“じゅくし”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
熟柿81.3%
熟視12.5%
熟思2.1%
熟柹2.1%
熱柿2.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
家康は何事にも、気の永い熟柿じゅくし主義を奉じているが、それを、読み抜いている秀吉も、かれに負けない根気のいいところがある。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼は何か思う所あるらしく、死体の上にかがみ込んで、しばらく、死人の物すごい形相を熟視じゅくししていたが、ヒョイと手を出して、頬のあたりをおさえて見た。
吸血鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
一、俳句の中に言語または材料の解する能はざる者あらば、索引書さくいんしょまたは学者につきてこれを問ひただすべし。言語材料ことごとく分明に解し得ながら一句の意味に解する能はざる所あらば自ら熟思じゅくしすべし。
俳諧大要 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
ずくしはけだし熟柹じゅくしであろう。空の火入れは煙草たばこの吸いがらを捨てるためのものではなく、どろどろにれた柹の実を、その器に受けて食うのであろう。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
振返ふりかえると熱柿じゅくしみたいなにおいをぷんぷんさせたN子です。「聞いたわよ、坂本さん、船のなかで女のひととすごかったんですッてねエ」「ああ」とぼくは素直です。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)