ナサケ)” の例文
其の鮎の獲れる場処と言ふのは、国頭クニガミ海道の難処、源河の里の水辺である。里の処女の姿や、ナサケを謡ふ事が命の琉球の民謡には、村の若者のとりとめぬやるせなさの沁み出たものが多い。
若水の話 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
愍然想リンギヨギヤつてくれせや」と磯藻の様になづさひ寄る濃いナサケに、欠伸を忘れる暇もあつた。幾代の、さうした教養ある流され人の、潮風あたる石塔には、今も香花を絶さぬ血筋が残つてゐる。
雪の島:熊本利平氏に寄す (新字旧仮名) / 折口信夫(著)