吶喊とき)” の例文
と云うと、わっと吶喊ときを上げて、垣根の陰へ隠れたが、直ぐにむらむらと出て、鶏小屋とりごやの前で、健ちゃんは素飛すっとぶ。
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
たけりつ狂いつ地を一呑みにし、喇叭らっぱの声鳴り渡るも立ち止まる事なし、喇叭の鳴るごとにハーハーと言い、遠くより戦闘をぎつけ、将帥の大声および吶喊ときの声を聞き知る
我にあらざるなり、おもひみる天風北溟ほくめい荒濤くわうたうを蹴り、加賀の白山をちてへらず、雪のひづめの黒駒や、乗鞍ヶ嶽駒ヶ嶽をかすめて、山霊やまたま木魂こだま吶喊ときを作り、この方寸曠古くわうこの天地に吹きすさぶを
霧の不二、月の不二 (新字旧仮名) / 小島烏水(著)
どっ吶喊ときを上げて、小児がみんなそれを追懸けて、一団ひとかたまりに黒くなって駆出すと、その反対の方へ、誰にも見着けられないで、澄まして、すっと行ったと云うが、どうだ、これも変だろう。
朱日記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)