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情
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なさ
ふりがな文庫
“
情
(
なさ
)” の例文
「そうだよ。おまえは
善良
(
ぜんりょう
)
な
忠実
(
ちゅうじつ
)
な友だちだ。けれど
情
(
なさ
)
けないことにはほかのものがいないでは、もうたいしたことはできないのだ」
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
大人
(
おとな
)
が
大人
(
おとな
)
に
叱
(
しか
)
りとばされるというのは、
情
(
なさ
)
けないことだろうと、
人力曳
(
じんりきひ
)
きの
海蔵
(
かいぞう
)
さんは、
利助
(
りすけ
)
さんの
気持
(
きも
)
ちをくんでやりました。
牛をつないだ椿の木
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
せんと思ふ所に
斯
(
かく
)
の如く
住持
(
ぢうぢ
)
の
情
(
なさ
)
け深く教へて
呉
(
くれ
)
ける故大いに悦び拜々有難う御座りますと
云
(
いひ
)
つゝ彼の位牌壇より
壁
(
かべ
)
に有る
足溜
(
あしだま
)
りへ足を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
しかし、
私
(
わたし
)
は、この
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
の
情
(
なさ
)
けある
人
(
ひと
)
さまの
救
(
すく
)
いにすがらなければ、この
身
(
み
)
でどうして
暮
(
く
)
らしてゆくことができましょう……。
ある冬の晩のこと
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
私は最後の甘干を食っても、まだ日が暮れないのを見て、
泫然
(
げんぜん
)
として思わず泣きました。東風君、僕は実に
情
(
なさ
)
けなくって泣いたよ
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
彼は
諒解
(
りょうかい
)
に苦しんだ。彼の鼻の先に男や女がとおるのである。それにも
拘
(
かかわ
)
らず、誰もこっちを向いてくれない。こんな
情
(
なさ
)
けない話はなかった。
見えざる敵
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
『あァ、
公爵夫人
(
こうしやくふじん
)
、
公爵夫人
(
こうしやくふじん
)
!あァ、
辛抱
(
しんばう
)
して
待
(
ま
)
つて
居
(
ゐ
)
たら
此麽
(
こんな
)
情
(
なさ
)
けない
目
(
め
)
に
合
(
あ
)
やしなかつたらうに!』と
呟
(
つぶや
)
きながら、
大急
(
おほいそ
)
ぎで
駈
(
か
)
けて
來
(
き
)
ました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
保名
(
やすな
)
は
情
(
なさ
)
け
深
(
ぶか
)
い
侍
(
さむらい
)
でしたから、かわいそうに
思
(
おも
)
って、
家来
(
けらい
)
にかつがせた
箱
(
はこ
)
の中に
狐
(
きつね
)
を
入
(
い
)
れて、かくまってやりました。
葛の葉狐
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
ほんとうに
情
(
なさ
)
けないと思いながらはい込んで行きましたら犬神はうしろから
砂
(
すな
)
を
吹
(
ふ
)
きつけて
追
(
お
)
い込むようにしました。
サガレンと八月
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「ま、お前はなんて
情
(
なさ
)
けないまねをするの。チンチンなんかよして威勢のいいところをやらなくちゃ駄目じゃないの」
ノンシャラン道中記:06 乱視の奈翁 ――アルル牛角力の巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
ホントに考えてみれば今の女子教育は
情
(
なさ
)
けないほど
迂闊
(
うかつ
)
ですね。といってそういう私もお米の事を少しも存じません。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
桑名でああいう
援護
(
えんご
)
をうけて、またまた、この
御岳
(
みたけ
)
でも、同じ五三の
桐
(
きり
)
の
幕
(
まく
)
のかげに、
武士
(
ぶし
)
の
情
(
なさ
)
けをうけようとは。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私は
暫
(
しばら
)
くたちどまつてぢいとそれらの顏々を見まもりました。なんとなくあさましいやうな、
情
(
なさ
)
けないやうな氣がしみ/″\として來て、思はず
知
(
し
)
らず顏がそむけられました。
冬を迎へようとして
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
昔に
優
(
まさ
)
る両親の処置の
情
(
なさ
)
けなさ、かかる家庭にあるも心苦しくて
他出
(
たしゅつ
)
することの
数〻
(
しばしば
)
なりしにつれて、覚えずも魔の道に踏み迷い、借財山の如くになりて
遂
(
つい
)
に父上の怒りに触れ
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
男優E (平然として)待てば海路の日和、旱天の
驟雨
(
にはかあめ
)
、
情
(
なさ
)
けは人の為めならず……。
職業(教訓劇)
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
僕
(
ぼく
)
はその
爲
(
ため
)
にも「しるこ」
屋
(
や
)
のないことを
情
(
なさ
)
けないことの一つに
數
(
かぞ
)
へざるを
得
(
え
)
ない。
しるこ
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ルピック夫人——
情
(
なさ
)
けない子だよ、お前は……。こんなこといってたら、きりがありゃしない。まるで、母さんの前じゃ口がきけないみたいじゃないか。だけどね、今は二人っきりだ。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
けれども、それが
彼女
(
かれ
)
には、なんとなく、
情
(
なさ
)
けないやうな
氣
(
き
)
がするのであつた。
追憶
(旧字旧仮名)
/
素木しづ
(著)
ステーションを幾つか通越したが、長いこと停車してゐた処もあるし、
直
(
ぢ
)
き発車した処もある。其中に日が暮れて、技師の
情
(
なさ
)
けで物を食はされたから、ミハイロは丁寧に辞儀をして礼を言つた。
椋のミハイロ
(新字旧仮名)
/
ボレスワフ・プルス
(著)
四民平等の世の中なのに——
俺
(
おれ
)
はいけない。なあんだ、当り前だと思いながら、
情
(
なさ
)
けないことに町人
根生
(
こんじょう
)
がぬけないのだな、心ではそう思いながら、つまらない奴に、自然と頭が下がりやがる。
旧聞日本橋:15 流れた唾き
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
七時半頃になつて街へ出たが、まだ
飾瓦斯
(
かざりがす
)
も
飾提灯
(
かざりぢやうちん
)
の
灯
(
ひ
)
もちらほらよりついて居ない。サン・ミツセルの
通
(
とほり
)
に並んだ露店が皆ぶん廻し風の
賭物
(
かけもの
)
遊びの店であるのに自分は少し
情
(
なさ
)
けない気がした。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
なんとなれば
諺
(
ことわざ
)
にも、「
世
(
よ
)
は
情
(
なさ
)
け」という通り、人情が
敦厚
(
とんこう
)
なれば、——もっと
砕
(
くだ
)
いていえば親切とか思いやりとか誠とかがあると、人世は
美
(
うる
)
わしきもの、生ける
甲斐
(
かい
)
あるもののように思われる。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
親
(
おや
)
にさえ
背
(
そむ
)
いて
折角
(
せっかく
)
三浦
(
みうら
)
の
土地
(
とち
)
に
踏
(
ふ
)
みとどまりながら、
自分
(
じぶん
)
は
遂
(
つい
)
に
何
(
なん
)
の
仕出
(
しで
)
かしたこともなかった!
何
(
な
)
んという
腑甲斐
(
ふがい
)
なさ……
何
(
な
)
んという
不運
(
ふうん
)
の
身
(
み
)
の
上
(
うえ
)
……
口惜
(
くや
)
しい……
悲
(
かな
)
しい……
情
(
なさ
)
けない……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
自分
(
じぶん
)
は
學校
(
がくかう
)
の
門
(
もん
)
を
走
(
はし
)
り
出
(
で
)
た。そして
家
(
うち
)
には
歸
(
かへ
)
らず、
直
(
す
)
ぐ
田甫
(
たんぼ
)
へ
出
(
で
)
た。
止
(
と
)
めやうと
思
(
おも
)
ふても
涙
(
なみだ
)
が
止
(
と
)
まらない。
口惜
(
くやし
)
いやら
情
(
なさ
)
けないやら、
前後夢中
(
ぜんごむちゆう
)
で
川
(
かは
)
の
岸
(
きし
)
まで
走
(
はし
)
つて、
川原
(
かはら
)
の
草
(
くさ
)
の
中
(
うち
)
に
打倒
(
ぶつたふ
)
れてしまつた。
画の悲み
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
なんだ
情
(
なさ
)
けない
声
(
こゑ
)
を出すね
小熊秀雄全集-22:火星探険―漫画台本
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
きっと、
情
(
なさ
)
けを
知
(
し
)
らぬ
主人
(
しゅじん
)
は、「
子供
(
こども
)
を
産
(
う
)
むとやっかいだから、
捨
(
す
)
てていこうよ。」といって、
後
(
あと
)
に
残
(
のこ
)
したのでありましょう。
ねこ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
わたしはほんとに
情
(
なさ
)
けなくなって、目にいっぱいなみだをうかべていた。するとヴィタリス
老人
(
ろうじん
)
が軽くなみだの流れ出したほおをつついた。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
その君江なる女がまた愉快な女で、金の
女房然
(
にょうぼうぜん
)
としているかと思えば、身体に暇があると、誰彼なしに
愛嬌
(
あいきょう
)
をふりまいたり、
情
(
なさ
)
けを尽したりした。
ゴールデン・バット事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
あああ、八年の間、夜ひる
寝
(
ね
)
ないでめんどうを見てやってそのお
礼
(
れい
)
がこれか。ああ
情
(
なさ
)
けない、もう世の中はみだれてしまった。ああもうおしまいだ。
シグナルとシグナレス
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
宰相
(
さいしょう
)
は
大
(
たい
)
そう
情
(
なさ
)
け
深
(
ぶか
)
い人でしたから、
鉢
(
はち
)
かつぎがかわいそうな
姿
(
すがた
)
で、いちばんつらいふろ
番
(
ばん
)
のしごとをしているのを
見
(
み
)
て、いつも
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
に
思
(
おも
)
っていました。
鉢かつぎ
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
どうも痛いの痛くないのって、餅の中へ堅く食い込んでいる歯を
情
(
なさ
)
け容赦もなく引張るのだからたまらない。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
殺す心の
其方
(
そな
)
さんも
情
(
なさ
)
け
無
(
ない
)
ぞや恨めしやと
勃然
(
むつく
)
と立てば三次は驚きヤア/\
姉御
(
あねご
)
此私
(
このわし
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
情
(
なさ
)
けないやつ、
意気地
(
いくじ
)
のないやつ、
怠
(
なま
)
けもの、
腰
(
こし
)
ぬけ
腑抜
(
ふぬ
)
け、お天気な少年!
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
たまに男の方から、なんでもないお愛想を云つていたゞきますと、もう、それだけで、気持が浮き立つといふ
情
(
なさ
)
けない状態が、あれでも、二年ほどは続きましたか……。丁度、その頃でございました。
顔
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
ただ、こうして
歩
(
ある
)
いていて、ありがたくも、うれしくも、また
悲
(
かな
)
しくもしみじみと
感
(
かん
)
ずるのは、
人
(
ひと
)
の
情
(
なさ
)
けであると
思
(
おも
)
いました。
薬売りの少年
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
たしかにこれはかしこいやり方ではあったけれど、
情
(
なさ
)
けないことに親方は、これがどんな意外な
結果
(
けっか
)
を生むかさとらなかった。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
「お延、叔父さんは
情
(
なさ
)
けない事になっちまったよ。日本に生れて米の飯が食えないんだから
可哀想
(
かわいそう
)
だろう」
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
(おい、
情
(
なさ
)
けないこと云うじゃないか、おいらはひどく
餓
(
う
)
えてんだ。ちっとオートでも
振
(
ふ
)
る
舞
(
ま
)
えよ。)
バキチの仕事
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「もしもし、
旅
(
たび
)
の
者
(
もの
)
でございますが、
山道
(
やまみち
)
に
迷
(
まよ
)
って、もう
疲
(
つか
)
れて一足も
歩
(
ある
)
かれません。どうぞお
情
(
なさ
)
けに、しばらくわたくしどもを
休
(
やす
)
ませていただきとうございます。」
大江山
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
と、そこまでは、
威勢
(
いせい
)
のいい声を出して、
見得
(
みえ
)
を切ったが、その後で、急に
情
(
なさ
)
けない声になって
人造人間戦車の機密:――金博士シリーズ・2――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
も
召
(
め
)
さるべきの處物頭役大橋文右衛門の
情
(
なさ
)
けにて助けられ廿兩の金子を
惠
(
めぐ
)
み
呉
(
くれ
)
候を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
情
(
なさ
)
け
容赦
(
ようしゃ
)
もなくねじあげられてしまった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「いっしょに
戦
(
たたか
)
って、いっしょに
死
(
し
)
にたいものだ。」と、
徳蔵
(
とくぞう
)
さんに、いいました。もとより
温
(
あたた
)
かな、
誠
(
まこと
)
の
情
(
なさ
)
けを
持
(
も
)
った
徳蔵
(
とくぞう
)
さんですから
とびよ鳴け
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
わたしはひじょうに
高慢
(
こうまん
)
な先生であった。だから
生徒
(
せいと
)
の質問に答えることができないのが
情
(
なさ
)
けなかった。しかもかれはけっしてわたしを
容赦
(
ようしゃ
)
しはしなかった。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
もしや四時までに全快して約束を
履行
(
りこう
)
する事が出来なかったら、気の狭い女の事だから何をするかも知れない。
情
(
なさ
)
けない仕儀になって来た。どうしたら善かろう。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
けれども、
強
(
つよ
)
いばかりが
武士
(
ぶし
)
ではありません。
八幡太郎
(
はちまんたろう
)
が
心
(
こころ
)
のやさしい、
神様
(
かみさま
)
のように
情
(
なさ
)
けの
深
(
ふか
)
い人だということは、
敵
(
てき
)
すらも
感
(
かん
)
じて、
慕
(
した
)
わしく
思
(
おも
)
うようになりました。
八幡太郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
仏は、そこへ並べられたバッグを見たが、一向
見覚
(
みおぼ
)
えがないものだった。記憶の消滅の
情
(
なさ
)
けなさ。
英本土上陸戦の前夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
と
書
(
か
)
きました。もう
一人
(
ひとり
)
の
娘
(
むすめ
)
は、
髪
(
かみ
)
の
毛
(
け
)
の
少
(
すく
)
ない、ちぢれた
子
(
こ
)
でありました。その
娘
(
むすめ
)
は、いたって
性質
(
せいしつ
)
の
善良
(
ぜんりょう
)
な、
情
(
なさ
)
けの
深
(
ふか
)
い
子
(
こ
)
でありました。
夕焼け物語
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
あの男が
牢屋
(
ろうや
)
から出ていればきっとぼくをつかまえるにちがいない。ああ、この
情
(
なさ
)
けない頭、かわいそうな頭、あの男はどんなにそれをひどくぶったことだろう。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
毛筋ほどな細い管を通して、
捕
(
とら
)
えがたい
情
(
なさ
)
けの波が、心の底から
辛
(
かろ
)
うじて流れ出して、ちらりと浮世の日に影を宿したのである。往来に
転
(
ころ
)
がっている表情とは違う。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“情(
感情
)”の解説
感情(かんじょう)とは、ヒトなどの動物がものごとや対象に対して抱く気持ちのこと。喜び、悲しみ、怒り、諦め、驚き、嫌悪、恐怖などがある(感情の一覧)。
(出典:Wikipedia)
情
常用漢字
小5
部首:⼼
11画
“情”を含む語句
情人
情夫
無情
強情
事情
情緒
情婦
感情
表情
愛情
心情
同情
情無
情事
人情
性情
熱情
情合
情死
真情
...