じツ)” の例文
あれや是と思出が幻のやうに胸に閃く。彼は其を心につかまへて置いて、じツと見詰めて見るだけのゆとりとてもなかツた……、閃めき行くまヽだ。
昔の女 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
あいちやんはじツかんがはじめました、『さて、わたしがそれをうちれてつてうしやう?』やがてまたひどうなつたので、あいちやんはおどろいて其顏そのかほ見入みいりました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
紫の羽織を着た十五六の娘の肖像畫だ。描寫も色彩も舊式の油繪で、紫の色もボケたやうになつて見えたが、何かじツと仰ぎ見てゐるやうな眼だけは活々いき/\としてゐた。
昔の女 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
周三は眼をまるくした。そしてじツとお房の顏を見詰めた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)