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熟
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みの
ふりがな文庫
“
熟
(
みの
)” の例文
また寸時も早く
逃出
(
のがれい
)
でんと胸のみ轟かすほどに、やがて女はわが身を送出でて再び葡萄棚の蔭を過ぐる時
熟
(
みの
)
れる
一総
(
ひとふさ
)
の取分けて低く垂れたるを見
葡萄棚
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
穀物はすでに
熟
(
みの
)
りきって、今にも刈り取られるのを待っているように見えた。田では
早稲
(
わせ
)
は刈り終られ、今や中手の刈り入れで百姓は忙しそうに見えた。
田舎医師の子
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
町の裏に繁っていた森も年々に
伐
(
か
)
り尽されて、痩せ土には米も
熟
(
みの
)
らないのであった。唯一の得意先であった足尾の方へ荷物を運ぶ馬も今は何ほども立たなかった。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
熟
(
みの
)
った葡萄畑の彼方に白い壁の家が一つ……そこは彼の生れた家なのだ。酒のやうに醗酵した空気や、色彩や、人情が溶けて流れる。だが、そのうちに睡眠が彼を揺籃へ連れて行く。
虹
(新字旧仮名)
/
原民喜
(著)
「蜜柑の色がつくのをあたしは見たいわ、あれが一面に
熟
(
みの
)
つたら綺麗でせう?」
F村での春
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
▼ もっと見る
草樹を日の光に
頼
(
よ
)
りて発萌せしむるも、百花を
熟
(
みの
)
らして菓実とならしめ、以て山野を
富実
(
ふうじつ
)
ならしむるも、皆なこの精気の致すところなり、吾等人類を
相
(
あひ
)
協和せしめ、相擁護せしむるもまた。
トルストイ伯
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
熟
(
みの
)
りさえすれば、すぐに
鎌
(
かま
)
を入れて収穫するのだ
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
果物を
熟
(
みの
)
らす日の光の暖さは、やがて果物を腐らす日の光ではないか。現實がなければ産れない理想は決して現實と並行しない。何たる謎、矛盾であらう。
歓楽
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
彼女の肉体は
熟
(
みの
)
り、真白の皮膚は
硬
(
かた
)
く張り切り、ぽったりした
頬
(
ほお
)
は
林檎
(
りんご
)
のように
紅
(
あか
)
かった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
菊の花
萎
(
しお
)
るる
籬
(
まがき
)
には
石蕗花
(
つわぶき
)
咲き出で
落葉
(
らくよう
)
の梢に
百舌鳥
(
もず
)
の声早や珍しからず。裏庭の
井
(
い
)
のほとりに栗
熟
(
みの
)
りて落ち
縁先
(
えんさき
)
には
南天
(
なんてん
)
の実、
石燈籠
(
いしどうろう
)
のかげには
梅疑
(
うめもどき
)
色づき
初
(
そ
)
めぬ。
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
それは、廿三歳と云へば成熟しきつた女の身體の、丁度
熟
(
みの
)
つた
果物
(
くだもの
)
の枝に
留
(
とゞま
)
り得ぬと同じく、あらゆる慾情を投げ掛けて凭れかゝるべき強い力のある男の腕を求める其の悶えの爲めに違ひない。
歓楽
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
葡萄
(
ぶどう
)
の棚に
熟
(
みの
)
りたる葡萄つまんと我は久しく
珊瑚集:仏蘭西近代抒情詩選
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
熟
常用漢字
小6
部首:⽕
15画
“熟”を含む語句
熟々
熟視
熟睡
早熟
成熟
爛熟
熟〻
半熟
熟柿
熟練
熟考
熟知
未成熟
黄熟
熟兎
未熟
熟慮
熟達
熟実
熟蝦夷
...