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熟
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じゅく
ふりがな文庫
“
熟
(
じゅく
)” の例文
「
風
(
かぜ
)
が
吹
(
ふ
)
かなくても、
落
(
お
)
ちているよ。」と、
清
(
きよ
)
ちゃんは、このごろ、
木
(
き
)
の
実
(
み
)
がよく
熟
(
じゅく
)
して、ひとりでに
落
(
お
)
ちるのを
知
(
し
)
っていました。
いちょうの葉
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
思わず
二人
(
ふたり
)
ともまっすぐに立ちあがりました。カムパネルラの
頬
(
ほお
)
は、まるで
熟
(
じゅく
)
した
苹果
(
りんご
)
のあかしのようにうつくしくかがやいて見えました。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
命は
建
(
たける
)
がそう言いおわるといっしょに、その
荒
(
あら
)
くれ者を、まるで
熟
(
じゅく
)
したまくわうりを切るように、ずぶずぶと切りほうっておしまいになりました。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
熟
(
じゅく
)
し過ぎた皮の痛んださくらんぼうを拾い出しておふくろは口の中へいれて
仕舞
(
しま
)
う。女弟子の酉子がこれを見て笑う。
さくらんぼ
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
花は芍薬に比べるとすこぶる貧弱だが、その果実はみごとなもので、
熟
(
じゅく
)
して
裂
(
さ
)
けると、その内面が
真赤色
(
しんせきしょく
)
を
呈
(
てい
)
しており、きわめて美しい
特徴
(
とくちょう
)
を
現
(
あらわ
)
している。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
▼ もっと見る
かく動揺されるときは、さなきだに思慮
分別
(
ふんべつ
)
の
熟
(
じゅく
)
せぬ青年はいよいよ心の
衡平
(
こうへい
)
を失い、
些事
(
さじ
)
をも
棒大
(
ぼうだい
)
に思い、あるいは反対に大事を
針小
(
しんしょう
)
に誤る傾向がある。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
せっかく、
方々
(
ほうぼう
)
の国から送られてくるこれらのおいしい
熟
(
じゅく
)
したくだものが、店にかざられたまま、毎日毎日こうもたくさんくさっていくのはどうしたことだろう。
水菓子屋の要吉
(新字新仮名)
/
木内高音
(著)
いわゆる
自
(
おのずか
)
ら
天機
(
てんき
)
熟
(
じゅく
)
すというものでもござろうか。——就いては、元よりわれ等は一心同体。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
丸く
熟
(
じゅく
)
した、温室のメロンのような円満な日日を送っているふうだったが、そのころ、山川が、
混血児
(
あいのこ
)
じみた若い娘と、お茶の水の焼跡を歩いているのを見たというものがあった。
蝶の絵
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
やがて大きな
桑畠
(
くわばたけ
)
へ入って、あの
熟
(
じゅく
)
した桑の実を取って食べながら通ると、二三人葉を
摘
(
つ
)
んでいた、
田舎
(
いなか
)
の婦人があって、養子を見ると、
慌
(
あわ
)
てて
襷
(
たすき
)
をはずして、お
辞儀
(
じぎ
)
をしたがね
縁結び
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
日本海軍の
起源
(
きげん
)
は、安政初年の
頃
(
ころ
)
より長崎にて
阿蘭人
(
オランダじん
)
の
伝
(
つた
)
うるところにして、
伝習
(
でんしゅう
)
およそ六七年、学生の
伎倆
(
ぎりょう
)
も
略
(
ほぼ
)
熟
(
じゅく
)
したるに
付
(
つ
)
き、
幕議
(
ばくぎ
)
、
遠洋
(
えんよう
)
の渡航を
試
(
こころみ
)
んとて
軍艦
(
ぐんかん
)
咸臨丸
(
かんりんまる
)
を
艤装
(
ぎそう
)
し
瘠我慢の説:05 福沢先生を憶う
(新字新仮名)
/
木村芥舟
(著)
時機の
熟
(
じゅく
)
するのを待っている、かれらは早晩自分らの住まいを
求
(
もと
)
めるだろう、いまは東方川の口に
宿
(
やど
)
っているが、一歩転ずれば平和湖を発見するだろう、
湖畔
(
こはん
)
にそってさまよううちには
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
主婦
(
しゅふ
)
の誕生日だが、赤の飯に豆腐汁で、
鰯
(
いわし
)
の一尾も無い。午前に
果樹園
(
かじゅえん
)
を歩いて居たら、水蜜の
早生
(
わせ
)
が五つばかり
熟
(
じゅく
)
して居るのを見つけた。取りあえず午餐の食卓に
上
(
のぼ
)
す。時にとっての好いお祝。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
戦機
(
せんき
)
は
熟
(
じゅく
)
した。
人造人間戦車の機密:――金博士シリーズ・2――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
誠
(
せい
)
一は、
勇気
(
ゆうき
)
を
出
(
だ
)
して、
草
(
くさ
)
を
分
(
わ
)
けてはいっていきました。
桑
(
くわ
)
の
枝
(
えだ
)
を
折
(
お
)
ろうとすると、
熟
(
じゅく
)
しきった
赤
(
あか
)
い
実
(
み
)
が、ぽとぽとと
落
(
お
)
ちました。
芽は伸びる
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
川下の
向
(
む
)
こう
岸
(
ぎし
)
に青く
茂
(
しげ
)
った大きな林が見え、その
枝
(
えだ
)
には
熟
(
じゅく
)
してまっ赤に光るまるい
実
(
み
)
がいっぱい、その林のまん中に高い高い
三角標
(
さんかくひょう
)
が立って
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
また
昔時
(
せきじ
)
シナの
妃
(
きさき
)
が庭園を散歩し、
桃
(
もも
)
の
熟
(
じゅく
)
したのを食い、味の余りに
美
(
び
)
なりしに感じ、独りこれを
食
(
くろ
)
うに忍びず、
食
(
く
)
い残しの半分を皇帝に
捧
(
ささ
)
げ、その愛情の深きを賞せられ
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
筒中
(
とうちゅう
)
に五
雄蕊
(
ゆうずい
)
と一
雌蕊
(
しずい
)
とが見られる。
花後
(
かご
)
には、
宿存花冠
(
しゅくそんかかん
)
の中で
長莢
(
ちょうきょう
)
状の果実が
熟
(
じゅく
)
し、二つに
裂
(
さ
)
けて細かい種子が出る。このように果実が熟した後
茎
(
くき
)
は
枯
(
か
)
れ行き、根は残るのである。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
「そんなものおれとらない。」タネリは
云
(
い
)
いながら黒く
熟
(
じゅく
)
したこけももの間の小さなみちを
砂
(
すな
)
はまに下りて来ました。
サガレンと八月
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「なるほど、みんな
熟
(
じゅく
)
していますね。しかし、
私
(
わたし
)
たちがあれをとって
食
(
た
)
べたら、
人間
(
にんげん
)
が
怒
(
おこ
)
るでありましょう。」
汽車の中のくまと鶏
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
人の生まるるは
熟
(
じゅく
)
して死するためなれば、幼少青年時代は
準備
(
じゅんび
)
の時代で、人生の目的時代はその後に存すると知れば、青年時代の活気を
憧憬
(
しょうけい
)
するは
蝶
(
ちょう
)
を花を楽しむに異ならない。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
花が
了
(
お
)
わると果実ができ、
熟
(
じゅく
)
してそれが
開裂
(
かいれつ
)
すると、中の
褐色
(
かっしょく
)
種子が出る。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
太郎
(
たろう
)
は、
高
(
たか
)
い
竹馬
(
たけうま
)
の
上
(
うえ
)
から、
手
(
て
)
をのばして、いちばんよく
熟
(
じゅく
)
したうまそうなのから
取
(
と
)
ることができたのです。
竹馬の太郎
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
ある
夕焼
(
ゆうや
)
けの
美
(
うつく
)
しい
晩方
(
ばんがた
)
、
私
(
わたし
)
どもの
群
(
む
)
れは、いよいよ
旅
(
たび
)
に
上
(
のぼ
)
りました。そして、一
日
(
にち
)
も
早
(
はや
)
く
花
(
はな
)
の
咲
(
さ
)
いている、
木
(
き
)
の
実
(
み
)
の
熟
(
じゅく
)
している
暖
(
あたた
)
かな
国
(
くに
)
に
帰
(
かえ
)
ろうと
思
(
おも
)
いました。
つばめの話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
ああ、ここだったなと
思
(
おも
)
ってながめますと、そのときと
同
(
おな
)
じように、とちの
木
(
き
)
の
葉
(
は
)
は、
黄色
(
きいろ
)
にいろづいて、
熟
(
じゅく
)
した
実
(
み
)
がいくつも、いくつもぶらさがっていました。
猟師と薬屋の話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
そして、二、三十メートルかなたに、
大
(
おお
)
きなとちの
木
(
き
)
があって、
熟
(
じゅく
)
した
実
(
み
)
がぶらさがっていましたが、その
下
(
した
)
に
黒
(
くろ
)
いものがしきりに
動
(
うご
)
いているのを
見
(
み
)
つけたのです。
猟師と薬屋の話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
ある
夏
(
なつ
)
のこと、ちょうど
休暇
(
きゅうか
)
が
終
(
お
)
わりかけるころから、
年郎
(
としろう
)
くんの
家
(
いえ
)
のいちじゅくは、たくさん
実
(
み
)
を
結
(
むす
)
んで、それは
紫色
(
むらさきいろ
)
に
熟
(
じゅく
)
して、
見
(
み
)
るからにおいしそうだったのです。
いちじゅくの木
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
いろいろの
小鳥
(
ことり
)
は、
林
(
はやし
)
の
中
(
なか
)
にないていましたし、オレンジの
実
(
み
)
は、やはり
黄色
(
きいろ
)
に
熟
(
じゅく
)
していました。
気まぐれの人形師
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
秋
(
あき
)
になると、
田舎
(
いなか
)
は、
圃
(
たんぼ
)
や、
野原
(
のはら
)
にかきの
木
(
き
)
があって、
実
(
み
)
が
真
(
ま
)
っ
赤
(
か
)
にうまそうに
熟
(
じゅく
)
しました。
竹馬の太郎
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
お
城
(
しろ
)
の
内
(
うち
)
には、さびしい
秋
(
あき
)
がきました。つぎに
木
(
き
)
の
葉
(
は
)
のことごとく
落
(
お
)
ちつくしてしまう
冬
(
ふゆ
)
がきました。いろいろな
木
(
き
)
の
実
(
み
)
が
紅
(
あか
)
く
熟
(
じゅく
)
し、それが
落
(
お
)
ちてしまうと
雪
(
ゆき
)
が
降
(
ふ
)
りました。
お姫さまと乞食の女
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
私
(
わたし
)
ども
親子
(
おやこ
)
のものは、この
国
(
くに
)
もだんだん
寒
(
さむ
)
くなったから、
南
(
みなみ
)
の
暖
(
あたた
)
かな、
花
(
はな
)
の
咲
(
さ
)
いて、
木
(
き
)
の
実
(
み
)
の
熟
(
じゅく
)
している
夏
(
なつ
)
の
国
(
くに
)
へ
帰
(
かえ
)
ろうと
思
(
おも
)
いまして、ある
小
(
ちい
)
さな
島
(
しま
)
までやってまいりました。
つばめの話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
いつしか、ほうせんかはすっかり
散
(
ち
)
ってしまいました。そして、
園
(
その
)
には、とうがらしが
赤
(
あか
)
く
色
(
いろ
)
づきました。
山
(
やま
)
には、くりが
紫色
(
むらさきいろ
)
に
熟
(
じゅく
)
すときがきました。
秋
(
あき
)
になったのであります。
二番めの娘
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
山
(
やま
)
から
飛
(
と
)
んできた
小鳥
(
ことり
)
も、たいていはちょっと
枝
(
えだ
)
に
止
(
と
)
まることがあるばかりで、いずれも、
秋
(
あき
)
ならば
赤
(
あか
)
く
実
(
み
)
の
熟
(
じゅく
)
した
木
(
き
)
へ、
春
(
はる
)
ならば、つぼみのたくさんについている
枝
(
えだ
)
へ
降
(
お
)
りていって
大きなかしの木
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
もう
一人
(
ひとり
)
は、ぐみの
木
(
き
)
のえだをわけて、
熟
(
じゅく
)
した
実
(
み
)
をさがしていました。
風七題
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
そして、
秋
(
あき
)
から
冬
(
ふゆ
)
にかけては、
真
(
ま
)
っ
黄色
(
きいろ
)
に
実
(
み
)
が
熟
(
じゅく
)
したのであります。
楽器の生命
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
ここにはもう
長年
(
ながねん
)
いるけれど、そんな
心配
(
しんぱい
)
はすこしもない。それに
山
(
やま
)
には、
赤
(
あか
)
く
熟
(
じゅく
)
した
実
(
み
)
がなっているし、あの
山
(
やま
)
一つ
越
(
こ
)
せば、
圃
(
たんぼ
)
があって、そこには
私
(
わたし
)
たちの
不自由
(
ふじゆう
)
をしないほどの
食物
(
しょくもつ
)
も
落
(
お
)
ちている。
兄弟のやまばと
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
熟
常用漢字
小6
部首:⽕
15画
“熟”を含む語句
熟々
熟視
熟睡
早熟
成熟
爛熟
熟〻
半熟
熟柿
熟練
熟考
熟知
未成熟
黄熟
熟兎
未熟
熟慮
熟達
熟実
熟蝦夷
...