時機とき)” の例文
つぼみとおもひしこずゑはな春雨しゆんうだしぬけにこれはこれはとおどろかるヽものなり、時機ときといふものヽ可笑をかしさにはおそのちいさきむねなにかんぜしか
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ええ業腹ごうはらな、十兵衛も大方我をそう視て居るべし、とく時機ときの来よこの源太が返報しかえし仕様を見せてくれん、清吉ごとき卑劣けちな野郎のしたことに何似るべきか
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
だが、道楽息子が直きにまた勘当されたとき、この時こそ自分だけで自分を生かす時機ときがきたと、離婚のことを言い出すと、先方の親たちは妙なことを言い出した。
「その言い訳は、郷左衛門からも聞き飽きておる。しかも、すでにそれは遅い。幕府へのご誓約に対しても、この秋には、亀山六万石の家名はご返上せねばならぬ時機ときに迫っておるのじゃ」
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とく時機ときの来よ此源太が返報しかへし仕様を見せて呉れむ、清吉ごとき卑劣けちな野郎の為た事に何似るべき歟、てうなで片耳殺ぎ取る如き下らぬ事を我が為うや、我が腹立は木片の火のぱつと燃え立ち直消ゆる
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
時機ときを見ていたのだ。
篝火の女 (新字新仮名) / 吉川英治(著)