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熟
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よ
ふりがな文庫
“
熟
(
よ
)” の例文
仕舞には話がこゝに書いてある通に、確かに
定
(
きま
)
つて、近処に住む老若男女共、皆な
熟
(
よ
)
くその始終を知つて居るやうになりました。
新浦島
(新字旧仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
また
恙
(
よう
)
の
虫
(
むし
)
の事語りていわく、博士なにがしは或るとき見に来しが何のしいだしたることもなかりき、かかることは
処
(
ところ
)
の医こそ
熟
(
よ
)
く知りたれ。
みちの記
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
いまのお話を
熟
(
よ
)
くお聞き下さいまし、左内さまは太刀取りを押止め、静かに御藩邸を拝し、声を忍んで泣かれたのです、刑場に
曳
(
ひ
)
かれた以上
城中の霜
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
熟
(
よ
)
く見れば白髪を
染
(
そめ
)
た者だ、シテ見ると老人だナ(大)ハイ私しも初めは老人と見込を
附
(
つけ
)
ましたが猶お考え直して見ると第一老人は身体も衰え
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
當時わがいよ/\まことの
孤
(
みなしご
)
になりしをば、まだ
熟
(
よ
)
くも思ひ得ざりしかど、わが穉き心にも、唯だ何となく物悲しかりき。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
▼ もっと見る
蝋燭の淡い光で
熟
(
よ
)
くは判らぬが、
兎
(
と
)
にかく
其処
(
そこ
)
に一種の光る物があるらしい。こんな処だから何が棲んでいるか判らぬ。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
それは別荘の窓は
悉
(
こと/″\
)
く開け放つてあるのに、只一箇所の窓丈鎖してあると云ふ事である。
熟
(
よ
)
く視れば、この二つの窓は重げな扉で厳重に閉ぢてある。
復讐
(新字旧仮名)
/
アンリ・ド・レニエ
(著)
最初に出来たのを、リイケの皿に取つて遣ると、まだ
熟
(
よ
)
く焼けてゐなかつたので、はじけて形がめちや/\になる。
聖ニコラウスの夜
(新字旧仮名)
/
カミーユ・ルモンニエー
(著)
妻は私の田舎を
熟
(
よ
)
く知らなかった。それで「兵さん」と言っても、それが誰であるかを知らないらしかった。
あまり者
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
けれどまた
熟
(
よ
)
く考えると、
春泉
(
はるずみ
)
の婢と小歌とが話合って居た始終の詞に、あれだとかそれだとか符牒のようなことのあったのが、なお幾分の疑いを
胸
(
むね
)
に
遺
(
のこ
)
して
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
又推察を逞くして見れば、此男は胃に力が無くなつて、「時間」も消化することが出来にくいので、その一分一分を精一ぱい
熟
(
よ
)
く咬み砕いてゐるかとも思はれる。
老人
(新字旧仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
さればお定は、丑之助がお八重を初め三人も四人も情婦を持つてる事は
熟
(
よ
)
く知つてゐるので、或晩の如きは、男自身の口から其情婦共の名を言はして
擽
(
くすぐ
)
つて
遣
(
や
)
つた位。
天鵞絨
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
ほんに思えばあの
嬉
(
うれ
)
しさの影をこの胸にぴったり
抱
(
だ
)
き寄せるべきであったろうに。あの苦労の影を
熟
(
よ
)
く味ったら、その
中
(
うち
)
からどれ程嬉しさが
沸
(
わ
)
いたやら知れなんだ物を。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
以前
屡
(
よ
)
くお前に話し/\したことだが、朝
熟
(
よ
)
く寝入っていて知らぬ間に
静
(
そっ
)
と音の立たぬように新聞を胸の上に載せて貰って、その何とも言えない朝らしい新らしい匂いで
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
剛勇ではあり、多勢ではあり、案内は
熟
(
よ
)
く知っていたので、
忽
(
たちまち
)
に淀の城を
攻落
(
せめおと
)
し、与二は兄を
一元寺
(
いちげんじ
)
で
詰腹
(
つめばら
)
切らせてしまった。その功で与二は兄の跡に代って守護代となった。
魔法修行者
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「でも、
熟
(
よ
)
くお
眠
(
よ
)
ツてゐらツしやるんだもの、惡いわ。」と今度は
圓
(
まる
)
い柔な聲がする。基れはお房で。周三は何といふことは無く
熟
(
じつ
)
と耳を澄ました。眼はパツチリ覺めて了つた。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
其家
(
そのいへ
)
の
前
(
まへ
)
なる一
本
(
ぽん
)
の
木
(
き
)
の
下
(
した
)
には
洋卓
(
テーブル
)
が一
脚
(
きやく
)
置
(
お
)
いてあつて、三
月兎
(
ぐわつうさぎ
)
と
帽子屋
(
ばうしや
)
とが
其處
(
そこ
)
で
茶
(
ちや
)
を
飮
(
の
)
んで
居
(
ゐ
)
ると、一
疋
(
ぴき
)
の
福鼠
(
ふくねずみ
)
が
其間
(
そのあひだ
)
へ
來
(
き
)
て
坐
(
すわ
)
つて
居
(
ゐ
)
ましたが、
軈
(
やが
)
て
熟
(
よ
)
く
眠
(
ねむ
)
つて
了
(
しま
)
つたので
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
人間に性慾の錯乱があるのは、誰でもが
熟
(
よ
)
く知つてゐる事だが、鳥類にもそれがある。
唯
(
たゞ
)
鳥類にそんな間違があるからといつて、余り
喧
(
やかま
)
しく言ひ立てる事だけは
止
(
よ
)
して貰ひたい。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
原稿が一度なくなると
復
(
また
)
容易に稿を
更
(
あらた
)
め難いことは、我も人も
熟
(
よ
)
く承知している所である。この大切な品がどんな手落で、遺失粗相などがあるまいものでもないという迷信を生じた。
おばけずきのいわれ少々と処女作
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それから
熟
(
よ
)
く耳を
澄
(
すま
)
してきゝますと人の息をするようでげすな。
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
つかの間であったが
熟
(
よ
)
く眠ったと思う。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
拙
(
つたな
)
き心には何とも
弁
(
わきま
)
へがたく候、この文差上げ候ふ私の心お前様に
熟
(
よ
)
く分り候はんや
覚束
(
おぼつか
)
なく候へども、先ほど申し候ふ
通
(
とおり
)
それはどうでも
宜
(
よろ
)
しく
そめちがへ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
さればお定は、丑之助がお八重を初め三人も四人も
情婦
(
をんな
)
を持つてる事は
熟
(
よ
)
く知つてゐるので、或晩の如きは、男自身の口から其情婦共の名を言はして
擽
(
くすぐ
)
つて遣つた位。
天鵞絨
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
公子。そはいらぬ禮儀なり。われは
熟
(
よ
)
く
渠
(
かれ
)
と相知れり。汝は我友なれば、渠は
特
(
ことさ
)
らに紹介をば求めざるべし。渠は唯だおん身を知ることを得たるを喜ぶならんといふ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
「蒲生家でなければ再び主取りはしないという、その珍重な志操を生かしたい、残念ながら蒲生家にはもう再興の望みはござらぬ、
熟
(
よ
)
く御思案のうえ当家へお仕えなすってはどうか」
日本婦道記:二十三年
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
ですから生れ附の縮毛には必ず何所かに
扁
(
ひらた
)
い所が有る、若し夫が無ければ本統の縮毛では無い、所で私しが此毛を
疏末
(
そまつ
)
な顕微鏡に掛けて
熟
(
よ
)
っく視ました所
根
(
もと
)
から
梢
(
すえ
)
まで満遍なく円い
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
変に
跨
(
また
)
ぎ心地が悪うございますから、
避
(
よ
)
けて通ろうといたしますと、右の薄光りの影の先を、ころころと何か転げる、たちまち顔が
露
(
あらわ
)
れたようでございましたっけ、
熟
(
よ
)
く見ると、
兎
(
うさぎ
)
なんで。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
なる程先生が生得雷を嫌ふことは、わたくしは
熟
(
よ
)
く知つてゐた。それに嘗て躋寿館にゐて落雷に逢つてからは、これを嫌ふことが益甚しくなつてゐたのである。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
かくて一日ごとに我が受くるところの恩澤は加はりゆくなり。姫。否、さる筋の事をいふにはあらず。わが
二親
(
ふたおや
)
のおん身を遇し給ふさまをば、此幾日の間に我
熟
(
よ
)
く知れり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
夫に逆毛で無い後の二本を
熟
(
よ
)
く検めて見ると其根の所が
仮面
(
めん
)
や鬘から
抜
(
ぬけ
)
た者で無く全く
生
(
はえ
)
た頭から抜た者です夫は根の附て居る所で分ります殊に又合点の行かぬのは
此
(
この
)
縮
(
ちゞ
)
れ具合です
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
世事に
疎
(
うと
)
い旦那さまを遺して死ななければならない、それがどんなにお辛いことか、私には骨に徹るほどよくわかりました、女同志でなければわからない辛さが、私には
熟
(
よ
)
くわかったのです
日本婦道記:二十三年
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
しかしもう大分それを見せられた時よりは
智識
(
ちしき
)
が加わっているのだから、その時よりは
熟
(
よ
)
く分った。
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
熟
(
よ
)
くは知らない。交際は万事如才なくて、少し丁寧過ぎるやうな処がある。色の白い小男で、動作が
敏捷
(
びんせふ
)
なせいでもあるだらうが、何処か
滑
(
なめら
)
か過ぎるやうな感じがする。
魔睡
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
お前は本当に清さんを呼ばせる気か、はい本当に呼んでおもらひ申す気でございます、小花さんに済まぬとは私にも
熟
(
よ
)
く分つてをれど、清さんならと思ふも
疾
(
と
)
うからなれば
そめちがへ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
追
(
お
)
ひ
駈
(
か
)
けてまた人を遣り、あの
竪樋
(
たてどい
)
の音に負けぬやうにと、三谷が得意の
一中
(
いっちゅう
)
始まりて、日の暮るるをも知らざりけり、そもそも堀田原の
中屋
(
なかや
)
といつぱ、ここらには
熟
(
よ
)
く知れ渡りたる
競呉服
(
せりごふく
)
にて
そめちがへ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
熟
常用漢字
小6
部首:⽕
15画
“熟”を含む語句
熟々
熟視
熟睡
早熟
成熟
爛熟
熟〻
半熟
熟柿
熟練
熟考
熟知
未成熟
黄熟
熟兎
未熟
熟慮
熟達
熟実
熟蝦夷
...