とき)” の例文
茶の間へ坐り込んで、厭な内輪ばなしなどにときを移していたお増は、行った時とは、まるで別の人のような心持で、電車に乗った。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
第七 窖蔵こうぞうノ氷雪夏月鳥魚諸肉ノ敗餒はいだいヲ防ギ水漿すいしょうヲ冷ヤシテ収儲しゅうちょときクコトヲ得イハユル氷雪冬時コレヲ蔵シ夏時コレヲ開キ食肉ノろく喪祭賓客用ヒザルコト無シコレまた輔相調爕ちょうしょうノ一事トコレナリ
(新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
そして観音さまへお詣りをしたり、花屋敷へ入ったりして、ときを消した。二人は手を引合って人込のなかを歩いていたが、矢張やっぱり心が落着かなかった。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
どうしようと云う話もきまらずに、そこに二人はしばらく立話をしていたが、するうちときが段々移っていった。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
お島は絶えて聞くことの出来なかった、東京弁の懐かしさに惹着ひきつけられて、つい話にときを移したりした。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)