とき)” の例文
新字:
が、何分にも、時代も素姓も知れぬ濡れ佛で、折々のときを獻ずる者はおろか、涎掛よだれかけの寄進に付く者もないといふ哀れな有樣だつたのです。
華嚴宗らしくもない近代的なときの饗應にあづかつた後で、私は經庫の拜觀を申し出た。經庫はアゼクラ式で、小さいながらも陳列はよく整理されてあつた。
奈良二題 (旧字旧仮名) / 野上豊一郎(著)
和出來わでき猪八戒ちよはつかい沙悟淨さごじやうのやうな、へんなのが二人ふたりしやち城下じやうかころちて、門前もんぜんときつたつて、みぎ度胸どきようだからまでおびえまいよ。紹介せうかいをしよう。……(かくはま)にも。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
高綱 薄衣と與一は奧へまゐつて、ときをまゐらする用意なといたせ。
佐々木高綱 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
「お靜、聞いたらうな、八にときを上げる支度だよ」
銭形平次捕物控:167 毒酒 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)