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丸太棒
見上げると、天井に
交錯した
丸太棒の上を、さいぜんの笑い声のぬしが、一匹の
黒猫のように、眼にも見えぬ早さで走っていた。
曳声を揚げて……こっちは陽気だ。手頃な
丸太棒を
差荷いに、
漁夫の、半裸体の、がッしりした
壮佼が二人、
真中に一尾の大魚を釣るして来た。魚頭を
鈎縄で、尾はほとんど
地摺である。
テントのすぐ下には、
荒縄でくくった
丸太棒が縦横無尽に
交錯していた。その丸太棒の一本に、ポッツリと
雀のようにとまっている人の姿があった。