。天下ノ志士切歯憤惋ふんわんセザル者ナシ。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
この已来このかた秋稼しうかに至り風雨ついでしたがひて五穀豊かにみのれり。此れすなはち誠をあらはし願をひらくこと、霊貺りやうきやう答ふるが如し。すなはおそれ、載ち惶れて以てみづかやすみするとき無し。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
祖禰そでいより、づから甲冑を擐し、山川を跋渉してやすんじ居るにいとまあらず、東、毛人を征する五十五国、西、衆夷を服する六十六国、渡りて海北を平ぐる九十五国、王道融泰
『一物を知らざれば、以て深き恥となす。人に遭うて問ふ、やすき日有る少し。』
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
然レドモ東西隔絶スルコト千里余ナリ。ノ羽族ノ序ヲヒ影ヲつらネテ飲啄いんたく相離ルヽコトナキガ如クナルコト能ハズ。悲ミ中ヨリ生ジ老涙さいニ交ル。コレガタメニ竟夕きょうせきやすカラズ。坐シテ以テあしたヲ待ツ。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)