慈愛なさけ)” の例文
平常ふだん気の知れぬ夫の傍に居て、口さがなき下婢げじよの手前などに気をかね、一途に気を張詰めたる身ですから、たまたま嬉しき母のことばを聞いてはしみじみ母の慈愛なさけが身に徹して、イイエ、なに
こわれ指環 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
是非先方むこうよりかしらを低くし身をすぼめて此方こちへ相談に来たり、何とぞ半分なりと仕事をわけて下されと、今日の上人様のお慈愛なさけ深きお言葉を頼りに泣きついても頼みをかけべきに、何としてこうは遅きや
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)