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斎
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とき
ふりがな文庫
“
斎
(
とき
)” の例文
旧字:
齋
市九郎がしばしの暇を
窃
(
ぬす
)
んで、托鉢の行脚に出かけようとすると、洞窟の出口に、思いがけなく一椀の
斎
(
とき
)
を見出すことが多くなった。
恩讐の彼方に
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「おそらくは、由緒あるお山のご高徳でいらせられましょう。ぜひ、一
夕
(
せき
)
のお
斎
(
とき
)
なと差上げて、ご法話でも伺いたいと申されますが」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
秋壑はまたある時、千人の僧に
斎
(
とき
)
をした。僧は皆集まってきてその数が既に満ちた。ぼろぼろになった法衣を着た道士がその後からきた。
緑衣人伝
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
又市は幸いにして膏薬を貼って此の
家
(
いえ
)
に逗留して居る間は、惠梅比丘尼は方々へ
斎
(
とき
)
に頼まれて参り、
種々
(
いろ/\
)
な因縁話を致しまして
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「へい、これは菊弥お坊ちゃまで。……これでございますか、これは『飯食い地蔵様』へお供えする昼のお
斎
(
とき
)
でございますよ」
鸚鵡蔵代首伝説
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
が、なにぶんにも、時代も素姓も知れぬ濡れ仏で、折々の
斎
(
とき
)
を献ずる者はおろか、
涎掛
(
よだれか
)
けの寄進に付く者もないという哀れな有様だったのです。
銭形平次捕物控:009 人肌地蔵
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「その
癖
(
くせ
)
、淵の鯉は、
斎
(
とき
)
の鐘を聴いてもこの頃は集って来んようだ。わしは気を付けて行って見るが確かにそうだ」
鯉魚
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
七日経て王また来り
斎
(
とき
)
を設くると諸虎も僧徒と共に至る、食を与え布を解きやるとその後害を成さず
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
それからまた五、六日の後、村民の
斎
(
とき
)
に呼ばれて、寺中の僧は朝からみな出てゆくと、その留守の間にかの土龍の姿が見えなくなったので、人びとはまた驚かされた。
中国怪奇小説集:06 宣室志(唐)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「はい。朝のお
斎
(
とき
)
いただかずに駆けだしてまいりましたゆえ、少しおなかがひもじゅうなりました」
右門捕物帖:29 開運女人地蔵
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
堀部安兵衛も同宿の毛利小平太、横川勘平を代表して、その席に
列
(
つら
)
なった。で、ひととおり読経と
焼香
(
しょうこう
)
がすんだ後、白銀三枚を包んで寺僧に
致
(
いた
)
して、一同別席でお
斎
(
とき
)
についた。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
していても、それが新仏さまの成変りだといってお
斎
(
とき
)
をあげて帰すのがここの風なんです。……だから、新仏といったっていろいろですわ。郵便配達だったり、箕直しだったり……
生霊
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
そこで硯をそこへ置いて薪割りにいった、薪割りが済むとなにかまた用を思いだす、お勤めだとか
斎
(
とき
)
だとか、まあいろいろあるでしょう、
檀家
(
だんか
)
の客があるとか、本堂へ呼ばれるとかね
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
杢若がその怪しげなる
蜘蛛
(
くも
)
の巣を拡げている、この鳥居の向うの隅、以前
医師
(
いしゃ
)
の邸の裏門のあった処に、むかし番太郎と言って、町内の走り
使人
(
つかい
)
、
斎
(
とき
)
、非時の
振廻
(
ふれまわ
)
り、
香奠
(
こうでん
)
がえしの
配歩行
(
くばりある
)
き
茸の舞姫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
同胞
(
はらから
)
めき
斎
(
とき
)
に就き
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
お
斎
(
とき
)
は一
刻
(
とき
)
。やがて
般若湯
(
はんにゃとう
)
(酒)もすっかり廻ると、また祭壇へ出て宵のお経。また休息、またお経。明け方ぢかくまでそれがつづく。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
さりとてうっちゃって置けもせず、干乾しにしちゃア可哀そうだと、お
飯
(
まんま
)
だけはお
斎
(
とき
)
のつもりで、三度三度供えてやってるのさ
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「それでは、
私
(
わし
)
はこれから往くからな」と、僧はあたりにいる人びとの顔を一わたり見て、
斎
(
とき
)
にあずかった礼を云って、「どうぞ殺生しないようにな」
岩魚の怪
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
汝は己の真実の妹だとはいい兼て居り、尼が本堂へ往けば、お熊比丘尼の
後
(
あと
)
に附いて参り、墓場へ往けば墓場へ附いて往く、
斎
(
とき
)
が有ればお供を致しましょうと出て参り
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
その五両を投出して、その晩の
斎
(
とき
)
に、ガラッ八が加わったことは言うまでもありません。
銭形平次捕物控:088 不死の霊薬
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「いや、どうも近ごろにないけっこうな修行をいたしました。事のついでにと申しては無心がましゅうて恐れ入るが、ちょうどお
斎
(
とき
)
のころじゃ。夕食ご
造作
(
ぞうさ
)
にはあずかれまいかな」
右門捕物帖:24 のろいのわら人形
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「ふふ、大したシケ方だ。よしねえ、坊主が
斎
(
とき
)
につきァしめえし、殊勝な面をするな」
魔都
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
ややもすれば
神輿
(
じんよ
)
を振り立てて暴れ出す延暦寺の山法師どもも、この頃はおとなしく
斎
(
とき
)
の味噌汁をすすって経を読んでいるらしい。
長巻
(
ながまき
)
のひかりも高足駄の音も都の人の夢を驚かさなかった。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
人の世の
果敢無
(
はかな
)
さ、
久遠
(
くおん
)
の
涅槃
(
ねはん
)
、その架け橋に、わたしは奇しくも
憩
(
いこ
)
い度い……さあ、もう何も言わないでね。だいぶ暗くなったから、燈でもつけて、それからお
斎
(
とき
)
でもお隣の聖におあげなさい
或る秋の紫式部
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
彼は秋の朝の光の輝く、山国川の
清冽
(
せいれつ
)
な流れを右に見ながら、三口から仏坂の山道を越えて、昼近き頃
樋田
(
ひだ
)
の駅に着いた。淋しい駅で昼食の
斎
(
とき
)
にありついた後、再び
山国谷
(
やまくにだに
)
に添うて南を指した。
恩讐の彼方に
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
肩がわりの念入りで、
丸太棒
(
まるたんぼう
)
で
担
(
かつ
)
ぎ出しますに。——丸太棒めら、丸太棒を
押立
(
おった
)
てて、ごろうじませい、あすこにとぐろを巻いていますだ。あのさきへ矢羽根をつけると、掘立普請の
斎
(
とき
)
が出るだね。
縷紅新草
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
いや隣りの化物屋敷で、まこと酷い目に逢いましたよ。これが化物、ままごと狂女の、お浦という奴に
斎
(
とき
)
をやろうと、膳を
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
その池田勝入も、今夜の席に、居ることは居るが、こよいは亡君のお
斎
(
とき
)
の
賜膳
(
しぜん
)
である。酔うには酔うても、まさか槍踊りというわけにもゆくまい。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
天竜院に
於
(
おい
)
て立派に法事を営み、親方の養子夫婦は勿論兄弟弟子一同を天竜院へ
招待
(
しょうだい
)
して
斎
(
とき
)
を
饗
(
ふるま
)
い、万事
滞
(
とゞこお
)
りなく相済みまして、呼ばれて来た人々は残らず帰りましたから
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「この上夜のお勤めに加わる方はありませんか。
斎
(
とき
)
の料は五両ですが、それがみんな、お困りの方の救い米になります。その功徳によって、一夜安楽浄土の姿がまざまざと見られます」
銭形平次捕物控:088 不死の霊薬
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
許宣も本堂の前で香を
燻
(
くゆ
)
らし、
紙馬紙銭
(
しばしせん
)
を焼き、赤い
蝋燭
(
ろうそく
)
に灯を
点
(
とも
)
しなどして両親の冥福を祈った。そして、寺の本堂へ往き、客堂へあがって
斎
(
とき
)
を
喫
(
く
)
い、寺への布施もすんだので山をおりた。
蛇性の婬 :雷峰怪蹟
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「あたし、失礼するわ。
年忌
(
ねんき
)
のお
斎
(
とき
)
なんか、まっぴらよ」
あなたも私も
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「それがくまという名の人じゃやら、けだもののくまじゃやらわかりませぬゆえ、毎朝お
斎
(
とき
)
のおりにいっしょうけんめい
如来
(
にょらい
)
さまにもお尋ねするのだけれど、どうしたことやら、
阿弥陀
(
あみだ
)
さまはなんともおっしゃってくださりませぬ」
右門捕物帖:10 耳のない浪人
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
お
斎
(
とき
)
の食後、腹痛を起したとか称し、僧三名のうち二名だけその日に帰って、一名だけが山路の陣中に泊まりました。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
で、純八は座敷へ請じて、茶を淹れ
斎
(
とき
)
を進めたりして、
懇
(
ねんごろ
)
に僧を待遇したが
高島異誌
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
えゝ
汝
(
てめえ
)
がぎゃア/\騒ぎ立てるから
彼処
(
あすこ
)
の
家
(
うち
)
にも
居
(
お
)
られず、急ぐ旅ではなし、彼処に泊って彼処の物を喰って居て、お
斎
(
とき
)
に出て貰った物が
溜
(
たま
)
れば、
後
(
あと
)
の旅をするにも
宜
(
よ
)
い、後の旅が楽じゃア
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
許宣も本堂の前で香を
燻
(
くゆ
)
らし、
紙馬
(
しば
)
紙銭
(
しせん
)
を焼き、赤い蝋燭に灯を
点
(
とも
)
しなどして、両親の冥福を祈った。そして、寺の本堂へ往き、客堂へあがって
斎
(
とき
)
を
喫
(
く
)
い、寺への
布施
(
ふせ
)
もすんだので山をおりた。
雷峯塔物語
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
晩には
雲堂
(
うんどう
)
で
大饗
(
たいきょう
)
(
斎
(
とき
)
の馳走)が行われた。趙の長者から祝いの品々や心づけが端から端まで配られた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「それよりお前こそお隣りさんへ行って、化物へお
斎
(
とき
)
でも供えて来な」
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「今晩は好い
点心
(
てんしん
)
にありついた、
斎
(
とき
)
はいらないぞ」
太虚司法伝
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「いや何、
石念
(
じゃくねん
)
のことだが……石念は
夕餉
(
ゆうげ
)
のときに、皆と共に、
斎
(
とき
)
の膳についていたろうか」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
丹羽、滝川、池田、蜂屋、細川、
蒲生
(
がもう
)
、筒井など順次に拝儀は終った。——そして人と席とはそのまま、この夜——故信忠卿の
御簾中
(
ごれんちゅう
)
より
被下
(
くださる
)
——とあるお
斎
(
とき
)
の
間
(
ま
)
へ移って酒宴となった。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「夕のお
斎
(
とき
)
をさしあげましょうか」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
斎
常用漢字
中学
部首:⽂
11画
“斎”を含む語句
書斎
潔斎
斎場
斎宮
定斎屋
山斎
斎忌
精進潔斎
斎藤
聊斎志異
斎藤緑雨
幽斎
鵬斎
暁斎
美妙斎
安斎
斎院
弄斎節
東洲斎写楽
斎部
...