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瞬
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まばたき
ふりがな文庫
“
瞬
(
まばたき
)” の例文
女は
薄紅
(
うすあか
)
くなった頬を上げて、
繊
(
ほそ
)
い手を額の前に
翳
(
かざ
)
しながら、不思議そうに
瞬
(
まばたき
)
をした。この女とこの文鳥とはおそらく同じ心持だろう。
文鳥
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
万田龍之助は、お染を振り返って「安心して待ってお
出
(
いで
)
」と言わぬばかりの
瞬
(
まばたき
)
をして見せ、男に従って、元来た小路を戻りました。
大江戸黄金狂
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
黙って
瞬
(
まばたき
)
でうなずいた目が消えると、たちまち井戸端へ飛んだと思う、総長屋の
桝形形
(
ますがたなり
)
の空地へ水輪なりにキャキャと声が響いた。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
瞬
(
まばたき
)
一つ出来ず、唾液一つ呑み込み得ないままに、その
臙脂
(
えんじ
)
色の薄ぼけた頬から、青光りする
珊瑚
(
さんご
)
色の唇のあたりを凝視していたのであった。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
貫一は
瞬
(
まばたき
)
も
為
(
せ
)
で
視
(
み
)
てゐたり。宮は窮して彼に会釈さへ
為
(
し
)
かねつ。娘気の
可羞
(
はづかしさ
)
にかくあるとのみ思へる唯継は、
益
(
ますます
)
寄添ひつつ、
舌怠
(
したたる
)
きまでに
語
(
ことば
)
を
和
(
やはら
)
げて
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
▼ もっと見る
刻一刻、見る間に色は
褪
(
あ
)
せて、うす紫に変るころには、空もいつか藍色を増して暗く、中天に輝やく二、三の星は、明日も晴れぞと、互いに
瞬
(
まばたき
)
して知らせあっている。
白峰の麓
(新字新仮名)
/
大下藤次郎
(著)
瞬
(
まばたき
)
もせずに見詰めていると、やがて忽然として手に梭を持った気高い乙女の姿が
顕
(
あらわ
)
れた。
秋の鬼怒沼
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
あまり長い間視凝めてゐると、眼が自然に
瞬
(
まばたき
)
する。すると忽ち空間が新しくなった。が、次の瞬間にはやはりもとの空間だった。私はもう大分長い間生きて、生活にも慣れて来たやうだった。
童話
(新字旧仮名)
/
原民喜
(著)
フォーシュルヴァン老人は妙な
瞬
(
まばたき
)
をした。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
瞬
(
まばたき
)
なんぞしないで聴け。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
お母様も一心に、お父様の顔を見ておいでになりましたが、その大きな美しい眼で二度ほどパチパチと
瞬
(
まばたき
)
をされました。
押絵の奇蹟
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
それでも
瞬
(
まばたき
)
もせずに、
水際
(
みずぎわ
)
まで浸った叔父さんの手首の動くのを待っていた。けれどもそれがなかなかに動かない。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
若い
掏摸
(
すり
)
が
遣損
(
やッそく
)
なって、人中で
面
(
つら
)
を
打
(
ぶ
)
たれながら、お助け、と
瞬
(
まばたき
)
するから、そこア男だ。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それから
瞬
(
まばたき
)
一つせずに、頭をソロソロと左右に傾けて、白いずくめの寝具と、
解
(
と
)
かし流されたまま、枕の左右に乱れかかっている自分の
髪毛
(
かみのけ
)
を見た。
復讐
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
瞬
(
まばたき
)
を
容
(
ゆる
)
さぬとっさの光を受けたその模様には長さの感じがあった。これは大きな
鰻
(
うなぎ
)
だなと思った。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
……と思ううちに後頭部がチクチク痛み初めて、眼の前がグングン暗くなって来たので、二三度大きく
瞬
(
まばたき
)
をしてみた。
木魂
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
心が存外たしかであるのに、眼だけが
霞
(
かす
)
んでくる。いくら
瞬
(
まばたき
)
をしても駄目だ。湯の中に
眸
(
ひとみ
)
を
漬
(
つ
)
けてるようだ。くしゃくしゃする。
焦心
(
じれっ
)
たくなる。
癇
(
かん
)
が起る。
奮興
(
ふんこう
)
の度が
烈
(
はげ
)
しくなる。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
満場の人影が残らず消え失せてしまった後までもまだ揃って頬を硬ばらせたまま
瞬
(
まばたき
)
一つせず、身動き一つしないまま一心に真紅の幕を凝視していた。
二重心臓
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
吾輩は思わず、続け様に二三度
瞬
(
まばたき
)
をしたが、こいつは変だとまぶしいのを我慢してじっと光るものを見つめてやった。するとこの光りは机の上で動いている鏡から出るものだと云う事が分った。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そのこの世ならぬ美しさ……烈しい異様な情熱を籠めた眼の光りのもの凄さ……私は
瞬
(
まばたき
)
一つせずその顔を見上げた。
あやかしの鼓
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
その小さい、紅い唇をムズムズと動かしながら、ソッと眼を見開いて、ちょうどその真横に立っている私の顔を見ると、パチリパチリと大きく二三度
瞬
(
まばたき
)
をした。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
拉甸
(
ラテン
)
人種式の頭の良さとを同時に持っているので御座いますが、それが又……あの通りウットリとした
瞬
(
まばたき
)
のし方でもお察し出来ます通りに、どことなく北欧人種式の隠遁的な
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
女は又も二三度
瞬
(
まばたき
)
をした。微笑がストーン氏の頬を横切って消え失せた。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
今にも泣き出しそうにパチパチと
瞬
(
まばたき
)
をして見せた。
鉄鎚
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
女は二三度大きく
瞬
(
まばたき
)
をした。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
“瞬”の意味
《名詞》
(めまぜ、めまじ)目配せ。
(めまじろぎ)瞬き。
(出典:Wiktionary)
瞬
常用漢字
中学
部首:⽬
18画
“瞬”を含む語句
瞬間
一瞬
瞬時
目瞬
一瞬時
一瞬間
数瞬
屡瞬
電瞬
眼瞬
転瞬
瞬刻
瞬転
三十七年如一瞬
転瞬倏忽
瞬隙
瞬間瞬間
瞬間的
瞬間前
二三度瞬
...