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熟視
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みつ
ふりがな文庫
“
熟視
(
みつ
)” の例文
「先生」と源は放心した人のように灰の動く様を
熟視
(
みつ
)
めて、「先刻の御話でごわすが、足の骨を折られて死んだものがごわしょうか」
藁草履
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
さりながらあの市ヶ谷の監獄生活は誠に貴い省察と静思との時間を
汝
(
おまへ
)
に与へたと、鏡の中から悲しげな両の瞳が
熟視
(
みつ
)
める……
桐の花
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
ね、貴方は私が毎日壁を
熟視
(
みつ
)
め乍ら怩つと考へてる姿を考へられるでせう。ほんとに私は考の中に埋つて居ますの。そして考へ出しても私は法官の前で云つた私の考の何処にも否点を見出しません。
獄中の女より男に
(新字旧仮名)
/
原田皐月
(著)
自然は、私に取っては、どうしても長く
熟視
(
みつ
)
めていられないようなものだ……どうかすると逃げて帰りたく成るようなものだ。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
ともすれば置き忘れたその青玉の
眸
(
ひとみ
)
は
微
(
ほの
)
かなタナグラ人形の
陰影
(
かげ
)
から小さな玉虫の眼のやうに顫へて、絶えず移り気な私の心を気遣はしさうに
熟視
(
みつ
)
める。
桐の花
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
▼ もっと見る
薄い日の光は
明窓
(
あかりまど
)
から射して、軒から外へ
泄
(
も
)
れる煙の渦を青白く照した。丑松は茫然と思ひ沈んで、
炉
(
ろ
)
に燃え上る『ぼや』の
焔
(
ほのほ
)
を
熟視
(
みつ
)
めて居た。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
向ふの土蔵の屋根の上に枯れかかつた名も知れぬ雑草がしんみりと戦ぐでもなく
戦
(
そよ
)
いでゐるのが眼に付いた、その僅な二三本しかない幽かな草の戦ぎがぢつと
熟視
(
みつ
)
めて居るうちに
桐の花
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
銀之助は其を
熟視
(
みつ
)
め乍ら、
種々
(
いろ/\
)
空想を描いて居たが、あまり丑松が黙つて了つて身動きも為ないので、
終
(
しまひ
)
には友達は
最早
(
もう
)
眠つたのかとも考へた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
髑髏
(
どくろ
)
は
熟視
(
みつ
)
む、きゆらそおの血の
酒甕
(
さかがめ
)
の
間
(
あひだ
)
より
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
斯ういふ話を銀之助と文平とが為して居る間、丑松は黙つて、
洋燈
(
ランプ
)
の火を
熟視
(
みつ
)
めて居た。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
髑髏
(
どくろ
)
は
熟視
(
みつ
)
む、
忘
(
わす
)
れたる思ひいでんとするが
如
(
ごと
)
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
髑髏
(
どくろ
)
は
熟視
(
みつ
)
む、
寝
(
ね
)
そべりて
石鹸玉
(
しやぼんだま
)
吹く
女
(
め
)
が
面
(
かほ
)
を。
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
ひとびとは声もなし、河の
面
(
おも
)
をただに
熟視
(
みつ
)
むる。
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
熟視
(
みつ
)
むるは
暗
(
くら
)
き池、谷そこの水のをののき。
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
みな恋の響なり、
熟視
(
みつ
)
むれば——
調
(
しらべ
)
かなでて
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
青ざめて
熟視
(
みつ
)
めつつ
闌
(
ふ
)
くる
瞳
(
ひとみ
)
に。
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
なにを見るとなし
熟視
(
みつ
)
むる
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
光りつつ、
熟視
(
みつ
)
めつつ
畑の祭
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
熟
常用漢字
小6
部首:⽕
15画
視
常用漢字
小6
部首:⾒
11画
“熟”で始まる語句
熟
熟々
熟睡
熟柿
熟練
熟〻
熟慮
熟知
熟考
熟議