情緒こゝろ)” の例文
丑松は仙太を背後うしろから抱〆だきしめて、誰が見ようと笑はうと其様そんなことに頓着なく、自然おのづ外部そとに表れる深い哀憐あはれみ情緒こゝろを寄せたのである。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
形容と情緒こゝろのうら若さ。平和と幸福のうら若さ。
偏奇館吟草 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
先輩の死——どうして其様そんな馬鹿らしいことが細君の夢に入つたものであらう。しかし其を気にするところが女だ。と斯う感じ易い異性の情緒こゝろを考へて、いつそ可笑をかしくも思はれた位。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)