“なさけ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ナサケ
語句割合
90.9%
慈悲1.5%
仁慈0.9%
情愛0.9%
0.6%
仁情0.6%
人情0.6%
好情0.6%
愛情0.6%
慈愛0.6%
親切0.6%
厚情0.3%
厚意0.3%
同情0.3%
0.3%
情実0.3%
0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
つれなかりし昔の報いとならば、此身を千千ちゞきざまるゝとも露壓つゆいとはぬに、なまじあだなさけの御言葉は、心狹き妾に、恥ぢて死ねとの御事か。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
クレーヴシン ああ王さま、慈悲なさけを御存じありませぬか?
ウスナの家 (新字新仮名) / フィオナ・マクラウド(著)
鉄が親の気持もよかろし汝の寝覚めもよいというものだと心づけて下すったその時は、ああどうしてこんなに仁慈なさけ深かろとありがたくてありがたくて私は泣きました
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
いかにってげ出したような性質もちまえがさする返答なればとて、十兵衛厭でござりまするとはあまりなる挨拶あいさつひと情愛なさけのまるでわからぬ土人形でもこうは云うまじきを
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
叔父おじにさえあさましき難題なんだい云いかけらるゝ世の中に赤の他人でこれほどのなさけ、胸にこたえてぞっとする程うれし悲しく、せ返りながら、きっと思いかえして
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
百両の金が何でるか知らぬがあれ程の悌順やさしい女を金にかえらるゝ者と思うて居る貴様の心がさもしい、珠運という御客様の仁情なさけ半分汲めたならそんな事わずに有難涙ありがたなみだむせびそうな者。
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
私はもしものことがあれば親方や姉御のためと云や黒煙のあおりを食っても飛び込むぐらいの了見は持って居るに、畜生ッ、ああ人情なさけない野郎め、のっそりめ
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
親切の上親切を尽してわが知恵思案を凝らせし絵図までやらんというものを、むげに返すか慮外なり、何ほど自己おのれ手腕うでのよくてひと好情なさけを無にするか
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
人間の夢も愛情なさけも亡びなむこの地球ほし運命さだめかなしと思ふ
和歌でない歌 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)
是非先方むこうよりかしらを低くし身をすぼめて此方こちへ相談に来たり、何とぞ半分なりと仕事をわけて下されと、今日の上人様のお慈愛なさけ深きお言葉を頼りに泣きついても頼みをかけべきに、何としてこうは遅きや
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
親方一人でお建てなされ、私は馬鹿で終りまする、と皆まで云わせず源太は怒って、これほど事を分けて云う我の親切なさけを無にしてもか。
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
へい/\有難ありがたぞんじます、うも折角せつかくのお厚情なさけでございますから、御遠慮ごゑんりよ申上まうしあげませぬでお言葉ことばしたがつて、御免ごめんかうむります。主「どうもお人品ひとがらなことだ、ちがふのうー……さア/\此方こつちへおはいり。 ...
どうもなにからなにまでお厚情なさけあづかりまして、有難ありがたぞんじます。
その以前からせがれの縁で、お絹にも厚意なさけを受けた。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「姉と妹二人きりになったのです。故郷の人達の同情なさけに依って、何とか生活して行く道はあるでしょうが、身体だけはうか大切だいじにして下さい。この上、あなたかお妹さんでも病気になると、それこそ取返しが付きませんからね…………」
友人一家の死 (新字新仮名) / 松崎天民(著)
冬の最中に、銃の手入をするのが一番つらかったと云った、赤切あかぎれから血がながれて一生懸命に掃除をする銃身を片はじから汚して行く時のなさけなさと云うものはない。
農村 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
「我が家におかえり下さらぬか。我が家はそなたの家も同様なのだ。もう情実なさけは負わなくともいい、いさぎよくお越しあれ。」
津の国人 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
姉は物も言わんで、微笑ほほえんで、のうるんだなさけの籠るひとみで、二郎を打眺うちながめている。二郎は姉のたもとにしかとすがり付いたまま、もうもう決して決して、放さないと決心したのである。
稚子ヶ淵 (新字新仮名) / 小川未明(著)