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こヽろ
診察せし
窒扶斯患者に
感染して、
惜しや
三十路にたらぬ
若ざかりを
北海道の
土に
成しぬ、
風の
便りにこれを
聞きしお
園の
心。
姉に
妹に
數多き
同胞をこして
肩ぬひ
揚げの
幼なだちより、いで
若紫ゆく
末はと
寄する
心の
人々も
多かりしが、
空しく二八の
春もすぎて
今歳廿のいたづら
臥
よし
山賤にせよ
庭男にせよ、
我れを
戀ふ
人世に
憎くかるべきか、
令孃の
情緒いかに
縺れけん、
甚之
助母君のもとに
呼ばれ、
此返事を
聞く
間なく、
殘り
惜しげに
出行たるあとにて、
玉の
腕に
此文を
抱き