熟視じゆくし)” の例文
成程美術家には若い女を裸體にして熟視じゆくしするといふ特權とくけんがあるから、何も其の裸體がめづらしいといふので無い。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
著者ちよしやはこのときかれ反問はんもんして、きみはこの町家ちようか平家建ひらやだておもつてゐるかといつてみたが、該學生がいがくせいつぶかた眞相しんそう了解りようかいしたのは、其状況そのじようきよう暫時ざんじ熟視じゆくししたのちのことであつた。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
小六ころく簡單かんたん返事へんじをしてつた。宗助そうすけまた座敷ざしき御米およねかほ熟視じゆくしした。おこしてらなくつてはわるやうな、またおこしては身體からださはやうな、分別ふんべつかないまどひいだいて腕組うでぐみをした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
わたくしむねをどらしつゝその船躰せんたい熟視じゆくししたが、あゝ、くも不思議ふしぎなる、くも強堅きようけんなる、船艦せんかんがまたとあらうか、わたくしその外形ぐわいけい一見いつけんしたばかりで、じつその船形せんけい巧妙こうめう不思議ふしぎなるにおどろいたが
これを熟視じゆくしされると、兩對岸りようたいがんあひ接觸せつしよくしてゐた模樣もよう想像そう/″\せられるであらうが、さう接續せつぞくしてゐたとかんがへてのみ説明せつめいられる地理學上ちりがくじよう事項じこうが、また其中そのなかふくまれてゐるのである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)